壊れた異世界人 交渉
2020/09/04 誤字修正
目が覚めると、僕はベッドに寝ていた。
たしか昨日のうちに目が覚めはずだ……
すぐに薬を飲まされ、寝たのをぼんやりと思い出す。
医師?:
「意識はありますか?
体の具合はどうですか?」
ユミル:
「おはようございます。
特に問題はありません」
医師?:
「お食事を運んできますので、お待ちください」
食事がおわると、何もすることがない。
失敗だ。
交渉は、失敗に終わった。
涙が出る。
エイルの待遇が、悪化することが、何よりもつらいのだ。
せっかくつかんだチャンスだったというのに。
エイルの笑顔を思い出す。
また、あんな劣悪な環境を押し付けるのか……
コンコンコンコン。
医師?:
「お待ちしておりました。
どうぞ、お入りください」
誰かが、部屋に入ってくる。
あれは、確か倉庫で……
60代男性?:
「ユミル伍長、具合はどうだ?
君に会うのはこれで2度目だな。
自己紹介しておこう。
私の名前は、ヴァンランディ。
階級は中佐だ」
ユミル:
「申し訳ありません」
ヴァンランディ:
「報告は受けている。
大変だったようだね」
ユミル:
「妹はどうなりました?
エイルは、大丈夫ですか?
がんばります。
もっと、がんばりますから、妹は助けてください!
妹だけは……」
ヴァンランディ:
「どうした?
ユミルくん。
妹さんなら、いつもの病室だぞ」
ユミル:
「いつも……
あの汚い病室ですか……」
ヴァンランディ:
「いったい何を言っている?
妹さんは、1等級の個室だろ?」
ユミル:
「でも……
僕は、任務を失敗して」
ヴァンランディ:
「どうした?
やはり、記憶が混乱しているのか?
落ち着いて、聞きたまえ。
ユミル伍長。
任務は継続だ」
ユミル:
「そんな……
僕は、異世界人を怒らせて」
ヴァンランディ:
「君は、その後の経緯を知らないんだったな。
説明しよう。
フリスト二等兵からの報告では、君は死に至るほどの大怪我を負った。
医療班と供に駆けつけると、君の体は修復を始めていたらしい。
そして君の体が大方治るまで待ち、ここへと運び込んだ。
衰弱がひどく相当危険な状況だったらしい。
ここに来てからも、君の体は治り続けたそうだ。
かなり高度な回復魔法をかけられていたようだな。
もしかして、君は……
昨日、寝が覚めたと思っているのではないか?
たしかに、君は5日間寝込んでいた。
だが、不可解なことに……
君はその間、自身で食事をとっていたんだぞ。
うつろな顔でな。
我々は君の負傷の話を聞き、すぐに代理の交渉人を立てた。
だが、部屋に入ることでさえ、できなかったんだ。
すぐにフリスト二等兵を通して、状況確認をしている。
異世界人からの回答はこうだ。
どんな手段を使っても、君を生かして連れて来い。
君以外の交渉相手は認めない。
だそうだ。
体の具合はどうだ?
任務に支障がないのなら、すぐに行ってほしい。
それから、異世界人から資料の請求があったので渡してある。
君の物と……
君の妹さんの情報だ」
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