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9話 道筋

9話 道筋

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 さて、メーンベルトのお飾りトップになった私ですが特にすることはありません。


 私の仕事はメーンベルトの皆さんが王政を打倒した後、ただ出て行って新しい王になることとその権限を移行することを宣言すればいいだけです。

 お飾りなのでメーンベルトの打倒王政の作戦立案に関わることもなければ、普段の運営でお金の使い道や調達方法などの会議にも参加しません。

 さらには、お飾りでも一応トップなのでメイドの真似事をする必要もなくなくなり本当に暇になってしまいました。


 ただ、本当に何もしていないというわけではありません。

 有力貴族と王族はなるべく殺さずに捕らえるように一応お願いだけしておきました。

 私がお願いせずとも初めからそのつもりだったらしいのですが。


 王族と貴族達はサラーティ王国においてインフラの側面を持ちます。

 彼らなくしてはたとえメーンベルトが王政の打倒に成功したとしてもこの国を運営していくことが不可能になってしまうでしょう。

 いずれは入れ替えるつもりでしょうが、だとしてもそう簡単に代わりというものは務まりませんし見つからないのです。


 進言の際は、王政を打倒しても国が滅んでは意味がないというような体で話しました。

 私はそもそもメーンベルトがそこまでできるとは思っていませんので、ただ万が一カローイ様やお父様を殺されてしまった困りますから。

 生き残れる可能性が上げられるのなら、そこまで不自然な理屈でもありませんし話して損はないです。


 これでお父様とカローイ様は助かる、かもしれません。

 まぁ、あくまでもお飾りに過ぎない私にこれ以上の事はできませんので、やれることはやりました。


 そもそも、私手に入れて決心がついたぐらいで王政を打倒できるほどの力が初めからメーンベルトにあったのなら、私関係なくいずれそういうことになっていたでしょうしその血に生まれた運命というやつなのでしょう。

 私は抗えそうなだけ抗ってみましたし、そもそもそこまでの力を王国内で犯罪者組織が溜め込むの不可能です。

 最悪があったとしても、魔女に操られ穢れ続けるよりは良しとしましょう。


 それと、一つ面白い話が聞けました。

 いえ、私のとっては不快この上ない話なのですが、それでも聞けたこと自体は幸運でした。


 メーンベルトがこんなにも焦っている理由です。

 私というイレギュラーが現れて、それがいくら都合が良かったとはいえ飛びつきすぎじゃないかなと思っていたんです。

 どうやらメーンベルトには、いえこの国には時間があまりないようです。

 実態はともかくメーンベルトの上層部はそう認識しているようです。


 サラーティ王国は隣国の帝国と戦争中です。

 以前聞いていた限りではかなり押していて勝利も間近みたいな話だったはずなのですが、実際は大きく違うらしいのです。

 かなり押されていて、先日も一つ領土が帝国に占領されてしまったとか。


 そう、メーンベルトが占拠したと言われていた貴族領です。

 戦争に劣勢なことを隠すためメーンベルトになすりつけられ、それを取り戻すという名目で国軍が派遣されたらしいです。

 しかし、その後の話は聞かない。

 ということは負けてそこが拠点にされてしまっているということなのでしょう。


 だからこそ危機感を抱き焦っているし、同時に国力を大幅に落とすようなことはできないということなのでしょう。

 現王はわかりやすい勝利のために殺さねばならないが、それ以外を殺すと必要以上に力が落ち未来は帝国の蹂躙です。


 都合がいいことにお父様もカローイ様もかなり安全そうです。


 まぁ、あまり関係ないのかもしれませんが。

 そもそもメーンベルトが危機感を抱いて実行しているからといってうまくいくなんて保証はどこにもないのですから。

 うまくいっても困りますしね。


 メーンベルトの思想はだいぶ理解してきました。


 しかし、やはり共感できないものなんですよね。

 国民に政治を任せるなど、不安でしかありません。

 読み書きすらできない、我々貴族のように幼い頃から国を動かすものとしての教育を受けていない、そんな彼らに任せて私には国がめちゃくちゃになり戦争どころではなくなる未来しか見えません。


 やっぱり、目的を果たしたその時は……


 仮にメーンベルトが想像以上の支持を集め王政を打倒する力を持っていたとしても、今あそこは魔女のナワバリです。

 魔女と戦えば大幅な消耗は避けられず、魔女の方も数の暴力には敵わなはず。

 事前にその存在を教えればやりようはあるのかもしれませんが、倒されて国を乗っ取られても困ります。


 思惑としては私と魔女の間にいる邪魔者を払ってくれればいい、もし魔女と同士撃ちでもしてくれたら最高、これぐらいの気持ちで行きます。

 魔女とメーンベルトには共倒れしてもらい、横から漁夫の利作戦です。


 その時には都合いいので邪魔者には消えてもらうことにしましょう。

 現国王と第一王子、あとは第一王子派閥の筆頭格のハグストレーム公爵も邪魔ですね。

 王国が一つにまとまっていないから帝国なんかに押されてしまうのです。


 国王が無能だから、

 第一王子が無能だから、

 そんな無能を支持するバカがいるから、


 カローイ様を新国王にし、私とお父様で支えて一枚岩の王国になれば……

 残っている貴族達もそのほかに候補もいないのでこちらに着くでしょう。

 大丈夫、帝国なんて押し返して見せます。

 これで全て丸く収まってハッピーエンドです。


 天が味方しているのはメーンベルトではなく私です。

 世界を私中心に回して見せます。

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