貰い火 嘆き・8
直樹:
「なんだ?
遺体泥棒の件か?
だから盗んでないぞ。
本人の許可だって貰っている。
それにお前たちでは、助けられなかっただろ?
救えないお前らが悪い」
メグスラシル中将:
「そこではない。
君が助けた兵士たちの状況の事だ。
よく聞いてくれ。
君が助けなければ、全員が死んでいたはずだ。
その場合、兵士が身寄りのない場合を除き。
兵士の家族には、戦死の保障として金銭が支払われる。
そのお金は、家族にとって重要な生活費になるだろう……
しかし、君が助けてしまった。
彼らは、まだ生きているのだろう?
当然、戦死保障金は支払えない。
しかも、彼らは軍務を放棄している。
給料は出ない。
仕送りをしていた兵士の家族は。
いったいどうやって、暮らしていけばいいんだ?」
直樹:
「待て!
待て、待て、待て!
ちょっと待ってくれ!」
まずいぞ……
そんな仕組みがあったのか。
基地の軍医は、どう処理していたんだ?
隷属者の家族の事なんて、考えたこともなかった。
直樹:
「あぁ!
俺の勘違いだ!
こいつら以外は、みんな死んでたぞ!
奴ら全員に、その戦死保障金を!」
メグスラシル中将:
「では、遺体は何処に?
彼らの遺体は無い。
戦死保障を払うのは難しい」
直樹:
「待て、待て。
本当に待ってくれ!
そうだ!
死体が見つからない戦死者だっているはずだろ!」
メグスラシル中将:
「こんなに大量は、ありえないぞ!」
直樹:
「待ってほしい」
メグスラシル中将:
「そこでだが。
どうだろう?
君が助けた兵士を、こちらで働かせないか?
それなら給料は出せる。
戦死保障金も小額にはなるが、都合してもいい」
直樹:
「兵士として参加させるのか?
それは無理だ。
条件が色々とある。
4日を超えては、存在できない」
メグスラシル中将:
「それは、どういうことだ?」
直樹:
「奇跡の代償だ!
困ったぞ……
時間をくれ!
すぐには回答できない」
メグスラシル中将:
「ナオキ殿。
我々も鬼ではない。
彼らは、君がいなければ確かに死んでいたはずだ。
こちらも少し考えてみよう。
1日挟んで明後日。
また話し合いを持とうではないか?
どうだろ?」
直樹:
「ありがとう。
よろしく頼む」
メグスラシル中将:
「そうか。
ありがたい。
ではよろしく頼む。
明後日、またこちらから兵を連絡に行かせる」
直樹:
「わかった」
中将と握手をして、テントを出る。
物資補給の仕事に戻った。
大佐:
「メグスラシル中将、お見事です」
准将:
「クッソ!
あの異世界人!」
メグスラシル中将:
「まだ序盤に過ぎない」
准将:
「次は、必ず!」
大佐:
「准将殿。
異世界人を敵視するのはおやめください」
メグスラシル中将:
「准将!
彼に手を出すことは許さない!」
准将:
「しかし、メグスラシル様……」
メグスラシル中将:
「准将!
君は、状況がまるで分っていない!
感情論で物を見るな。
今は戦争中だ。
彼は我々の補給線。
生命線となりえる存在だ。
彼の協力が得られなければ、後1月と持たない。
准将!!
君が彼の代わりに、物資を提供できるのか?」
准将:
「無理……です。
申し訳ありません」
メグスラシル中将:
「我々は、負ける事は許されない。
どんな手を使ってでもだ!
大佐!
現在の兵站状況を」
大佐:
「はい。
現在、補給線の復旧の目途が立っておりません。
異世界人に頼っている状態です。
兵の補充の件ですが。
戦地を迂回している事と、敵の妨害もあり補充が厳しい状況です。
消耗速度に追いつきません」
メグスラシル中将:
「要請している、異世界人の状況は?」
大佐:
「できればローガン殿、もしくはジョン殿。
誰か戦闘系異世界人の援助をいただけないか。
上層部に打診しては、ありますが。
望みは薄いと言わざるえません。
わが部隊に配属されている異世界人2人は役に立たず。
改善のために、キンックで訓練中です。
敵軍に、異世界人の兆候は見られませんが。
警戒は必要です」
メグスラシル中将:
「今、ナオキ殿を手放すわけにはいかない……」
大佐:
「はい。
ですから、ナオキ殿を追い込むのは……」
メグスラシル中将:
「わかっている。
それにあの能力、どれほどの兵士を扱える?
よし。
瀕死の兵士はナオキ殿に引き渡せるよう配慮させろ。
バレてもかまわない。
それと巡回・警護の兵士は、接触させるな。
物資の補給時に、少将への手紙を依頼しよう。
それとは別ルートで、少将へ連絡を取れ。
彼の情報を集めるんだ!」
中将との話が終わった俺たちは、黙々と作業をする。
何処の世界も、金の問題が付きまとう。
午後14時から、俺一人で瀕死の連中を隷属させる。
超絶操作マッスルマリオネットを使えば、バレることはない。
34人の追加だ。
申し訳ないが……
いざとなったら隷属者の家族の件は、無視させてもらう。
そもそも隷属者とは、条件を提示しての契約だ。
腹を括ってしまえば、たいした話ではない。
できる限りは、彼らの家族も助けてやりたいとは思うが。
限界はある。
今回の件で、軍に目を付けられたと思うが。
それなりの兵力は持っているので、逃げ切れるだろう。
中将と適当に話を合わせながら、自分の有利な方向へもっていきたい。
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