第732話 自分は悪くないはずなのに……
僕は悪くない。悪くないのはエディさんことヒーディア国王陛下の方だ。
ケントがエリーとぎこちなく散歩しているなあ……っていうのを見かけたら、後ろの方にエディさんがいるのを発見したんだ。
(……覗き見だよね?)
念話でフランツとも確認したら『そうやろ』と返事があったので、首根っこをを掴んで一瞬止めさせた。
僕は他国の王族ではあるけど、ヒーディアと比べればまだまだ若い国の第二王子。本来なら不敬に値するが……まあまあ仲が良くなってきた最近だから、これくらいはいいいだろう。僕の方に振り返ったエディさんはにやっと笑顔になっていたし。
「トラヴィスも追いかけるか?」
で、興味がなかったわけじゃなかったので……結果は、向こうに気づかれてお互いにげんこつをお見舞いされてしまったわけです。僕は巻き込まれただけなのに~は通用しなかったです、はい。
「もっと、しっかり止めてよ!」
「……ごめん」
それと、ケントにはその通りだという内容で説教されてしまっている。ほんのちょっとの興味で今に至るわけだから、止めれば痛い思いも説教される苦しい時間も受ける必要がなかった。これは本当にエディさんを止めなくてはいけなかった僕の責任だ。
「まあまあ、巻き込んだのは俺だから」
「エディは黙ってて。君のお説教はまだ終わってないから」
「……はい」
ケントの一生懸命に頑張っていた『キス』を逃したショックは大きいからね? それは本当に申し訳ないし、エディさんが怒られるのも仕方がないのは当然。僕は巻き込まれても止めなかったから、少しは罪を被ろう。
それにしても、結構乙女思考だったケントの恋愛事情を知るとは思わなかったなあ……。
「エディには、しばらくポーションパンあげないよ!」
「なんでだ!? そこまでしなくても!!?」
「じゃあ、僕の一生懸命頑張ってた時間返してくれる??」
「時間取りなら、このあといくらでも」
「「へぇ??」」
「ごめんなさい。ごめんなさい!! 二人してそんな怒んないでくれ!!?」
「……まあ。まだ自由行動だし、このあとはついていかないから」
「……ほんと?」
「うん。責任持って、エディさんは引きずってでも連れて行くから」
なんなら、僕の脚力でさっと離れることも出来るから……と言えば、エディさんはお兄さんから聞いているそれに、顔を青ざめていく。エディさんも『修羅』の異名がつくくらいの立派な冒険者らしいけど……僕は僕で、現役だからね? 『韋駄天』とかつくから、この人以上には速いはず。
「と、トラヴィス……ま、まっ」
「はい。行きましょうか~?」
首根っこよりも可哀想な態勢、『姫抱っこ』での退散ということでさっさとケントたちから離れたよ? 木とかに傷をつけない程度に幹や枝を蹴り、さっさと距離を置かないとお説教が続くだけだし、自由時間も終わらない。
エディさんには、これからリリアさんのとこに連れてってお説教してもらおうと考えたんだよね? それを伝えたら、『やめてくれ!』と大声で叫ばれたが気にせずに。フランツの魔力探知で探してもらったら、案外近くに居た模様。
でも、お風呂タイムだったから、まずはお兄さんにしてもらうことにした。
次回は金曜日〜




