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ねじ

「日常」という漫画がある。

この作品に登場するヒロイン、東雲なのは、ロボットである。それを象徴するのが、背中から生えた、あの巨大なネジであろう。


ではあのおそらく最大のパーツがなんのために用いられているかという描写は、一切ない。

ここでは、忌々しきかの物体の工学的意義について概説する。


東雲なのは、単なる玩具や家電ではなく、日常生活を人間とほぼ同等に営む人型ロボットである。


歩行、跳躍、筆記、会話、表情制御、衣服の着脱、さらには学校生活への適応まで、人間と同等にこなしている。事実上、ネジの存在や様々なギミック以外に、なのを人間と隔てる様子はほとんど見られない。

まず、これは凄いことである。

なのは、モラベックのパラドックスを完全に克服しているように見えるのだ。知能テストやチェッカーで大人並みの能力を出すのは比較的容易だが、知覚や移動に関して一歳児の技能を与えるのは難しい、というものである。


さて、作中においては、なのが計算を苦手とすることが示されている。これはいまや、矛盾でもなんでもない。たとえばLLMはそれ自身においては計算が極めて苦手であるし、日常生活において必ずしも必要とはいえない計算機能にリソースが割かれないことは、日常生活を人間同等に営むためにはトレードオフされて然るべきである。

そもそも、なのは自発的に学習するロボットでもあるので、そのような機能を内蔵している必要すらない。これは、LLMが数学的計算を計算ツールに外注しているのと同じ構造である。AGIの設計方針においても、高い数学的計算能力よりも、ツールを適切に扱う知性が注目されている。手計算が上手い必要はまるでない。

東雲なのは運動制御においても、驚くべきことに人間と同等であり、その知覚すらも同等である。近くを通じて外界を認識し、人と同等に振る舞う。

2026年の技術からは、まだ一歩先の技術と考えて良いだろう。ただひとつ、明らかなことがある。

その内部には相当に高密度な電源系・制御系・駆動系が収められていなければならない。



ところが、そのような高度な機械であるにもかかわらず、外見上の機械要素は、背面中央に露出した巨大なネジただ一つ。

しかも、これが作中において使われた形跡はまるでなく、しかも時々少し回る。ネジと言ってもボルトというより、まるでゼンマイ仕掛けであるかのような代物だが、ゼンマイ駆動によってあれだけの高性能ロボットを動かすのには無理があるし、時折爆発することからしてかなり高いエネルギーを内蔵しているとしか考えられない。


高性能ロボットの実現にあたり問題になるのは、その充電時間である。

私たちのスマートフォンやパソコンも、使用時間の半分ほどの時間をかけて充電しなければならない。

このように、高性能化するとともにひたすら充電に時間がかかるというジレンマが発生し、これは電気自動車が普及しない原因にもつながっている。

しかし、東雲なのには、そうした長時間の充電をしている気配がない。特殊な解決策があるはずなのだ。


高出力ケーブルには、電流の2乗かける抵抗分の熱が発生する。電流が大きな細いケーブルでは急速充電は困難であり、描写されないほどの急速充電のためには巨大なケーブルが必要になる。さらにそれがねじれたり変形する危険もある。


そこでだ。

あのネジは内部で発電するために用いられるとしたら、どうだろう。外部充電器はネジを急速に回転させ、ネジの軸に直結したローターが胴体内のコイルを介して発電し、隣接した電池を充電する。

この設計により高出力区画は発電機の近く、胴体の中央部に一括配置することができ、人の姿を損なわずに済むだろう。

さらにだ。あの巨大なネジは高速回転する際の空冷冷却板およびファンとして冷却装置として機能しうる。回転体が翼状の形状をしているのは極めて効率的な設計であると言わざるを得ない。

さらには、補助的なジャイロを内蔵する、ないしバランサーとして若干回転することで姿勢制御にも寄与している可能性もあり、これはモビルスーツにおけるAMBACにも類似する。


この解釈は、なのが駆動時にネジの必要性を一切感じていないことにも合致する。つまり、駆動している=意識のある時、ネジは殆どなんの仕事もしていないし、わずかな動きも自動的に起きる姿勢反射でしかないからだ。


スカーフが猫の言葉を翻訳するレベルだぞ…


実はあのレベルのLLMが業界では普通である可能性すら(そして、すごいのは実はネジかもしれない)

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