S.O.TとS.I.S
「なぜ、あの状況で撤退しないといけなかったのでしょうか?」
モニターに映る沢村に、瀬戸が詰め寄った。
「任務の遂行こそが使命のお前たちにしては、珍しい質問だな。まあいい。撤退の理由とは、瀬戸刃、お前を失う危険性があったからだ」
「……」
言いたい事は山ほどあったが、それらを全て押し殺し、瀬戸は唇を噛み締め下を向いた。
「可能性だよ。ゼロではなかったからな。まぁヤツらの居場所がわかっただけでもいいさ」
「で、これからどうする?」
鋭い目つきで無表情のまま話を聞いていたアーロンは、いつも通り革張りの椅子に座り肘をついていた。
「今後の指令はまだ下りてきていない。ただし真実の目が活動資金を得たとなると、これまでのようにはいかないだろう。ただあの時に瀬戸が竹やぶの連中を確保していたとしても、素直に言うことを聞いたとは思えないがな」
「関係ない。やることは同じだ」
「竹やぶの連中にもある程度は腕の立つヤツらがいるようだから、お前たちも人手が足りないだろう。うちのマギーも君たちに合流してもらうつもりだ」
「マギー・ラウか。お色気だけでは戦力にはならんぞ」
「ヤツがS.O.T出身なのはお前も知っているだろう? 情報収集能力にも長けているし、お前と同じくカンフーの達人だ。必ず役に立つよ」
「ふん、まぁいいさ。今は猫の手も借りたいくらいだからな」
「では、追ってまた連絡する」
沢村の言葉を最後に通信は切断された。アーロンはゆっくり腰を上げ、部屋を出て行こうとして歩きだし、瀬戸の横に来た時に立ち止まった。
「瀬戸、感情を表に出すことは悪いことじゃない。但しコントロールしろ。そのために挫折を味わう事も、また悪いことじゃない」
肩に手を置いた後、部屋を出て行った。瀬戸はしばらくその場で立ち尽くしていた。




