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ドラゴンの国と深淵へのクエスト ~異世界転移したおっさんが、戦場を彷徨う~  作者: 社畜とキメラ
第三章 異世界転移したおっさんが、戦場を彷徨う。
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貰い火 嘆き・7

直樹:

「遺体を盗んだというのなら、俺ではない。

 大きな誤解がある」


中将:

「誤解?

 それでは詳しく、聞きたいものだな」


直樹:

「兵士を千人ほどもらったが、全員、生きていたぞ。

 だから、遺体が無いというのなら。

 俺ではない。

 お前の勘違いだ」


中将:

「それは、どういう……」


護衛兵:

「何たる無礼!

 その言葉遣い!」



顔を真っ赤にした護衛兵が、鎧をガチガチとうるさい。



直樹:

「この中にお前たちの言う。

 遺体の顔が分かる者はいるか?」


中将:

「大佐。

 分かるか?」


大佐:

「確認してみないと、なんとも言えませんが……」


直樹:

「ユミル、フリスト。

 視線を遮れ」



今回隷属した連中を、適当に10人取り出した。



護衛兵:

「馬鹿な!

 どこから?」



護衛兵がさっきからうるさい。


取り出した連中が、こぞって自己紹介を始める。

こいつら状況が分からないのか?

隷属者の話を聞いてから椅子に座った。



直樹:

「時間を取らせた。

 すまないな。


 そこの大佐が、お前たちを確認したいらしい」


大佐:

「よろしいかな?」



大佐が前に出た。

驚きながらも、隷属者たちを確認していく。


大佐:

「あ!

 この兵は見覚えがあります!

 たしかに、我が軍の兵士です。

 確か、致命傷を受けていたはず。


 死んだはずでは……

 それが、どうして……

 元気そうじゃないか?」



護衛兵が怒鳴る。



護衛兵:

「栄光ある、我が軍の兵士が、なぜ!

 異世界人、如きの元に!

 目を覚ませ貴様ら!」


直樹:

「中将。

 そこの護衛兵、静かにならないか?」


護衛兵:

「メグスラシル中将に対して、その口の利き方は何だ!

 礼儀を払え!!」



激昂した護衛兵が襲い掛かってきた。

隷属者たちが、武器を抜いて俺の盾になる。

護衛兵は容赦なく切りかかった。

しかし、

それよりも早く、フリストが殴り倒す。


ガッン、ガシャガシャ。



護衛兵:

「グゥッ」


隷属者たちが護衛兵を引きずり倒し、首を切り落とそうとした。



直樹、中将:

「待て!」


俺と中将が同時に叫ぶ。


何処かの工場の流れ作業だろうか?

首が飛ぶところだった……



直樹:

「開放してやれ」


隷属者たち:

「はい」


隷属者たちは素直に答えたが。

護衛兵の手を後ろで縛りあげ、口を縄で縛る。

体をまさぐって、武器を全部取り上げ、俺の足元に放り投げた。

オイ、オイ、いいのか?


俺の目が点になっていると、向こうも驚いていた。

大佐の口が、金魚のようにパクパクしている。



直樹:

「お前ら容赦ないな……」


隷属者たちは、全員、剣を抜いたままだ。

向こうの兵士たちも全面に出てくる。

異様な殺気に包まれた。



メグスラシル中将:

「大佐。

 准将の縄を切ってやれ」


大佐:

「はい」


直樹:

「中将。

 うちの者が、すまない」


メグスラシル中将:

「こちらこそ、申し訳ない。

 えーっと。

 何とお呼びすれば、良いのかな?

 異世界人殿」


直樹:

「自己紹介が、まだだったかな?

 俺のことはナオキと呼んでくれ」


メグスラシル中将:

「自分は、メグスラシルだ。

 では、ナオキ殿。

 誤解について、詳しく聞かせてほしい」


直樹:

「遺体安置所から連れて行ったのは、全て生きていた人間たちだ。

 そちらの大佐が、確認した通り。

 元兵士で間違いない。


 俺は遺体安置所で。

 瀕死の兵士を殺そうとしていた人間に出会った。

 それを見つけた俺たちが、その兵を助けたという訳だ。

 

 毒を盛ろうとしていたのは、そいつだな。

 気持ちはわかる。

 それしか助ける手段がなかった。

 苦しむ友人を、助けたかったのだろう。


 だが、俺たちには別の手段があった。

 だからそれを使って、救うことにした。

 これが経緯だ」


メグスラシル中将:

「経緯は分かった。

 ナオキ殿が救ったという。

 その兵士たちは、今、どうしている?」


直樹:

「元気にしているぞ。

 体もすべて、完治している。

 ここにいる連中と同じだ」


メグスラシル中将:

「では、その彼らを。

 軍に返して、もらえないだろうか?」


直樹:

「無理だ!」


准将らしい護衛兵:

「貴様!

 なんと横暴な!

 その態度!!」


メグスラシル中将:

「准将!

 下がれ!

 君には、こういう交渉事は向いていない。

 黙れないのなら、ここから出ていけ!」


准将らしい護衛兵:

「申し訳ございません」


メグスラシル中将:

「ナオキ殿……

 理由を聞いてもいいだろうか?」


直樹:

「中将。

 異世界人についてどこまで知っている?」


メグスラシル中将:

「多くは知らない。

 我々には無い、特別な力を持っている。

 くらいだとしか……」


直樹:

「異世界人の俺も同じだ。

 よくわからない力を持っている。


 異世界人は冒険の書のと呼ばれる魔導書を持つらしい。

 なぜ持っているかは、俺に聞くな。

 俺も知らない。


 この冒険の書には、特別な力がある。

 個人によって違うらしいのだが。


 この力を使って、瀕死の人間を治した。

 これだけの奇跡だ。

 当然、条件や代償がある。


 俺が治せるのは、一人の人間につき1度だけ。

 治された者は、一生俺の奴隷となる。


 俺が一方的にはできる訳ではない。

 相手の許可が必要だ。

 事前に制約書を渡さなくてはできない。


 彼らはこことは違う世界で、暮らすことになる。

 こちらの世界に自分の意志では来ることができない。

 そういう意味では。

 死んでいるに等しい気もするが……」


メグスラシル中将:

「君の護衛兵10人、現在ここにいる訳だが。

 他には何人、出てこられるのかな?」


直樹:

「うーーん。

 試したことがない。

 わからないな……」


メグスラシル中将:

「ナオキ殿。

 君は自分がしたことの意味を、分かっているのか?

 気づいているか?

 事の重大さを!」

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都市名があるのですが地図がないと、把握が難しいので。 地図
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