貰い火 嘆き・10
直樹:
「ある人物を探しているんのだが。
まだ自分以外の、異世界人に会ったことがない。
まずは誰でもいい。
異世界人に会いたいんだ」
メグスラシル中将:
「なるほど……
こちらでも、探してみよう」
直樹:
「それは嬉しいな。
よろしく頼む」
メグスラシル中将:
「当然、報酬は貰うがね。
働いて払ってもらう」
直樹:
「仕方がない……かな。
では、早速だが。
兵士を転移させたい。
無人のテントを貸してくれ」
メグスラシル中将:
「わかった。
大佐、ナオキ殿を案内してくれ」
大佐:
「はい」
俺たちは、近くにあった無人のテントに案内される。
17番に連絡を取った。
自己紹介が終わった元中将の兵を、畑へと集めさせる。
グループ転移の実験もしておこう。
畑の映像で範囲選択すればグループ化できるみたいだ。
全体転移は荷物のような位置指定が必要になる。
個別転移は転送位置を指定すればいいみたいだ。
位置を指定すると隷属者が一人転移する。
その場所から退けば次々と転移して来た。
追々、テストしておこう。
全員の転移が完了する。
直樹:
「みんな、話は聞いているな?
3日間の軍務に励んでくれ。
内勤だ。
内勤以外の仕事は断っていい。
畑に帰る前には、少ないが給料をもらえるらしいぞ。
では、よろしく頼む」
全員から了承の返事が返ったきた。
直樹:
「大佐!
500人。
全員無事で返してくれよ!」
大佐:
「戦争中なので確約はできませんが。
内務の仕事をやっていただきます」
物資の輸送、店、物資供給、14時からは隠れ家で自己紹介を聞いた。
3日間は無事すぎていく。
500人と1千人を、交代させる。
俺は報酬として45万貰った。
隷属者の日給を逆算する。
日給は1800。
命の値段が安いな。
嫌な世界だ。
物資の販売では500万貰った。
次の日、15時に作業が終わり隠れ家に行く。
カーーン、カーーン。
キン、キン。
住居の建築中だ。
5千人もいるとさすがに賑やかだが。
いつもと様子が違う。
奥の方に人だかりというか……
剣を抜いた兵士が、何十人もいる。
歩いていくと、1番と17番が走ってきた。
1番:
「急いで、こちらへ」
17番:
「敵です!」
敵?
そんなもの、居るはずが無いが……
人だかりに案内された。
1番:
「領主様が来られた。
全員、命令を待て」
17番:
「ヤツラに問題はないか?」
隷属者:
「逃走は、ありません」
俺たちが近づくと、道を開けた。
拘束されていた12人が、こちらを見る。
申し訳なさそうに、うなだれた。
直樹:
「一体どうした?」
17番:
「敵です」
直樹:
「敵?
隷属者の中に存在するのか?」
1番:
「指が4本しかありません」
直樹:
「欠損か?
いや……
隷属者は体が完全修復されるはずだが」
1番:
「4本指、賢人族です」
直樹:
「賢人族?
あの、賢人?
俺たちが戦っている相手か?」
1番:
「はい」
心臓が強く脈打ち、頭に血が上た。
怒りで頭が真っ白になる。
17番:
「早く、始末しましょう」
復讐という名の黒い感情が、体をかけ巡る。
駄目だ、落ち着け!
殺すことは、いつでもできる。
他にやるべきことがあるはずだ。
直樹:
「ドラクエ!
魔導書ドラクエ!
いるか?」
魔導書ドラクエ:
「どうしたナオキ。
ここにいるぞ」
直樹:
「賢人族も、隷属できるのか?」
魔導書ドラクエ:
「もちろんだ。
この世界の全住人が可能だ」
直樹:
「外から侵入されてはいないのか?」
魔導書ドラクエ:
「侵入された形跡はない」
直樹:
「侵入される事はあるのか?」
魔導書ドラクエ:
「無論だ。
異世界人の力ならあり得る」
直樹:
「こいつらが本当の隷属者かどうか。
確認はできるか?」
魔導書ドラクエ:
「隷属者は、隷属の書を持っている。
種族も記載されてるしな」
直樹:
「こいつらの縄を解いてくれ」
17番:
「はい」
兵士たちが、縄を解いていく。
17番:
「気を抜くなよ!」
直樹:
「誰か・
隷属の書を見せてくれ」
1人が俺に、隷属の書を提示した。
種族は人間族と記載されている。
直樹:
「おい、魔導書ドラクエ。
種族が人間族なんだが。
賢人じゃないのか?」
魔導書ドラクエ:
「そいつらは、人間族だ。
賢人は自称だ」
直樹:
「確か。
人間族は2種類いなかったか?」
魔導書ドラクエ:
「2種類いるぞ」
直樹:
「隷属の書では見分けが付かないんじゃないのか?
どうやって判断する?」
魔導書ドラクエ:
「そいつらは、指が4本だ。
あと、へそがない」
直樹:
「おい。
ちょっと、確認をさせてもらうぞ」
服をめくって、へそを確認する。
確かにへそが無い。
窪みすら無い。
12人全員、へそと隷属の書を確認した。
直樹:
「ややこしいな。
お前たち。
全員、賢人族という事でいいのか?」
全員が頷く。
直樹:
「さて……
どうしたものか?」
17番:
「処分しましょう」
直樹:
「駄目だ。
ちょっと待て」
このままでは、俺がいない間に殺されかねない……
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