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姉を追い出して当主になった悪女ですが、何か?  作者: 堀多 ボルダ
第三章 悪女とお茶会

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03-2(1)

 お茶会当日。

お茶会は一人で参加する人も多い。ダリアももちろん一人で参加だ。

なるべくダメージを減らそうと、ダリアは時間ギリギリに到着するよう会場に向かった。


会場はフォックス公爵家。会場となる部屋は公爵家自慢の庭に面しており、美しい花々が招待客の目を楽しませていた。


 ダリアが少し遅れて会場に入ると、賑やかだった場が一瞬にして静まり返った。

会場中の視線が自分一人に集まるのを感じて、ダリアは思わず下を向きそうになる。


「怯むな。覚悟を決めたんだろ」

夜会のときにクライドに言われた言葉を思い出すと、不思議と心が落ち着いた。


私は稀代の悪女だ、と自身を奮い立たせ顔を上げる。そんな心情を周囲に悟られないように、余裕があるようにゆっくりと会場内を見渡し、中に入った。


周囲からヒソヒソと話し声が聞こえてくる。小声のためところどころしかわからないが、間違いなく悪口だ。

中には聞こえるように「よく来れましたわね」「メアリ様がおかわいそう」などの声も聞こえる。


夜会のときに挨拶をした貴族たちの多くは、実際には何があったかを正しく知った上であえて黙っていたように感じたが、この会場にいる女性たちは、〝姉を追い出した悪女〟という噂をそのまま信じているようだ。ダリアを見る視線が鋭い刃物のように刺さってくる。

以前のお茶会では楽しく会話をした令嬢たちも見かけたが、みなダリアを見ると目をそらした。


 空いている椅子を見つけ座ると、給仕から紅茶を受け取り、飲みながら周囲を見渡す。


あいかわらず、悪口はあちこちから聞こえる。クライドの名前も聞こえてきた。やっぱり悪い評判になっている。夜会に連れて行くんじゃなかった。ダリアは心のなかで舌打ちをした。


 紅茶をゆっくりと飲み終えると、カップをソーサーに戻した。

出席はした。周囲にも自分が参加したことを見せつけた。あとは主催者のソニキュア・フォックス公爵令嬢に挨拶をして、とっとと帰ろう。


 ソニキュアを探すため周囲を見渡すと、遠くに人が集まっているのが見えた。

その集まりはだんだんこちらに移動してきて、やがてダリアの前で止まった。

集団の中心にいたのは、美しい女性。ソニキュア・フォックス公爵令嬢その人だ。


ダリアは慌てて立ち上がり礼をとる。

自分を招待した意図がわからないので、目線は下に向いたままにした。


「今日はお越しいただきありがとうございます。ダリア・マクレディ伯爵」

優しい声が頭上から降ってきて、ダリアはゆっくりと顔を上げた。


ソニキュア・フォックス公爵令嬢は穏やかな笑みを浮かべ、ダリアの前に立っていた。


 ソニキュアが周囲に目をやると、周りにいた取り巻きの令嬢たちは黙ってみんな距離を取った。

ソニキュアはダリアに椅子をすすめ、同じテーブルの反対側に自分も座った。


「ごめんなさいね」ソニキュアがダリアを見て申し訳なさそうに言った。

謝られる理由がわからず、不思議そうな顔をしていたらしい。くすりと笑うと

「他の方たちの対応よ。ここまでひどいとは予想していなかったの。あなたにとっては針の筵だったわね」

「いえ、そんなことは」


ソニキュアが悪意のみでお茶会に招待したわけではないと思ったダリアは思い切って聞いてみた。

「なぜ、私を招待してくださったのですか」

「そうね、あなたに興味があったから、かしら」

「興味、ですか」

「そう。少し私とお話してくれないかしら」


 それからダリアとソニキュアは他愛もない会話を交わした。

ソニキュアは会話も上手く、最初緊張していたダリアも次第にリラックスして会話を楽しめるようになってきた。

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