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第21話 そういうルールの抜け穴みたいな話してないって

「本当に生活力ないよね」


君ってさ、と彼女は溜め息を吐く。


「そんなことないと思うけど」


根拠はないけど、一応否定しておこう。

一人暮らしをしているわけだから、最低限の生活力は備えているはず、と応える。


「いや、なんていうのかな・・・」


その最低限のラインが低すぎるんだよ、と彼女。


「何を見てそう思ったの?」

「コレだよコレ」


キッチンに来るように手招きされる。

彼女は冷凍庫にあるポテトを持っていた。


「なんで油で揚げなきゃいけないフライドポテト買ってるわけ?」


鍋もフライヤーもないわけじゃん、と付け加える。


「これはレンジでチンしても食べられるから」

「・・・やっぱり重症だって」


彼女は頭を抱えた。


「ここに書いてる文章読める?」


彼女は袋の裏に書いてある注意書きを示す。


「『この商品はレンジによる解凍を想定しておりません』って書いてるね」

「・・・なんでそんな自信満々なわけ?」


とりあえず冷凍庫の扉を閉めた。


「レンチン解凍は想定していないらしいけど、『絶対するな』とは言ってないじゃん」

「いや、そういうルールの抜け穴みたいな話してないって」


安かったし、レンチンでも普通においしいし。

まあ、油で揚げたほうがおいしいとは思うけど。


食べ物にはちゃんと気を使った方が良いって、と彼女は言って冷凍庫にその袋をしまった。



「・・・でも、フライドポテトだけだったら生活力云々の話にはならないでしょ」


自分の意思で買ってるわけだし。

栄養バランスの話はさておき。


「さっきも言ったけどさ、」

「さっきって?」

「ほら、家に入ったときに言ってたじゃん」


漫画で同じ巻が3冊あるのは流石にどうかと思うんだけど、と彼女。


「あれはマジで偶然だから」

「でもネットで買ったわけでしょ?」


そうだよ、と頷く。


「購入する前に何か月前に購入しました、みたいな表示出てこない?」

「買ったの深夜だったから」


新刊出てるじゃん、って思って買ったら同じ巻でキャンセル不可だった。


「普通はそう言うのって確認すると思うんだけど」


これはマジで生活力出てると思う、と彼女。


「ほら憲法25条で言うじゃん、『健康で文化的な最低限度の生活を営む権利』って」

「言うけど」


なんで何条かまで覚えてるわけ? と尋ねられた。

学校でやったからかな。


「で、それが何なの?」

「まず今は健康でしょ?」

「今はね」


将来どうなるか分からないけど、と怖いことを彼女は呟いたがとりあえず聞き流す。


「で、『文化的』も言ってみれば精神的な余裕がありますか、みたいな話でしょ?」

「そうなんじゃない?」


私、そこまで詳しくないから良く分からないけど、と補足した。


「漫画の3巻重複なんて、文化的もいいところじゃない?」

「『文化的もいいところ』って言葉、初めて聞いたんだけど」


重複してるのはシンプルに損じゃん、と彼女。

たまに間違うくらい人間らしいと思うけどね。



「・・・なんか面倒臭くなってきたから、君の生活力、料理で見せてもらっていい?」


一番シンプルな方法だから、と彼女。


「まぁ、ネットで調べながらすれば楽勝だけど」

「ネット検索なしの調理こそ生活力でしょ」

「・・・」

「あれ、普通に論破しちゃった?」


皿運びくらいで十分だからソファで待っといて、と言われたのでスマホで料理サイトを眺めつつ時間を潰すことにした。

全く活動を報告していない悪ふざけ活動報告を公開しているのでよければ。


夏野恵

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