第750話 知らない食べ方(ハヤシライス編)
予想はしてたけど、エディはお忍びの姿で『スバル』の賄い時間にやってきました。
「……ケント。これ、なんて飯??」
「ハヤシライス」
「……ハヤシ??」
「由来は諸説あるけど。お米にかけて食べるご飯だよ」
「ほーっ!」
今日もまたお城でのお仕事を頑張ったのかで、お腹がぐーすか鳴っているもんね? 城下町の様子を見に来るのはいいけど……僕のご飯とかポーションパン目当てでやってくるのは、どこから情報を得たのかな?? 魔法蝶は特に飛ばしていないのに。
とりあえず、牛肉っぽいお肉と玉ねぎだけのシンプルハヤシライスを作ってみたんだよね? あれはルゥがなくてもお師匠さんと共同開発したウスターソースがあれば、デミグラスソース作れなくてもなんとかなっちゃうもの。ケチャップの方はもともとこっちにもあるソースだからどばっと入れて酸味をつけている。
あと、コツは色々あるけど。バターとか乳製品入れるとコクが出ます。
「……今日の賄いは、ハヤシライスぅ!!」
そして、お師匠さんは安定の号泣なのでここはスルーしておこう。
今日も今日で、こっちに炊き出しがあると分かれば来るんだもん。レイアさんのご飯はいいかと思ったが、そのレイアさんも食べてみたいとかで来ていたんだよね? カレーの話にも興味津々とかで、ジェイドから今日の話も聞いてたみたい。
たしかに、奥さんとしては興味あるといえばあるだろうね。
「わぁ。本当に、お米に汁物?がかかって」
「とろみをつけているので、スープとは別物ですね?」
「そうなんですね。ヴィンクスさんの好きな料理と聞いて、ちょっと興味があって」
「カレーもいいですけど。こっちのが作りやすいですよ? あとでメモ渡しますね?」
「ありがとうございます」
で、いざ食事のタイミングになったら、あっちこちから『美味い』『美味しい』の声が上がるから嬉しいのなんのって。
市販のルゥとかのまろやかさには欠けるけど、トッピング次第ではカレーに負けず劣らずないい感じに仕上がったと思う。お代わり合戦はエディとお師匠さんで開始のゴングを鳴らしかけたが、そこは僕が待ったをかけての鎮静化で終わりを迎えたのも昨日と同じ感じに。
「ケント~。俺にもレシピ教えてくれ~~。家で作る!!」
「……いいけど」
エディの場合は、ほんとはお城の厨房に頼んで作らせるんだろうなあ……。僕の普段使いより数倍グレードの高いお肉とか野菜とかで作ることになるだろう。ウスターソースだけはお師匠さん秘伝のだけど、そこばかっかりは自作だとまだまだ大変な調味料だからね?
「今日のも美味しい……」
「ああ。おかわりしたくなるな……」
それはそれとして、バイトふたりにも喜んでもらえてなによりだ。普段はパンが多いから、余計に米食が不思議に思うはずだもんね?
こっちの世界だと、パスタや麺料理についてもあんまり需要が少ないから……ウスターソースでお師匠さんが次に言い出すとしたら。
ジャンクフードを掛け合わせた、『焼きそばパン』とか『お好み焼きパン』とか出てきそうで怖いなあ……。ちらっと、お師匠さんを見たけどおかわりしたハヤシの方で夢中になっているから気づいてないぽい。
(でも、気になるし……ロイズさんに少し聞いてみようかな??)
雪解けの季節まで、あとひとつきと少しくらいだけど。
新メニューに、そういうものを加えたら……また賑やかになることを予想しつつも、楽しくなるだろうと思っちゃうんだ。もう二年目を越えそうだからね? 僕がこの異世界に来てから。
更新忘れてましたぁああ




