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9/11

静けさ

私はトリネギスタン王国の軍師。

王女殿下が5人の勇者を召喚されてから、状況が大きく変わった。


勇者達の助言は、理には適っているが、不安な点は多かった。

しかし間違いなく優秀なのは、優秀だ。


例えばミリオタ殿、彼の知識は将軍クラスと同等もしくはそれ以上と言えよう。

特に戦略においては、参謀クラスと言っても過言ではないかもしれない。

軍事顧問に登用したい、そう思った。


私が思うに、ミリオタ殿は貴族階級かつ軍属の出身なのではないだろうか?

家に籠って、毎日軍事シミュレーションをしていたと言っていた。

歴史書も読み込んでいるし、たぶん間違いないと思う。


元いた世界でも、かなりの高い地位にいたのだろう。

それを全く表に出さないのは、彼が策士である証拠だ。


それでも私は、彼らの沈黙を、好意的に解釈しすぎているのではないかという疑念を、振り払っていた。


……


間引き戦略を始めて、私は魔王軍のことをあまりにも知らないことに驚いた。

しかし、間引き戦略を立てた途端、

細かい群れの数や、種類、居場所に至るまで情報が集まってきた。


細かすぎる情報は、大局の判断を崩すが、戦術的な価値はあった。


これも勇者達があえて、私たちに知るように促しているとしたらと考えると、

能力の高さに恐ろしさすら感じる。


間引き戦略は、局所的には、上手くいった。

たしかに間引きをすることで、侵攻する率は減った。

ただ魔獣の種類によっては、あまり効果の出ないものもいた。


その一つが、トロントである。

トロントとは木型の魔獣で、動物を捕食して食べる。

間引きが効かない理由は単純で、投石をしても堅く効果がないからだ。


そこで、今回はトロントに焦点を当てた戦術会議を行うことにした。


……

戦術会議は、王城の庭園で行うことにした。

トロントの死骸を見せるためである。


「勇者様。間引き戦略は局所的には上手くいっており、わが軍の損耗率も下がりました。

まずは感謝したい。

しかし、間引き戦略が上手くいかない魔物もいます。今回はその対策を相談したい。

これをご覧ください」

私は、トロントの死骸を見せた。


「それ木ですよね」

物理は言った。


「どう見ても木だよね」

チェスは言った。


「でも顔ついている」

ミリオタは言った。


「それ物語に出てくる怖く見える木だ」

ハッカーは言った。


「たしかに、あの怖そうな木っぽい」

化学は言った。


「こちらはトロントという木の形の魔獣です」

私は答えた。


「これ動くんですか?」

物理は尋ねた。


「動きます」

私は答えた。


「ねぇ化学。これ分類的に生物なの?植物なの?」

チェスは尋ねた。


「見たところ、構成はセルロースっぽいから、植物だと思いますが、食虫植物とかの類ではないかな」

化学は言った。


「なるほど食虫植物か。あの移動する植物とかっている?」

チェスは尋ねた。


「たとえば、イチゴはランナーを伸ばして新しい場所に根を下ろすし、ツル系の植物は少しずつ陣地を拡大するから、移動する植物はいるよ」

化学は言った。


「でもこの木って普通に歩くわけだよね」

チェスは尋ねた。


「そう、歩きますし、人や動物を襲います」

私は答えた。


「これ木だからさ、お話の世界だと火の魔法でなんとかなるんじゃないの?」

ミリオタは言った。


「魔法使いって呼べますか?」

チェスは尋ねた。


「しばらくお待ちください」

私は侍女を呼び、魔法使いを呼ぶように指示した。


数分後、一人の魔法使いがやってきた。


「軍師さん。どうしたの」

魔法使いは言った。


「あぁ君はノーブル。こちら勇者様方。ごあいさつして」

私は言った。


「ノーブルです。魔法使い。よろしく」

ノーブルは言った。


「魔法少女ティナちゃん?」

物理は言った。


「うんティナタン」

チェスは言った。


「いやスゴイ、ティナちゃん」

ミリオタは言った。


「いや完全にティナタン」

ハッカーは言った。


「やっぱかわいいわ。ティナちゃん」

化学は言った。


「あんた達何言ってるの?私はノーブル。ノーブル・アシュノートン」

ノーブルは言った。


「そのツンっぽさが。まさにティナちゃんだ」

物理は言った。


「うんティナタン」

チェスは言った。


「いやスゴイ、ティナちゃん」

ミリオタは言った。


「いや完全にティナタン」

ハッカーは言った。


「やっぱかわいいわ。ティナちゃん」

化学は言った。


「だから、あんた達何言ってるの?ティナじゃない。

私はノーブル。ノーブル・アシュノートン」

ノーブルは言った。


「そのツンっぽさが。まさにティナちゃんだ」

物理は言った。


「ちょっとすみません。火の魔法を使うのでは?」

私は尋ねた。


「あっすみません。それお願いします」

物理は言った。


「じゃあ。火の魔法をこのトロントに撃ってみて」

私は言った。


ノーブルはうなづく。

「ユメルユメルミステクスメル。火の精霊※※※※※よ。汝に命ずる。かのものを燃やせ。ファイヤーボール」


空中に火の玉が出現し、トロントに向かって放たれる。


(ぼわっ)

と火がついたかと思ったら、30秒ほどで消えた。


「あれなんで燃えないの?」

ミリオタは不思議そうな顔をしている。


「そりゃそうですよ。生木ですから、水分含んでるから燃えませんよ」

化学は言った。


「たしかに生木は燃えないわ」

物理は答えた。


「えぇ?でもゲームの設定とか、大概あれだよ。木の魔物は炎に弱い属性よ」

ミリオタは言った。


「そういう設定なだけ、現実的には生木は燃えにくいということです」

チェスは笑った。


「あの、これ燃えなきゃマズかった?」

ノーブルは心配そうに言った。


「違う違う。君はまったく悪くない。私たちは、効く攻撃と効かない攻撃を調べているだけ」

物理は答えた。


「トロントに効く攻撃が知りたいの?」

ノーブルは尋ねた。


「そう。もしかして知ってる?」

物理は答えた。


「トロントは、木だけど燃えないし、森の中にいて他の木の高さがあるから、雷系も当たらない。水系もムリだわ」

ノーブルは言った。


「風系は?」

物理は尋ねた。


「私たちのレベルの風魔法だと、ほとんど効果がないわね」

ノーブルは答えた。

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