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恋してるだけ   作者: 夢呂
第二章【花火大会】
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「男気ジャンケンしよーぜ」

花火大会の会場に着いたところで、時田くんが言った。


「お、マジか!」「やろやろ!」

出店の屋台が並ぶところで時田くんがそう提案すると、クラスの男子三人がノってきた。


「透子たちは良いからな、これは男だけでやるから!」

男四人でジャンケンする前に、ふいにこちらを向いた時田くんが透子ちゃんに言った。


「えーありがとう!一護男らしいー!」

「さすが、一護!」


(ん?なんで喜んでるの?)


よく状況が分かっていない私は、黙って男子達の様子を窺う。


「うわ、負けたー」

最終的にジャンケンに負けたのは、時田くんだった。


「じゃあ、全員に水あめ奢ってー」

甘えた声で透子ちゃんが言う。


「え、水あめで良いのか?」

時田くんが拍子抜けしたような表情(かお)をする。


「うん!私水あめが食べたい!ね、優妃も水あめ食べたいよね?」


突然他の仲の良い女子ではなく、私に同意を求めてきた透子ちゃんに驚きながらも、突然皆の視線が集まって、私は慌てて頷く。


「ほら、優妃も食べたがってるし!」

透子ちゃんが時田くんに向き直る。


「じゃあ、水あめな!」

時田くんがそう言って水あめの屋台へと向かった。


「透子、一護に甘すぎだろ」

時田くんが居なくなると、他の男子がニヤニヤしながら透子ちゃんにそう言うのが聞こえた。


「水飴って、一番安いじゃん。もっと高いの頼めば良かったのにさ」


「良いの!私は水あめ食べたかったの!」

透子ちゃんが、なぜか頬を赤くしてそう言い張る。


(?透子ちゃん、どうしたんだろ?)

ムキになってそう言い返す透子ちゃん。

私にはよくわからなかったが、そんな透子ちゃんがとても可愛いらしく見えた。


「バレバレだって、本心が」


「もう!やめてよ、違うって」


「はいはい、そういうことにしといてやるよ」

男子とそんなやり取りをしていたところで、時田くんが戻ってきた。


「っつうか、誰か持つの手伝えよ!持ちきれねーから」

割り箸に、色とりどりの水飴。

それをいくつも持って歩いてくる時田くんの姿は、なんだか見た目と合わなくて、そのギャップに私はフッと笑みをこぼす。


「あ、私手伝うよ!」「お、サンキュ」

すぐに数本を透子ちゃんが持って、他の男子に配る。


「はい、香枝の分。」


いつの間にか私の前にいた時田くんが、水飴のついた割り箸を一本、私へと差し出した。


「え?」

(私も…貰えるの?)

まさか私の分もあるなんてと驚いていた私は、受けとるのを戸惑っていると、


「早く、他の落ちそう」

時田くんが急かす。


「ありがとう…」

急かされたので慌てて受け取り、私はお礼を言った。


「どういたしまして」

時田くんがニカッと歯を見せて笑った。

眩しいくらい、爽やかな笑顔だった。









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