奴隷紋と隷属処理
「ゲヒッ。こちらの娘です」
裏ではどういった動きをしているのか、ゲヒゲヒ男が指をパチンと鳴らすと奥の扉がひとりでに開き、少女が一人立っていた。
何故か5人目の少女だけ演出が違う。
金額が違えば扱いも変えているのか。
当然と言えば当然か。
そう言えば一人目に紹介された狐娘のシズクと二人目に紹介された栗鼠娘のホノカは奴隷紋で痛めつけられたりと扱いが酷かった事を思い出す。
まぁ、犬娘のカエデは奴隷紋が付けられていないし、猫娘のリリーは酔っぱらっていた上に奴隷紋の痛みに抗えるらしいので一概にそうとは言えないが。
それは兎も角として。
5人目に紹介された少女の胸は、カエデ未満シズクよりはたぶん上といった大きさだった。
ロリ巨乳のリリーとはまるで勝負にならない成長具合。
故に、奴隷商人の紹介を聞くまでもなく巨乳勝負を制したリリーを買う……筈だったのだが。
何故か俺はその少女の顔を一目見た瞬間、彼女を身請けする事を心に決めていた。
それまで悩んでいたのが嘘だったかの様に、原因不明の理由により5人目の少女を買う事にした。
「この娘の名はアクアと申します。先の4人に比べると若干見劣り致しますが、一切混じりけの無い正真正銘の人の子で御座います。ゲヒッ。未開通、教育中、奴隷化未契約、奴隷紋付き。生まれはこのキロスより北東にいつ……」
「いくらだ」
「はひ?」
「いくらかと聞いている」
「この娘にお決めになられましたので? ですがそれは早計というもの。先程申しました通り、この娘は純血の人の子でありますので少々値が張ります。また奴隷化の儀式料と奴隷紋の処理金額も割高となってまして。ゲヒッ。しかも既に買取希望のお客様が2名ほど、手付け金を当店に支払っております。ですので、即金だとしてもかなりの高額になりますが……」
奴隷商の男は明らかにこちらの足下を見ていた。
恐らく俺が彼女を買うと見て値を吊り上げにきている。
奴隷化儀式料と奴隷紋処理料の割り増しも、買取希望者ありという情報も全てでまかせ。
客が値切ろうとするのと同様に、店の方も出来る限り高く買ってもらおうと策を巡らせるのは当然の事である。
この分だと、最初に説明を受けた奴隷化儀式料と奴隷紋処理料も俺の足下を見ている可能性が高い。
奴隷商人用の奴隷紋解除費用と俺用の奴隷紋書き込み費用を別にしているのも怪しい。
俺をカモだと見ている、そういう目をゲヒゲヒ男はしていた。
「構わないから言ってみろ」
故に俺は、まるで力ある貴族の余裕ある高圧的な笑みを浮かべて言う。
相手が勝負に出てきているのであれば、俺の方もそれにのってやった。
「ゲヒッ。こちらも商売ですので、ビタ一文まけませんよ。お代はしめて金貨50枚となっております」
「高いな。内約は?」
「この娘の価格が金貨20枚、上位奴隷化の儀式料として金貨4枚、私の上位奴隷紋消去に金貨2枚、お客様の上位奴隷紋書き込みに金貨4枚。および、買取希望のお客様2名にお支払い致します和解金としてそれぞれ金貨10枚が必要で御座います」
「つまり、金貨30枚で買えるという事だな?」
「はひっ? ……お客様、失礼を承知で言わせて頂きますが、和解金を支払わずにお買いになった場合の身の保証は致しかねます。もしお手元にある資金が足りないという事であれば、金貸しをご紹介させて頂きますので、払わないという選択だけはおやめになった方が良いかと」
和解金というのが、そのままの意味を持っていない事は明らかだった。
この辺りは予想通りという事か。
後ろ盾になっている貴族が手付け金と称して一定額を奴隷商に振り込んでおく事で、購入希望者に和解金を無理矢理支払わせる。
奴隷商は手付け金で得をし、後ろ盾になっている貴族は和解金で得をする。
買い手が付かなかった場合は手付け金を支払った貴族が買う事になると思われるが、その場合はお得意様価格で取引される。
手付け金を支払おうと思ったのだから、買う事になった貴族の方は別にあまり困らない。
本当に買いたいと思っていれば手付け金など支払わずに購入すれば良いだけ。
過剰な浪費を歯止めする為と、ちょっとしたお小遣い稼ぎ、縄張り争いも含まれているのだろう。
買い手が2名いるのは信憑性を持たせるためか。
恐らく両者は和解金というものが発生しない良好関係にある貴族同士。
もしくはそう思わせる為の、奴隷商人同士の一計もありうる。
そんなものに付きあってもただ絞り取られるだけだ。
このキロスの街に長居するなら兎も角、旅の友、夜の楽しみとして奴隷を買いに来た俺には関係ない。
「金貨30枚だ。和解金を支払う気は無い」
「……本当に宜しいので?」
奴隷商は嗤っていた。
「くどいな」
ならば現物を見せて黙らしてやる。
「……確かに。金貨30枚、お受け取り致しました。ゲヒヒ」
「ああ。但し、まだそれは持って行くな。奴隷化契約と奴隷紋の処理が終わってからにしろ。俺が見える所に置いておけ」
「ゲヒッ。分かりました」
一言も言葉を喋る機会を与えられずほぼ即決で売買契約が交わされた事に、アクアと呼ばれた少女はかなり戸惑っていた。
ボロ衣を着せられ見目も先の獣人4人ほど可愛い訳では無い。
細い手足が綺麗に前で整えられ背筋を伸ばしているのは教育中だからだろう。
だが肩上まで伸びている水色の髪は整えられておらず、商品として客の前に出すには少し不自然さが目立つ。
もしかして、持ち合わせている才能に何か秘密があるのだろうか。
一方、若干期待の色を見せていた犬娘のカエデはかなり不機嫌となっていた。
無理も無いか。
この5人の中ではどう考えても一つ抜きんでているからな。
胸は豊満ではないのでリリーにはどうしても負けるが、それでも十分に楽しめるレベル。
偏った趣味を持っているか、資金に余裕が無いという理由でもない限り自分が選ばれると彼女は思っていたのだろう。
それが、人の子という理由だけで選ばれなかった。
しかも即決でだ。
これで機嫌を損ねないのであれば本当に良く出来た娘だとして、アクアとセットでお持ち帰りしようと思ったかも知れない。
金貨1枚ぐらいなら値切る事など容易い筈だ。
狐娘のシズクと栗鼠娘ホノカの方は、手を伸ばせば触れる事の出来る位置に積み上げられた金貨の山に目が釘付けされていた。
恐らく初めて見るのだろう。
猫娘のリリーは壁にもたれかかって半分夢の中。
胸が揺れなくてちょっと寂しい。
「では、まずお客様用の奴隷紋の書き込みを行います。お手を宜しいでしょうか? ゲヒゲヒ」
「うん? 御前がやるのか?」
「はい。店を持つには最低でも奴隷紋を取り扱えなければ話になりませんので。ゲヒヒッ。他の者にいちいち依頼していたらお金がいくらあっても足りません。足下を見られた挙げ句裏切られるのがオチですね」
「そんなものか」
「それに、私自身に奴隷紋を付けられてしまったら目も当てられません。余程仲が良いか安全が保証され無い限り、奴隷紋操作の才能持ちとは誰も一緒にいようとは思わないでしょう」
「……それはつまり、油断すれば俺も御前に奴隷紋を書き込まれる危険があるという事か?」
「ゲヒッ。お客様が余程の馬鹿で無い限りそれは大丈夫かと。奴隷紋の書き込みには相手に直接魔力を流し込む必要がありますので、そんな事を起きている者に行えばすぐに違和感に気付かれ抵抗されてしまいます」
「なるほど。無理矢理書き込む場合には、相手が寝ていたり気絶している場合で無いとダメという事だな」
「もしくは、そうと気付かれない様な工夫をするかですね。ゲヒヒッ。抵抗する気を無くさせるか、体罰などを与えている最中に行うかです。長い時間を掛けて相手と仲良くなり、行為中に行うという方法もあります。まぁこちらの例は夫婦になった後で才能に目覚めた者が良く行う方法ではありますが。ゲヒゲヒ」
嫌な話だ。
「アクア、来なさい」
「……はい」
鉄面美に徹しまったく乗り気では無い少女が俺の前まで早足で歩いてくる。
近くで見ると益々彼女を自分の側に置きたいという欲求にかられた。
但し、それは何故か性欲や独占欲の類では無かった。
よくは思い出せないが、アクアの容姿は何処かで見た事がある様な……。
初恋の人に似ている?
……いや、幼稚園児時代に一目惚れした同い年の女の子の顔は、アクアとは似ても似付かない。
可愛くて可憐な少女だったが、小中高と一緒に学校に通い大学に上がった事で離れるに至るまでに見続けた彼女の顔は、もっと儚くて神秘的な顔立ちだった。
ならば小学1年生の時に席が隣合った少女……やはり違う。
小学4年生の時に班が一緒になり、グループ研修で家にお邪魔する事となった縁で心を奪われた日に焼けた少女……その子ともタイプがまるで違う。
中学時代、顔というより中身で惚れた年上の従姉妹……気が付けば結婚していた彼女とも全く違う。
高校生2年生の終わりに入った部活にいた後輩の女の子……小さくてコロコロとした子だったが、彼女はどちらかと言えばホノカの方が近い。
大学生時代にバイト中に知り合った女性……は、年上の従姉妹に似ている時点でNG。
惚れる惚れないに限らず、テレビで見た色々な女性の顔を思い出してみるが、アクアの容姿はそのどれとも一致しなかった。
似ている少女は数百人もいるアイドルグループの中にはいた様に思うが、そもそも実際に会った事の無い女など興味は無い。
――ニジゲンはトモカクトシテ。
「手をお合わせ下さい」
一目惚れした訳でもない、不思議と保護意欲を沸かせる少女と手の平を合わせる。
……柔らかい。
「握らず手を合わせるだけでお願いします。ゲヒッ」
少女の瞳は、髪の色よりも綺麗な水色をしていた。
スカイブルーでもなく、シアンでもアクアブルーなく……そう、アクアマリンの様な瞳。
青色のベリル、ラテン語で海水を意味する宝石の名。
水のアクア……海のマリン……。
何かを思い出せそうだった。
だが、何も思い出せない。
アクアの瞳に吸い込まれる様に俺の目が釘付けとなる。
対して、少女の瞳は俺を見ているが焦点は合っていない。
人生を諦めた者の彩りをしていた。
益々彼女を俺の手元に置いておきたいと思った。
「始めます」
汚い男の手が両手の平を合わせた俺とアクアの手首に触れる。
男が詠唱し、それと同時に俺の中から微量の魔力が男へと流れていく。
少しして魔力の流れは手の平を合わせたアクアの方へと変わった。
だけでなく、その魔力の流れを通じてアクアの腕があたかも俺の腕となったかの様な錯覚を覚える。
小さくて細い腕の全てを俺が支配していく様な不思議な感覚。
いや、アクアの魔力と混ざり合っているのか。
少しずつ俺の魔力がアクアの魔力と混ざり合い、1箇所に集まり熱を帯びていく。
その周囲にはとても不愉快な魔力があり――恐らく奴隷商のものだろう――混ざり合う俺達の魔力を粘土細工の様にグニャグニャと練っていた。
アクアの魔力を俺の魔力で押し包みながら、不可思議な紋様の形へと変えていく。
最初は安定しなかったその形も、時間が経つにつれて徐々に形が安定し、その紋様線に沿って俺の魔力がグルグルと流れているのが分かった。
アクアの魔力が紋様へと流れ込み、その外側を俺の魔力が流れて循環し、アクアの魔力が紋様の外へと出て行く。
そこで俺とアクアの繋がりは唐突に途切れた。
そして……原理を理解した事でスキルを手に入れる。
「終わりました。ゲヒッ。これでお客様はこの娘に自由に罰を与える事が出来ます。やり方は分かりますでしょうか?」
「……ああ、分かる」
やり方はすぐに分かった。
アクアへと魔力を流し込み、先程感じた紋様を強引に絞る事で、あの紋様の中を通っているアクアの魔力の流れを一時的に制限する。
それが奴隷紋による罰のしくみ。
だが俺は一連の魔力の流れで、その先を理解していた。
「少し試したいのだが、良いか?」
「ゲヒヒッ。どうぞどうぞ、お気の済むまで。その間に私は奴隷化儀式の準備を済ませておきましょうか」
男の視線が俺から外れる。
と言っても恐らく視界の端では注意深く俺の事を見ている事だろう。
念のため奴隷商には見えない様に立ち位置を変える。
「そう怯えるな。少し痛いだけだ」
手を伸ばすとビクッと震えたアクアの腕を俺は取る。
細くてしなやかな腕。
栄養が足りていないのか、簡単に折れてしまいそうだった。
二の腕には先程奴隷商が付けた俺専用の奴隷紋。
魔力を込めればその奴隷紋が付いている場所に耐え難い痛みが発生するのだろう。
アクアともう一度手の平を合わせる。
奴隷商から見ればアクアの腕に付いた奴隷紋を触って確認している様に見えるだろう。
そう見える様に、アクアの腕の上をもう一方の手を滑らせていく。
「んっ……」
くすぐったかったのか、アクアが少し小さく喘ぎ声をあげる。
構わず、俺は手の平から魔力をアクアへ向けて流し込んだ。
「んんっ!」
驚いて声をあげそうになったアクアを目で黙らせる。
奴隷紋を付けられた以上もはや逃げ道は無いと分かっているのだろう、アクアは素直に俺の言う事を聞いて口を硬く閉ざしてくれた。
アクアの手の平を入口に、俺の魔力がアクアへと流れ込んでいく。
手首を越え、肘を越え、二の腕に付いている奴隷紋へと至る。
だが奴隷紋は無視してその先へと進む。
肩を越えて胸に。
まるで自分の物の様にアクアの胸の形がハッキリと分かった。
その胸の部分で少し魔力を暴れさせれば、間違いなくアクアは敏感なその部分に快楽を得て、硬く閉ざした筈の口から可愛い声を漏れさせる事だろう。
そんな悪戯じみた考えが脳裏を過ぎるが、目的はそれでは無いので次の機会にする。
胸に異物は無かった。
名残惜しいが、次の目的地である下腹部へと向かう。
乙女の花園へと向けて魔力による疑似支配を進めていく。
おへそを越えて、更にその下へ。
あと少しでアクアの一番敏感な部分へと到達する。
……その直前に、異物が俺の進路を妨害した。
「そこか」
アクアの無機質な瞳がいつの間にか恐怖と若干の期待を含んだ彩りへと変わっていた。
頬が赤らんでいるのは、俺が注ぎ込んでいる魔力がさっきまでどこにいて、それからどこに向かおうとしていたのかを理解したからだろう。
羞恥する少女を尻目に、俺は意識を集中する。
ここからが正念場だった。
予想通りの場所で見つけた奴隷商専用の奴隷紋を、俺の魔力でゆっくりと包み込んでいく。
形も大きさも俺戦用の奴隷紋よりも大きかった事から、恐らくこれが上位奴隷紋という奴だろう。
つまり奴隷商は俺を謀り、普通の奴隷紋をアクアに付けたという事である。
ここで俺が指摘しても奴隷商は言い逃れをするだけだろう。
奴隷商はアクアに奴隷紋を書き込むとは言ったが、上位奴隷紋を今書き込むとは言っていない。
つまり、後で行うつもりだったと奴隷商は言えば良いだけである。
逆に俺が何も言って来なければそのままにしておき、お金だけをふんだくる算段だ。
実に意地汚い。
ただ、そんな事は今の俺にとってはどうでも良いこと。
奴隷商の魔力紋操作技術を生で感じ取った俺は、その内容を理解し、スキルを得た。
そのスキル名は、技術〈魔力紋操作・魔王位〉。
いつの間にか持っていた才能:魔王に付随する形で覚えたそのスキルは、まぁどう考えても碌でも無いぐらいに質の悪いスキルなのだろう。
奴隷商が書き込んだ上位奴隷紋を強制的に排除出来るぐらい高位のスキルである事は間違いない筈だ。
「っ!」
だが例えそうだとしても、実際にそれを行うとなると話は違ってくる。
俺はまだ魔力を制御仕切れない。
それ故に、アクアの下腹部に書き込まれている魔力紋をなかなか排除出来ず、アクアに少し辛い思いをさせる事となっていた。
苦痛を感じているのか、それとも快感を感じているのか。
それともその両方なのか、微妙に分かり辛い表情を浮かべて苦しむ少女。
身をよじりそれから逃れようとするが、魔力で身体の内部から弄られているのでそんな事をしてもほとんど意味はない。
「あまり暴れるな。余計に辛い思いをする事になるぞ」
このままでは奴隷商にばれる可能性があったので、仕方なく俺はそれらしい言葉をでっち上げて言う。
自分の物となった少女を早速いたぶって楽しんでいる男を装い、少女の二の腕に付いた奴隷紋に触れる。
「やはり良いな、御前は。見立て通りの反応をしてくれる」
これは演技。
演技なのだが……。
嗜虐趣味を持っていた覚えは無いのだが、何だか興が乗ってそんな言葉までつい吐いてしまった。
「お気に召した様で、何よりです。ゲヒッ」
その耳障りな声でハッと現実に戻る。
目の前にいる少女が何かを言いたそうにしていたが、眼をそらして逃げた。
逃げた先では4人の少女達の8つの冷たい瞳が待っていた。
素面だった3人は兎も角、酔っ払いのリリーまでそんな目で見てくるとは。
気を取り直して、アクアの秘密に再度迫る。
もとい、アクアの下腹部に存在する奴隷商専用の奴隷紋を排除するために、もう一度集中する。
『才能:魔力制御Lv1を取得しました』
暫く頑張っていると、才能が開花した。
嗜虐趣味の才能が開花しなかった事にほっと肩を撫で下ろしつつ、一気に片を付ける。
「!?」
下腹部を襲っていた俺の魔力が急に大人しくなり、次の瞬間には奴隷商専用の奴隷紋が消えた事にアクアが吃驚する。
構わず、そのまま次の作業へと入った。
アクアの手の平を通じて流し込んでいる魔力の量を更に増やし、下腹部を制圧。
そのまま両足の爪先まで一気に占領し、折り返して残った部分へと向かう。
ほんの1秒足らずで、目の前の少女の全てを俺は支配した。
奴隷化の儀式……それは、魔力紋書き込みの上位に位置しているスキルだと推測する。
魔力紋が対象の身体の一部分に主となる者の魔力で鎖を付けるならば、奴隷化は身体全体もしくは頭部を魔力で覆い半同一化する事に該当する。
奴隷紋は罰を与える力、奴隷化契約は服従させる力。
鎖は引っ張れば対象に痛みを与えるが、半同一化した場合はそもそも逆らえなくなる。
鎖は大きくすれば罰を与えた際の痛みの量を増やすが、半同一化の場合は支配領域が増えていく。
頭部を奴隷化すれば意思を奪い、身体まで奴隷化すれば行動まで自由自在となる。
また流し込んだ魔力量でその絶対命令権は強くも弱くもなる。
そう仮定した上で、俺はアクアを奴隷化した。
とりあえず魔力量は最低限に抑え、逃げる事だけは無い様にする。
本人の意志が100%残っている状態で、形だけでも俺に服従する様に仕向ける。
そして全てが滞りなく終わった時。
「貴様は用済みだな」
「ゲヒッ!?」
貴様の悪は直ちに斬り捨てる。
躊躇い無く俺は奴隷商人を殺した。




