第三十五話 -主人公は自分のフラグメーカーっぷりを自覚するべきだ-
最近、多忙の為投下できずにいましたので少々ペースを乱しつつも投稿させて頂きたく思います。
文体を最近はシナリオの進みっぷりが牛歩戦術よろしくであったのでシンプルイズベストを目指していましたが、どうもガラではないので再びグダグダ小説へと変貌することにさせていただきました。
これでまた牛歩戦術並の進行度になります。
「何起きてるか一瞬わからんかったぞ」
目覚めるや否や飛びこんできたのはヨーダの顔だった。
色が緑であるのでナメック星人だと勘違いする可能性も思いついたが、どちらにせよ実在しない存在であるので俺の厨二病具合に頭を抱える事になった。
俺が目覚めた事に当然、ヨーダは気が付いたらしい。
瞼を持ちあげると同時に顔のズームアップを自重してくれた。
これ程接近していて生きているとなると、今すぐに俺をぶち殺すって事はないのではないだろうか。
酷い拷問趣味とかいうような残虐的な趣向を嗜む場合は話しは別だが。
周囲を見回すと――見回すまでもなくベヒス嬢は確認できた。
俺が目覚めた事にいち早く気が付いたらしく、近づいてきていたようである。
ベヒス嬢の肩越しに宇美音子さん、オッド、サイレン(仮)が見えた。
怪我はしていなさそうである。
宇美音子さんに至っては元気よく手を振っているではないか。
『神の御使いとは思わず失礼した』
頭に音と勘違いしてしまいそうな声が響いた。
頭に直接響く為、どこから発せられているかはわからないが、恐らく、少し離れた位置でこちらを見ているヨーダが発生源だろう。
あー、問答無用だったから説明しても無理かと思ったんだがそうでもなかったようだ。
こんなことならさっさと事情説明すりゃよかった。
よく考えたらあの糞爺は糞爺に違いないけど、位置付け的にはこのヨーダより権力持つ存在だったな。
あまりの印象の屑加減で思いつきもしなかった。
宇美音子さんを見ると、どうやら自体をここまで収めたのは宇美音子さんであるらしく、ドヤ顔をしてみせていた。
そもそも、魔族が分布している大陸へと渡る為の提案されていた手段を行使する素材であるお金を消失させる原因が宇美音子さんにあった為、ドヤ顔をするのは間違っていると思わなくもなかった。
取り敢えず、宇美音子さんに感謝はしないでおこう。
「ドヤ顔をしてるって事は宇美音子さんが尽力してくれたってことか?」
『お前が魔法を使用したから神の御使いだと気が付いたのだ』
つっても魔法は皆使ってる訳だが、まあ何にしても俺の安全は保障され、チキンハートの全力振動をどうにか抑える事が出来たわけだから良しとしようか。
まあ、あの糞爺(神)と同様に世界の事よく見てねえから最近の事知らなくて過去の尺度で物語ってるとかあり得そうだし。
神とかその化身的な存在ってどうせ長寿か不死だったりするのがありそうだし。
色々突っ込んでもメリットは無く、下手すれば俺のチキンハートがまたまたバイブ機能を惜しみなく発揮してしまいかねないので自重するのが無難かな。
そういう俺の思考に従順に従う事にした。
さて、取り敢えずすべき事は別段何もしていないにも関わらず態度が妙にでかくドヤ顔をしている宇美音子さんにその事を追求する程気力を持ち合わせていない為オッド又はサイレン(仮)を探す事にした。
とは言っても、先程視界に留めていたのですぐに発見できた訳だが。
「おいオッド。そいつであってたか? あんまり確認してないっちゃしてないから間違ってたら最悪だなーと思わなくもねえんだよな」
魔物以外の気配を感じたのはこのサイレン(仮)ぐらいであったのでもし人違いであるなら、等号としてサイレン死亡というフラグが確立してしまうのだけれども。
「いや、間違いなく彼女がサイレンであってるよ」
サイレンが生きていた事に対して多少なりとも喜びを感じてりるのかいつもよりオッドはオーバーアクション気味に身振り手振りをして見せた。
その身振り手振りは本当に必要なのかと思わざるを得ない具合に要領を得ないものであったが。
まあ、何にしても無為に人が死ななくて良かったなと思うだけである。
魔物も何体か身体の一部が抉れてたりするかもしれないが、生命力が凄まじいし死にはしないだろうし事実死んでいないだろう。
これまで明確に殺したのは最初であった狼型の魔物を筆頭に少しだけである。
俺が罰せられるのであればそれ以上に罰せられるやつが幾らかいてしかるべきであるだろうことから多少不自然だと不信感を抱かない事も無かった訳だ。
閑話休題というか軌道修正。
完全に話が回帰して堂々巡りを成立させる所であった。
「あー、別に俺は怒ってもないし多少も不機嫌になってないからもう元の場所に戻ってくれていいよ?」
と、神の化身か何か定かではないヨーダに提案してみる。
どうも、一応は命を狙われた訳であるので目的というかこの状況というかその辺りがイマイチ理解できていない所が無きにしも非ずであるので付近にいられるとあまり落ち着きを取り戻せないのである。
ヨーダはそれを察したのかモノ言わずに空気に溶け込むかの如く姿を消して少しするうちに気配も消失した。
さて、オッドの頼みも達成した訳だしそろそろ元々の目的を達成すべく行動指針を定めないといけない所かな。
その目的達成に大いにかかわりそうなのがオッドなのだけれども。
感動の再会の所悪いが、どうも目的の為にはそれを中断して貰わなければならない様である。
「あー、わかってると思うけど何か知らんが魔族が住んでる大陸へ連れて行ってくれや」
「ああ、わかってる。丁度勇者をここまで運んできた船が空いてる筈だ」
船か。
だいぶん前にも思ったが、狙い撃ち地味にされそうで怖いんだよな。
オッドが言い出すとなるとその辺り考えた上での発言だろうから光学迷彩とか魔法反射とか無効とか少なくとも魔法防御術式ぐらいは組み込んでる気がしてならないな。
いやいや、今考えても仕方ないか。
どうせいざ乗ってみりゃわかるだろう。
やべえなら俺だけ乗れば良いしな。
「ところでここどこだよ」
一応、先の塔が見えるからあまり移動はしていなさそうだが。
オッドがそれの返答として説明を始めたが地名とかさっぱりな俺にはさっぱりだった。
しかも、妙に話が長い。
聞いたのは俺であるので無下には出来んと仕方なく終わるまで待つことにした。
「――おい、聞いてるのか?」
「ん? ああ、聞いてるぞ」
右の耳から入って瞬時に左の耳から抜けていくような勢いで頭には入っていないけれども。
「じゃあ、もったいぶらずに教えろよ。あのやたらとめちゃくちゃな女性は誰だ?」
てめえ、この場所の説明してたんじゃねえのかよ。
全く違う話じゃねえか。
まあ、聞いてなかったから妙に文句言いづらいのだが。
「あー? 彼女ってのは――」
オッドの指が向いている方向に目をやると宇美音子さんが目に入った。
「宇美音子さんだな」
せっかく教えてやったというのにオッドはきょとんとしてやがる。
「なんだって?」
お前の耳は飾りかよほんと。
「宇美音子さんだって」
「は?」
――聞き取れないのは良い。
だが、態々腹に据えかねる気持ちを大量生産せざるをえない顔を表現するな。
表情筋を最大限に活用するタイミングを誤っているとしか思えない。
そんな俺の苛立ちに気が付いたのか慌てて口を開いた。
「いや、まてまて。握った拳を開いて――そうそう、それで下ろそうか。これで良い? いやまて、張り手の可能性がまだ消えてない」
と言うので仕方なく、手を下す。
「その、ナークが彼女の名前を言っているらしい所だけ聞き取れないんだよ。ノイズが入るというか……。それ以外は全く問題なく聞き取れるんだけど」
なんじゃそりゃ。
一応聞こえてるっちゃ聞こえてるけど上手く聞こえないってとこか?
そう言えば、俺の名前は暫定としてナークになってるけど、その原因がなー君というのをフィニーアが上手く聞き取れなかったからにある。
ユウトは反応からして聞き取れてたっぽいけど。
っつか、よく考えてみたらフィニーアと付き合いが長いユウトも文字面じゃ片仮名表記って事以外では読み取れないが、発音おかしかったな。
外国人が日本語を下手に発音する様な発音と言っても良い。
フタエミノキワミアッー程じゃないけれども。
あ、そういや――
「冷蔵庫」
「なんだって?」
「死ねよてめえ」
「急に酷いな。聞き取れなかったのは不可抗力だ」
「掃除機」
「聞き取れないな……。わざとか?」
なんで電化製品名を口に出しているかというと確認である。
多少前から薄々感じてはいたのだが、これで確信したし確定だろう。
「多分、俺の国の言葉はここの言語体系じゃ使わないとかで聞き取れないんだろ」
英語が大嫌いで鎖国してるのかと疑われて然るべきな俺が英語を聞いたら日本語でおkってなるようなヤツの強化版って感じじゃないかな。
翻訳魔法も効果を示さねえようだし。
前のと合わせるとそんな感じってとこじゃないかなぁ。
「う・み・ね・こ。U・MI・NE・KOだぞ?」
これで無理だったらもう言うまい。
一応言っておくが、大事なことだから二度言った訳じゃないからな。
語句が無理なら一音毎に区切ればいけるんじゃないかという苦肉の策である。
「うみねこ? 彼女の名前はそういうのか」
発音がおかしいというのが片仮名表記でしか表現できない訳だが、兎に角発音おかしく認識してくれたようである。
良し良し。
これは多分、世界を跨いでの発音だから聞き取れないとかそういう超常現象的なもんだろ。
発音故に聞き取れないにしてはおかしいし。
下手にこっちの言語で翻訳できない単語とかは言わない様にしないと意思疎通に滞りが出来かねない。
こっちの世界にあるモノを把握できてないから地味に辛い制限だな。
普段意識しないから完全にド忘れしちゃうし。
――それはまあ俺の注意散漫具合のせいだけれど。
これって世界の強制力とかそういうモンなのかなぁ。
それだったらこれってまさしく世界の神秘だよな。
何も嬉しくないけど。
「それでは、戻るか。飛行船は街にある」
かったるいけどな。
人と接触する機会があればある程ロクでもない事が勃発する事は目に見えているのである。
問題の発生しない街での滞在は現状ほぼ皆無である。
俺はトラブルメーカー宜しくの問題パッシヴスキルを会得してしまったらしいのである。
どう考えてもメリットは皆無だ。
いや、RPG的に考えるならばその分イベントが増えてアイテムやら仲間やらを得られる訳だが、どうにもこうにもアイテムは必要性を感じないし、仲間はそろそろ大所帯だからいらねえだろ。
俺と宇美音子さんとベヒス嬢は言ってしまえばパーティメンバーである。
予備軍として考えられる関わりを持っているのがオッドとエドル。
戦闘に出られるのは三人までとかかな。
だいたい事実上一人出撃で事足りてるが。
初期配置の街で俺。
次の街でベヒス嬢。
その次ぐらいで宇美音子さん。
そんな感じでパーティが確定してるからそろそろもう一人新たな仲間が出来かねないのである。
無いとは思うが、 万が一その新たな仲間(仮)の食欲が先の宇美音子さんの暴食レベルであるならばエンゼル係数は格段に上昇してしまうのである。
来ると確信できるモノではないがその恐怖は想定してしかるべきだろうか。
とにかく、街に戻るのはあまり得策じゃない気がしなくもないのである。
どうせロクなことがないのだ。
今回は例外、そんな事もあるだろうが、現状漏れ無くロクな事が発生していないのである。
個人的に例外なんてのは都合よく発生してくれないと思っている。
それも確信の域で、である。
幸い、街と塔を隔てるように存在した遮蔽物である森は吹き飛ばしたためイベントが発生しそうな要因は格段に減少しているので街までは安心出来るだろう。
「ん? ってかちょい待てよ。さっき飛行船って言わなかったか?」
そうオッドに問うと、それがなにか? という様な顔を向けてきた。
完全に死活問題である。
迂闊だった。
船だと聞いて安心していたのだが、オッドが関わっていることを考慮出来ていなかったとは一生の不覚と論じて問題ない失態である。
ああ、もしかしてロクでもないイベントってコレのことか?
だとしたら相当悪趣味だな。
下手に魔族やら魔獣に絡まれるよりも最悪である。
飛空船となると、空を自在に飛行できる代物である。
海を自由に走行できる通常機能のみを付属した船でさえ、走行している海の透過具合によっては俺の意識は俺の手を離れる可能性が高いというのに、空を自在に飛行できる代物となると俺が対応しきれるはずがない。
これは自明の理である。
そうなると、街へと向かいたくない想いが極大になる訳だが、残念ながらサイレンとオッドを街へと届けないと下手に魔獣に出会って、人間から魔獣の夕食へとジョブチェンジする事態になりかねないので街まで一度行く必要はあるのである。
危険地帯である森は先ほども述べたとおり消滅しているため一見危険は無いようだが、どうも俺か宇美音子さん辺りが周囲にさりげなくまき散らしている殺気を取り除くと魔獣が殺到して我先にと夕食か昼食かは知らないが、三食の何れかに俺たちを組み込もうと躍起になってくるようなのである。
オッドやベヒス嬢曰く、通常であれば街から塔まで至る間に数十回と魔獣に遭遇して然るべきらしいのである。
それが、一度も無いのだ。
何やら原因があると思い見回してみると地味に殺気を振りまいている宇美音子さんが目に入ったのである。
それからは俺も地味に周囲に殺気を振りまくことにしている。
無論、オッドとかには誤っても殺気を振りまかないように最新の注意は払っているが。
殺気に慣れてないヤツは一定以上の殺気を受けると意識が混濁したりする場合があるからな。
取り敢えず、無闇に周囲を警戒して気張っているサイレンとオッドとベヒス嬢にはその旨を伝えることにしたのである。
するとどうだろうか。
サイレンは驚いた表情をしてみせたが、少々半信半疑といった風であったが、少し歩いても魔獣のまの影も見えないため信じたようである。
それから少々の警戒を残して気張るのを止めるという状況である。
これが普通の反応だろうか。
多少図太い気がしなくもないが。
いやいや、俺が言えた立場でもないが。
さて、まあそれは普通の反応として置いておくとしよう。
俺が気になったのは、耳にした瞬間やたらとくつろぎだしたオッドである。
警戒を解く所か寧ろ隙さえ見えてしまうほどである。
塔に向かう際にも少し漏らしていた訳だが、どうも現状魔獣に遭遇指定ないことを思い出したらしく、それで俺の言葉を信じたようである。
というよりも、今の今までサイレンの事やらでいっぱいいっぱいになっていたんじゃないだろうか。
宇美音子さん曰く、ヨーダっぽいあいつが神の化身っぽい事に気がついて教えたら相当取り乱したらしいしそれも尾を引いてるのかね。
まるで休日に朝からレンタルビデオを大量に借りて徹夜する勢いで上映会を開催し、それの後半みたいな状況である。
――流石に寝転がったりとかはしていないが雰囲気がソレである。
自走こそしているが、ソレと錯覚してしまいそうなのである。
その不可思議な現象は最早幻覚作用を催す有毒ガスでも用いたのかと問いたくなるほどである。
ベヒス嬢はそこそこの警戒を一応見せてくれてはいるが、先と比べるとどうも完全に警戒を解いていると言って問題ないレベルであった。
中々に俺や宇美音子さんに信頼を置いてくれているのか慣れてきたのか判断を窮するところであるが良しとしておこう。
そろそろ挿絵とかを入れることも考えていきたいと思います。
表現力が宜しく無いのでその辺で誤魔化しでもしなければ申し訳ないかなと思わなくもありませんし。
挿絵が欲しい場面とかあれば要望してください。
画力的に再現可能範囲であれば再現していきたいと思います。




