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その後

本日4話目の更新になります。

また、この話で最終話となります。

侯爵を継いだレイアは、以前から進めていた農業改革へ本格的に取り組み出した。

木製の鍬を全て鉄製に変え、水車を用いて農地の近くまで水を溜める池を作った。

さらに、千歯こきなどの導入で作業が楽になり、腐葉土を用いた事から、収穫量もかなり増えた。

また、領地内の子供達を集め、教育を受けさせる為の学園を建設予定である。

前までは村の者だけであったが、やはり他の子供達も教育が必要ということで、王都から教師となる人物を探している。

ついでに、冒険者になりたい子達には、ラシュクルドが剣の使い方や魔法についても教える予定である。

さらに、ザックを筆頭とした傭兵団を設立し、様々な所で活躍している。

そしてついに、鍛治職人達の協力も得て、念願であったサスペンションが完成し、馬車での移動が快適となった。

みなみに、銃の作成は行なっていない。

これは、銃があまりにも危険だからではなく、レイアが前世で銃に対してトラウマを持っていた為である。

あれからリリアと取巻き達は国外追放となったらしい。

近隣諸国の重要な人物がいる前であれだけの失態を犯したうえ、顔を覚えられている為、近隣諸国での生活すらできないだろう。

その後、村は町となり、数年後、ライアーノ領は独立国家となり、初代国王にレイアという女性がついたという。



そこは暗く狭い場所だった。

彼女の立場なら、他の場所などいくらでも用意ができたが、彼女はそこにいた。

『不思議な感じですね。あの時の事が昨日のように思い出せます。気付いたら身体が浮いていて、鏡が無いのに私の顔が見えたんですから。』

「そうね。私も驚いたわ。気付いたら、半透明の人が目の前にいるんだもの。驚いて腰が抜けて、声も出なかったわ。」

懐かしむように話す麗明とレイアの側にラシュクルドはいない。

五年前に病で倒れ、帰らぬ人となったのだ。

あれから何十年も過ぎた。

麗明は歳を取ったが、レイアはあの頃と変わらぬ姿だ。

何度麗明が歳を取らないレイアに文句を言った事か。

「私が死んだら、貴女はどうなるのかしら?」

『さぁ? 私にはわかりません。』

「そうよね。はぁ、疲れた。ゆっくり眠りたいわ。」

『はい。おやすみなさい。』

「えぇ、眠らせてもらうわ。」

そう言った麗明は、両手を胸に当てる。

「もしも生まれ変わったら、また貴女に会いたいわ。」

『はい。私も、もう一度三人で話したいです。』

自分の耳がとおくなっているのか、レイアの声がうまく聞こえず、目が霞んでいるのか、レイアの姿がいつもより透明に見える。

「 」

その言葉を聞いた者は、誰もいない。


fin

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