輸送の仕事 おっさんの畑・2
水の掛かった周辺に、種や種芋を置いていった。
後は放置するだけだな。
そういえば時間はどういう流れだ?
設定を押すと。
1時間ー>24時間
時間同期 最大8時間
ん?
1時間ー>24時間は押しても反応しない。
時間同期を押すと『同期中』と表示される。
何だこれ?
<質問と回答>で、動作を確認した。
時間はこちらの世界が1時間で、畑は1日経過する。
時間同期中のみ世界が1時間で、畑が1時間になるようだ。
おっさんの倉庫とは仕様が、違うらしい。
時間同期を押して解除した。
やることが無くなったので、筋トレをする。
昼食後に畑を確認、特に変化はない。
夕食後の確認。
いつの間にか芽が出て、葉っぱが生えているぞ!
感動だ!
明日の朝には、収穫できるの物があるかもしれない。
朝がやって来た、尻尾が邪魔だ!
魔導書ドラクエが腕の中で寝ているが、尻をこちらに向けている。
尻をコッチに向けるな!
猫の習性なのか?
いや、あいつ猫じゃないだろ、魔導書だ。
直樹:
「さて……
冒険の書」
馬鹿猫が消え去り、おっさんの畑を確認した。
芋類の収穫はまだできない。
葉物も、もう少し時間がいるだろうか?
枯れてなくて、よかった。
間欠給水は機能しているらしい。
食事をすませて荷物を取り込むと馬車は……
俺の所に来ない、止まったままだ。
フリストとユミルが何かやっている。
何か積み込んでいるのか?
用事は終わったらしく、俺の所にやって来る。
俺が乗ると馬車はすぐに走り出した。
狭いぞ!
これは、いつもより人口密度が増している!
確かいつもは7人のはずだが。
今回は、なぜか11人いた。
ひとり、ひとりの顔を見ていくと。
フリストが、目をそらした。
直樹:
「フリスト。
聞きたいことがある」
フリスト:
「俺様は、何も知りません!」
直樹:
「いや、お前は知っている。
なぜ、人数が増えた?」
フリスト:
「さぁ……」
直樹:
「フリスト。
俺の目を見て答えろ。
人数が増えたのは、お前の責任か?」
フリスト:
「いいえ……」
目を合わせようとしない。
直樹:
「怒らないから、正直に言え……」
フリスト:
「いや……
前回の失敗を踏まえて。
俺様とユミルの代わりに護衛兵を……」
直樹:
「どういう事だ?
お前たちが警護の任務を、しなくてもいいように。
兵士を付けたという事か?」
フリスト:
「はい……
だって、魚が食べられないじゃんか!」
直樹:
「お前は、まったく。
よく少将が許したな、あのケチが……
人件費だって増えるだろうに」
フリストが急に百面相を始める。
直樹:
「おい!
お前、まだ何か隠し事を!」
フリスト:
「違うよ!
俺様は、ナオキちゃんのために。
異世界人と会えるように話を付けただけだよ!」
直樹:
「なんの話だ?」
フリスト:
「ナオキちゃんだって。
異世界人に会いたいでしょ?」
直樹:
「それは、そうだが……」
フリスト:
「いつかは、こうなるはずだから。
少し予定を早めただけだよ!
大丈夫!
俺様が、ナオキちゃんを守るから!!」
直樹:
「どういう事だ?」
フリスト:
「ナオキちゃん。
大丈夫!
守るから!!」
直樹:
「ユミル、どういう事だ?」
ユミルが、はぁーーとため息をつくと。
フリストの代わりにユミルが話し出した。
ユミル:
「ナオキ様。
今回の輸送が終わった後の話です。
結論から言うと。
近々に戦地へ物資輸送が開始されます」
直樹:
「はぁ!?
危険じゃないのか?
どういうことだ?」
ユミル:
「かいつまんで言うと……
フリストが見送りに来た少将殿に、護衛の兵士を増やせと無理を言い出しました。
当然拒否されるのですが。
この時、異世界人の話が出たのです。
異世界人をナオキ様に、会わせないんだから。
少しは優遇しろと……
実は前回紹介された異世界人たちは、戦地へと向かう事が正式に決定されたそうです。
戦闘はいつ終わるかも見当がつかず。
会うのなら当然戦地へと赴く必要があります。
ナオキ様はいずれ戦地への輸送任務も請け負う事になるはずで。
少将殿も戦地への輸送を。
いつ切り出そうか悩んでいるようでした。
そこで……フリストが力説したのです。
ナオキ様は、これについても前向きだ!
と、戦地へ行くのなら。
竜車にも護衛兵が、もっと乗ることになる。
だから今回の輸送からでも兵士を増やして。
事前に慣れておく必要があるはずだと……」
直樹:
「ユミル!!
何だそれは!!
お前は何も言わなかったのか!?」
ユミル:
「ナオキ様は、ご家族を探しておられます。
探す場所について。
心当たりはありますか?」
直樹:
「いや……
しかし、これと今回の件に関係があるの……か?」
ユミル:
「はい。
異世界人の方は例外なく冒険の書を持っています。
種類は違いますが、その力は強力です」
直樹:
「軍事利用か……
そして、その活躍の地は戦場……」
ユミル:
「はい
そして、戦争では命が消費されます」
直樹:
「異世界人は戦場へと集まる。
そうか。
時間が足りないな……」
ユミル:
「はい
申し訳ありません」
直樹:
「ユミル。
お前はこの可能性を初めから知っていたな……?」
ユミル:
「はい
申し訳ありません」
直樹:
「いいんだ。ありがとう。
今回のお前の判断は、俺の望みと一致している。
俺が、甘いんだ……
そうだ……
考えるべきだったんだ。
気づくべきだった……
家族が……
家族が戦場にいる可能性に!」
ユミル:
「申し訳ありません」
直樹:
「いい。
ユミル。
俺は強くなれると思うか?」
ユミル:
「わかりません……」
直樹:
「ユミル!、フリスト!
力を貸せ、強くなるぞ!」
ユミル:
「はい」
フリスト:
「それなりに……」
フリストをじっと見つめる。
フリスト:
「はい、頑張ります!」
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