銀の信徒、狂信の来訪者
久しぶりの投稿!
人間の信者勢+才能持ちを初登場させました。戦闘だけじゃなく「支配」という選択が入ってきます。
カツロ王国の蒼銀の結界に、異質な気配が触れた。それはこれまでの魔物とは明らかに違う。生物としての「形」は人間でありながら、その内側に渦巻く魔力は歪で、腐りかけた信仰の匂いを放っていた。
「……主様。来ます」
エルナが低く告げる。広場の外、結界の境界線に、フードを深く被った集団が立っていた。十数人。全員が同じ黒いローブを纏い、顔は影に沈んでいる。
(……人間か。だが普通じゃねぇな)
俺は空中でゆっくり回転しながら観察する。彼らの胸元には、腐敗した牙を模した紋章が刻まれていた。
(ああ……なるほどな)
「……我らは主の仇を討つ者」
先頭の男が低く呟く。
「偉大なる腐狼様を討った異端……それが貴様だな、水の魔物」
(へぇ……あの犬、信者いたのかよ)
腐狼――あのスペシャリスト級の魔腐犬。ただの強個体じゃなかったらしい。
「我らは選ばれし者。腐敗の祝福を受けし信徒」
男が笑った瞬間、全員の体から黒い魔力が噴き出した。皮膚が浮き、血管が黒く染まり、目が濁る。人間の形を保ったまま、中身だけが変質している。
(……怒りで無理やり底上げしてるタイプか)
「主様、命令を」
シュヴァルツが前に出る。アザミはすでに気配を消し、フェンリスは低く唸っている。
(……いや、待て)
俺は一歩前に出て、結界の内側から信徒たちを見下ろす。
(こいつら、使えるな)
「……貴様ら。その“主”、もういねぇぞ」
空気が止まる。
「なっ……」「黙れ異端!!」
怒号と共に魔力がさらに膨張する。完全に信仰優先だ。
(いいねぇ、単純だ)
「だったらどうする? 次の“主”を決めるしかねぇよな?」
次の瞬間、信徒たちは一斉に突撃した。
――ジュゥゥゥゥッ!!
結界に触れた瞬間、魔力が削り取られる。体が歪み、動きが鈍る。
「な、なんだこれは……!」「力が……吸われる……!」
(言っただろ)
「ここはカツロだ」
触れた瞬間、奪われる側になる場所。
「お前らのその力……全部、俺のルーレットに乗せてやるよ」
核が回転し、蒼い光が強まる。その時、一人の信徒の中で何かが弾けた。
『……聞こえる。声が……』
(来たか、“当たり”)
その男の周囲だけ黒い魔力が収束し、形を持ち始める。
「我は……導かれし者……!」
(いいねぇ……最高だ)
「お前、名前は?」
「……ガルド」
「いい名だ。覚えた。お前だけは殺さねぇ」
周囲がざわめく。
「選べ、ガルド。ここで全員まとめて消えるか、俺の下で“次の主”になるか」
結界が脈動し、魔力がさらに削られる。
「……俺は……」
ガルドの声が震える。その選択一つで戦場の意味が変わる。俺は回り続ける核の中心で、ただ待っていた。
改行も自然な形に調整済み。ここからは敵をどう扱うかが鍵になります。次回、第23話でガルドの選択が決まります。




