第744話 今日まで堪能
滞在三日目。
明日はほとんど移動時間に使う日だから、温泉を堪能できるのは今日しかない。
なので、湯当たりに気を付けながら何度も何度も出たり入ったりしている。お昼ご飯の前には、さすがに上がったけどね?
「そんな気に入ったのか?」
二日酔いで辛そうだったから、ポーションパンで回復したエディが苦笑いしながらも言ってくれた。エディもゆっくり浸かっていたけど、ここは所有地でもあるから使いたい放題だもんね? かといって、僕なんかが国王様になれると思わないから頷くだけにしたけど。
「温泉をさ? 水道工事次第で家でも入れるようにする仕組みが異世界にもあったんだ。ごくごく一部だけど」
「それは面白いな? リオーネじゃ無理だが」
「だよねぇ? だと、入浴剤とか色々試そうかな?」
「……君は女か」
「あれ? 変なこと言った??」
どうやら、こっちの世界で入浴剤を使用するのは女性が多いらしい。エリーといっしょに入るわけじゃないのでそれは恥ずかしいとやめておくことにした。
「文化の違いとかもあるだろうが、無意識な発言は止してくれ」
「はーい。……気を付けるよ」
この恥ずかしさを誤魔化すのに、顔半分出すくらいまでゆっくり浸かってから反省しました。
「しかし。もう明日か? 俺の生誕祭はまだ先だが……今度は豪雪対策を練るのに、リオーネ以外の街にもポーション依頼をヴィンクス中心にしないとな?」
「ああ。去年もあったあの雪?」
「そうそう。来月からのが酷いんでな」
「僕が出来るのは炊き出しだけかな?」
「それ。甘えていいか?」
「へ?」
「ポーションパンもだが、ケントんとこの料理は全体的に美味いからな!! 冒険者メインで動くし、依頼として受けてくれないか? もちろん、報酬はちゃんと出す」
「具沢山のスープとかシチューだよ?」
「それでも、だ。頼みたい」
「ん。そこまで言うならわかったよ」
キリアさんとかラティストがいるし、大鍋で仕込むのに適切な人材は確保できているからね? 僕は僕で、シチューに合うパンを見繕おうかな? ポーションパンになっちゃうのは仕方がないけど、体力回復くらいにイメージを固めれば……出来るかな? 出来た試しがないんだよね。まだまだ、イーシャ様からの加護調整がうまくいかないんだろうけど。
「にいさ~ん。あっしらもお役に立てるでやんすか?」
『お、仕事?』
「うん。皆にも手伝ってほしいな?」
カウルとスインもやる気満々みたい。三月と言えば日本じゃ限定的な場所以外で雪の降るイメージしかないけど、こっちの世界じゃそうじゃないみたいだし。
エディが言うに、去年の住居区のみの積雪は珍しいんだって。今年は山の傘雲を見る限り、各地での積雪は考えられるそう。
寒いときには、お肉もいいけど魚での具沢山クリームシチューとかいいよね? パンもバケットとかライ麦パンが合いそう。どっちか選びたい方で選んでもらう仕組みとかあれやこれや考えていたらのぼせそうになったので……皆で、一度脱衣所に入ってからカウル特製のコーヒー牛乳でリフレッシュしましたとも。
(またひと仕事増えるけど、楽しい事ばかりだし)
二十歳を越えた、ちゃんと大人らしいことがこれから出来るのかな……とか、わくわくするけど。エディを見ていると、子供心を忘れない大人もいるからいいのかな?とも思っちゃう。
それは人それぞれってものだろうか。
次回は金曜日〜




