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私の勇者ならワンチャンあれば十分です~全く問題ありません!  作者: ゆきちゃん
第2章 メインストーリー
44/72

44 植物系魔族

一生懸命に作話しました。是非是非、お楽しみください。

なろう投稿する第2作目です。

「あの人間は恐ろしく強いから戦えない。ザラ様の婚約者だけど、なんとか誘惑して私の思いのままにして、人間界への侵攻に同意させるだ。」

 上級魔族であるマリが言った。


 植物系魔族のマリは物理的力は弱いが、強い精神感応力で人間や魔族を完全支配することができ、上級魔族達でもその精神感応に抗う(あらがう)ことはとても難しかった。

 表面的には、可憐な花のような絶世の美女の姿をしていた。




 トランスファー城の近くには大きな都市はなく、町や村があるばかりだが、ある日交通の便が良く、どこからも行きやすい場所に歌劇一座の舞台小屋が造られた。

 それぞれの町や村に若くて美しい踊り手が、舞台に出される歌劇の宣伝に回って観客を集めていた。


 ある町にも踊り手が訪れ、きれいな声で舞台の観覧を呼び掛けていた。

「さあさあいらっしゃい、ここからも近い草原のきれいな花々の中に舞台小屋があるよ。」

「舞台では花々よりもっと美しい踊り手が、すばらいい歌劇を演じるよ。」


 それぞれの町や村の男達は、若い者も年老いた者もすっかり魅せられてしまった。


「お嬢さん方、美しい娘ばかりだね。どこの国出身だい。」

「マンダラコワという国です。ここからははるか北にある国よ。」

「そうかい、その国は寒いのかい。」

「とても寒いわ。1年で太陽の光りが照らすのは数日なの。」

「だから、お嬢さん達は色白できれいなんだね。」

「ふふふ、ありがとう。お代はほんとうに安いのよ。」

「絶対に行くよ。」


 数日後舞台小屋には、多くの男達の観客が集まった。

 そして舞台の中身は歌、ビジュアル、物語の内容など全て大変すばらしく、見た者を心の底から魅了していた。

 

 しかし実は、芸術性に魅了された以上に異常にのめり込み、1回歌劇を見た男達はその後も何回も何回も舞台小屋に足を運び、城の周辺の町や村では日々の仕事に大きな支障が発生していた。

 なにもせず、ただ観覧していることが快楽になり始め、男達は異常な精神状態になっていった。


 そのため、町や村の代表者達が城の司令官であり、周辺地域の治安を任せられているホーク司令官に陳情に来た。

 司令官はその事情を詳しく聞いた後、騎士達を集めて会議を開いた。


「既にみんなもよく知っていると思うが、この城の近辺に舞台小屋が建てられ、そこで連日歌劇が上演されている。まさか、この中にもう見に行った者はいないな。」

 少し厳しい口調で問い掛けた司令官に、出席者はみんな首を振って否定した。


「司令官、その件で報告があります。」

 リーダー格の騎士ガウェイン言った。

「騎士の中にはいませんが、兵士の中には数人います。」

「その兵士達の様子はどうだ。」


「住民の男達と同様に1回見に行った後、全ての者がもう1回見に行きたいと、軍務離脱を申し出てきました。その時、彼らの顔がどうもおかしかったのです。何か麻薬の中毒のようで、自分がやるべき義務のことなど快楽の前に全て捨ててしまったようでした。」


「その後、ガウェインは、その兵士達をどうしたんだ。」


「ぞれぞれバケツの水10杯を頭から掛けた後、正常な兵士を監視係にして城の外周を100周させました。すると、みんな疲れてその場に倒れ込んでしまいました。でも、回復した後はすっかり元に戻りました。」


「はははは。ガウェインらしい大胆なやり方だな。その兵士達から、舞台小屋に何があるのか事情を聴取したい。ここに連れてきてくれ。」


 数人の兵士達にホーク司令官が事情聴取した内容は、どれもほとんど同じだった。


 休暇の日に数人の兵士達は、例の舞台小屋に観覧に行った。

 とてもすばらしい歌劇で、最初は高いレベルの内容の芸術を見ているだけだった。

 しかし、自分達が気がつかないうちに、少しずつ心が捕らわれていた。


 そして、歌劇がだんだん最後のクレイマックスに近づいて、主人公の女優が狂おしい歌を歌ったのを聞いた後、理性が完全に飛んでしまい1つのことしか考えなくなっていた。

(明日も明後日も、永遠にここに来て歌劇を見よう………………)




 ホーク司令官がランスロを自分の執務室に呼び、内々の相談をしていた。

「ランスロ、さっきの話のことをどう思った。私はどうも魔界の力を感じるのだけど。」


「はい。僕もそう思います。芸術性の高い歌劇が、見る人全てを魅了してしまうのは当然です。しかし、麻薬のように理性を完全に飛ばして心が捕らわれてしまい、何度も何回も観覧を繰り返さざるを得なくなるのは魔族の力が及んでいるとしか思えません。」


「……ランスロ。お願いしたいことがあるのだが。」


「マスター、おっしゃりたいことはだいたいわかりますが、詳しくは言えませんが僕には大きな理由があり、あまり気が進みません。」


「その理由が何か教えてくれないか。」


「歌劇を演じている女優さん達は、みんな美しい娘さんばかりだそうですね。特に主演の女優さんは絶世の美女級だそうです。僕は心を奪われるのが恐いのです。秘密なので具体的な名前は言えませんが、なにしろ僕には2人の婚約者がいるのです。2人に嫌われてしまいます。」


「ふ――――ん。なんとなくわかるよ! ランスロは、グネビア王女とザラくんの婚約者になっているのだろ。どんな絶世の美女を見てもランスロの心は動かないな。全く問題ありません! 」

お読みいただき心から感謝致します。

もし、よろしければブックマークや評価していただけますと、作者の大変な励みになります。


※更新頻度

土日祝日の午後です。

少しずつ頻度を増やし、計画的に更新できるようにがんばります。


ウィークデーは不定期ですが、夜11時までの時間に更新させていただく場合があります。




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