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魔動戦機トライエース  作者: 一文字 心


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確認Ⅱ

 園原家に寝泊まりした全員が目の覚ましたのは、その日の九時頃だった。

 朝食を最後に起きて来たシャルが食べ終えた頃には、アリスとジョンも公園から戻って来ており、ロンや香織がリビングで寛いでいる。

 その後、食器の片付けを終えた響とジョンは役所へと手続きに向かい、残された者たちはテレビをつけて地球保全連合や宇宙開拓連合、その他各国首相の発言を流している番組を見始めた。


「なるほどね。一部の軍が勝手にやったこと、か。そんなことあり得るか?」

「ない、とは言い切れないけど、今回の敵の攻撃に加わった艦隊数が異常に多い。普通に考えて、確信犯だと僕は思うけどね」


 シャルの疑問にロンが答えた。

 数艦程度ならば、思想を同じくした軍人たちが結託して事件を起こすくらいはあり得る。ただ、今回の事件はわかっているだけでも二十を超える航宙艦が攻撃を加えてきている。そう考えると、あくまでURU軍の上層部からの直々の指令で動いているというのがロンの推測だった。


「考えてみろって、離れたところに何隻も存在する艦が一斉に蜂起するなんて、統一された指揮系統が無ければ絶対に無理だ」

「まぁ、ロン君の言うこともわかるけど、宇宙開拓連合の副代表さんは、それを止めるために艦隊を派遣するって」


 アリスはちょうどテレビに流れている映像を指差す。

 そこには第四近軌道コロニー周辺で撮影された艦隊群が表示されていた。到着まで早ければ一週間、遅くとも半月で到着するだろうことが示されている。

 コメンテーターは、双方の軍が協力すれば数か月以内には残党も含めて制圧ができると語っていた。


「その艦隊が敵に回らないと良いけどな」


 大規模な艦隊を送れば警戒されるし、地球には近付けない。月を影に回り込むということもできないので、純粋な戦闘能力での勝負になる。そうなれば、国力の差が出やすくURU軍の方が不利。

 だが、今回のような理由であれば、堂々と近くに艦隊を派遣し、展開できる。そこで挟撃することができれば、一方的にEMU軍を殲滅することも可能だ。


「シャルまでそんなこと言って……でも、本当にそうだとすれば、EMU軍の偉い人だって警戒してるでしょう。私たちみたいな子供でも思いつくんだから」

「そうだと思いたいけどな」


 ロンは肩を竦めて、ボーッとテレビに視線を送る。その様子はまさに心ここにあらずと言った感じで、先程まで饒舌に話をしていたとは思えなかった。

 それはシャルも同じようで、いつもなら色々とアリスと話が弾むはずなのだが、今日はあまり口を開かない。結果、アリスも普段より数倍口数が少なくなってしまう。


「それで、何で香織まで黙ってるの?」


 アリスが気になったのは香織だ。あれだけ昨日ははしゃいでいたのに、公園から帰って来てから非難めいた視線を送って来るだけで口を開かない。一体、何か自分がしでかしたかと言動を振り返ってみるが、思い当たるものが無かった。


「……お姉ちゃん。あの魔法使いとデートしてた」


 その発言にアリスは勿論、ロンとシャルも驚愕の声を上げて、アリスを見る。

 慌てて、アリスは両手を振って否定した。


「ないないない。そもそも会ってまだ二日――――時間で言えばまだ一日経ってないんだよ!?」

「だって、死にそうなところを助けてもらったんでしょ? 知ってるよ。吊り橋効果ってやつ」


 頬を膨らませて膝を抱える香織の発言に、アリスは頭が痛くなった。


「な、なるほど、それなら、そういうこともある、のか?」

「ないってば!」


 シャルが納得しかけていたので、速攻でアリスは否定の言葉を強く投げる。

 それでも香織は不満気なままだ。


「あぁ、もうわかった。香織、ちょっと公園まで一緒に散歩。それで文句ないでしょ!」

「お姉ちゃんとお出かけ! やった、すぐ支度する!」


 ソファから跳び上がるようにして起き上がって、部屋を出て行く香織。それを呆然と見守るロンとシャル。その視線は、香織がアリスのことを溺愛しすぎていることに、若干、引き気味であった。


「アリスの妹、マジで凄いな」

「何言ってるの? 二人も一緒に行くよ」


 その言葉にロンとシャルは顔を見合わせる。てっきり、アリスと香織の二人でおでかけかと思っていたからだ。

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