表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔動戦機トライエース  作者: 一文字 心


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/115

地上へⅤ

 ニュースは衛星軌道上から撮影された動画だが、かなり高画質になっており、移動中の戦車やトライエースなどが確認できた。

 中には人型ではなく、四足歩行タイプの兵器も存在している。


「ガルムⅠだ。第二次ニアムーン大戦が起こった時に地球上でも戦闘が発生して、その時に出て来たEMU軍側の狼型トライエースの初期タイプだ。どうしてURU所属の国が……」


 シャルが驚いている横で、アリスは別のことに思考を巡らせた。

 サバエアから南下する場合、その先にある国はアラビアになる。三つ目に建設された軌道エレベーターで、その役割は他の軌道エレベーターを安定させるための支柱を増やすことと、主に貨物運搬能力の向上だった。


「てっきり、エリシウムの方を狙ってくると思ったけど、どうしてこっちに……」

「アルギュレも南下しているんじゃないか? どちらも東西の端から攻めることが可能だからな。その場合、アラビアの隣国で地球保全連合所属のクサンテが黙っていなさそうだけど」


 ジョンが世界地図とニュースを交互に見ながら意見を述べる。

 地球保全連合国が密集している地域であっても、早々に落とせば軌道エレベーターという交渉材料が手に入る。それならば、遠いエリシウムや挟撃しても国民が逃げ出して人質を取りにくいノアキスを狙うよりも効果があると考えたのかもしれない。


「エリシウムの防衛力はアラビアとその周辺国家の合同戦力には劣るけど、地理的なことを考えた時には攻めにくいからなぁ」


 島国ということは責めるには航空戦力か海上戦力有していないと難しいと言える。その点においては、アルギュレもサバエアも海上戦力は無いに等しい。


「どの国も今は航空機よりも航宙艦の建設に力を入れてるから、大気圏内の戦闘機は最低限しかない。冷静に考えれば、エリシウムに攻めるよりも勝算は高いのかもな」


 ロンが素人ながらに今回のサバエアの軍事行動を分析していると、更に緊急速報が追加される。それはアルギュレの軍も南下を開始したという情報だった。


「マジかよ。これじゃあ、本当に戦争が起きるってことか!?」


 悲鳴にも似た驚愕の声にアリスは思わず手を握りしめた。

 たった十年という短い期間に三度目の大戦が勃発しようとしている。そのことが許せなくて仕方が無かった。何故、そんなにも争いを簡単に始めることが決断できるのか理解ができない。


「……移動を開始したとはいっても、アルギュレもサバエアも一日で国境に辿り着くわけじゃない。その間に他の国も何かしら動き出すだろう。実際、クサンテは既にアラビア側へと援軍を送り込む気みたいだ」


 ジョンは既に他のニュースか何かで情報を仕入れていたようで、アリスたちに記者会見を開いているクサンテの首相の映像を提示する。

 現在の状況下で軍を国境に向かわせる行為は戦争の誘発行為で認められる者ではないという発言をしているようだった。


「俺の所の首相。元軍人だから、こういうことされた時の対応、マジで早いとは思ってたけど、早すぎるな」


 ノアキスの国民がクサンテに避難を開始したのも、もしかしたらこの首相の提案だったのかもしれない、とロンの話を聞いてアリスたちは推察していた。

 すると、不意に自分たちを包み込んでくれていた椅子の傾きが変わり始める。


「これより傾斜角変更の為、減速をします。減速時に機体が揺れる可能性がありますので、ご了承ください」


 そのアナウンスから数秒後、シャトルが音を立てて減速を始める。数分後には、シャトルの進行方向が水平に変化し、島へと向かい始めるはずだ。

 アリスは現在地を示す映像を確認して、到着時刻の欄に視線を移動させる。到着予定は残り二十分。時刻は零時十五分を示している。

 アリスは、せめて明日は平和な一日になることを願いながら、小さくため息をついた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ