人物紹介
デーンデーンデーン・デ・デ・デーン・デーデデン♪
王国歴――何年かはさておき。
王都では今日も、婚約破棄、魅了、記憶喪失、白い結婚、聖女、スローライフなど、数々な修羅場が発生していた。
その中心にいるのは、なぜかいつも一人の伯爵令嬢――セシリア・アースキン。
浮気現場を目撃すれば証人を集め、階段から落ちた令嬢がいれば段数を確認し、王太子の子を妊娠したと聞けば、とりあえず本人を見る。
本人に修羅場を解決する意思は、特にない。
ただ、気になるだけである。
そして彼女の隣には――アドリアン・レオポルド・ヴァルディエール、この国の王太子。
政務能力は高い。
責任感もある。
身分もある。
顔もいい。
しかし精神耐性が低い。
托卵されかけた直後に、魅了され「おもしれー女」と口走り、呪われては裸のハダカデバネズミになり、数字には簡単に感動し、ドレス姿の令嬢を追いかけて普通に負ける。
そして何より――童帝である。
その事実によって、一度は王家の血統を救ったのだが、本人はまったく誇りに思っていない。
そんな二人を遠巻きに見守るのは、料理が得意な冷静かつ有能な侍女、リタ。
修羅場に遭遇した姉を心の底から「ずるい!」と羨ましがる十二歳、ミシェル・アースキン。
白い結婚から時間逆行まで、人形遊びだけで数々の悲劇を生み出す八歳の第二王子。
そして――ハンバーグを世に広め、異世界知識を持ち込もうとした国王。
その大抵はすでに存在していた。
ほかにも――
浮気相手と間違えて階段で殴り合いをしたサリーとスザンヌ。そして犬カフェの推し犬セザンヌ。
大袈裟な数字を扱う商会令嬢は、キャンピングカーを爆破させ、いつか自分の商才を見出す辺境伯を待つ。
王太子の元婚約者は立派な妊婦様になり、寝取った間男は記憶を失ったかと思ったら、鯖で滑ってもう一度頭を打ったことで記憶を取り戻した笛吹き。
更には病弱な幼馴染は、糖尿病に痛風を患い、親友とセザンヌと一緒にダイエットに励む。
王太子を魅了しかけた元魅了魔道具購入者は、無事に片想いの幼馴染と婚約をして、田舎でスローライフを始めるつもりが、領地経営の現実を突きつけられる。
「ステータスオープン!」と叫んだ結果、剣でも魔法でもなく刺繍の才能を発見した元騎士は、今や王都一の刺繍職人に。
そして王宮の水槽では今日も――数匹の鯖が泳いでいる。
なぜ増えたり減ったりするのか、誰も知らない。
いや、おそらく一人だけ知っている。
「私って、サバサバしてるから!山田君!鯖一匹持ってって!」
王太子である。
物語は、ついに終幕へ向かう――たぶん。
なぜならこの王国には、まだ修羅場が残っているかもしれないからだ。
デデデデーン・デデデデーン……デーン!デン!デーーーーン!!♪





