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翌日、早馬先輩とデートの約束をしていた私はその日の夜なかなか眠れずにいた。
(……明日…嬉しいけど、緊張する…緊張して寝れないよ…)
大好きなアイドルと一日だけデート出来ると言われたらきっとこんな心境なのだろう。
明日が待ち遠しいけど、同じだけ緊張する。
私の場合は、テレビに出ているアイドルではなくて“学校の”アイドルが相手なわけだけど。
しかも、一日限定とかではなくて、“彼氏”…だったりするわけなんだけど。
(先輩は、私のどこに一目惚れしたんだろう)
一目惚れだと、先輩は言った。
だけど私はそれすらまだ信じられなかった。
先輩の周りにはいつだって綺麗で積極的な先輩方がいたし、花火大会の日に綺麗な女性を連れていたのも忘れた訳じゃない。
ドキドキしている胸にキリッとした痛みが加わる。
(私と先輩、付き合ってるんだよね?)
自分の気持ちは先輩に向いている。だけど先輩は本当に私が好きなんだろうか?
『“早馬朝斗”と付き合うってそういうことだよ』
一護くんの言葉がふと頭をよぎる。
(モテる人と付き合うって、ずっとこんな感じなのかな?)
夢みたいに嬉しいのに、どこか信じられない。
嬉しいのに、切ない。
気が付いたらいつの間にか、時計は朝方の4時になっていた。
(やばい…このままじゃ私眠れずにデートに行かなくちゃいけない…っ)
――――だけど焦れば焦るほど、眠れない。
『優妃、まさかあの男が本気で優妃のこと好きだと思ってる?』
カチカチ…部屋の時計の針が、音をたてて時を進める。
『身の程を知りなよ』
一琉の言葉が、私の心を侵食して暗くしていく。
そのまま私はいつの間にか、眠りについていた。




