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          1 教会

 クリスティーナ王女殿下は、毎週水曜日に教会の診療所に慰問して、回復魔法をかける。マリエールは欠損の少女を紛れ込ませてクリスティーナ王女の回復魔法をかけさせた。

             1  教会


 マリエールが教会に来たのは、クリスティーナ王女が教会に慰問すると聞いたからだ。マリエールはこの国でトレジャーハンターとして既に一流として名高い。この教会にも多額の寄付をしている。実はトレジャーハンターをしている中でエリクサーを見付けたのでクリスティーナ王女に献上したいと思ったのだ。

 クリスティーナ王女は国王陛下に胡蝶と呼ばれる美しくて心優しい少女だ。毎週水曜日の午後一番に教会の診療所の慰問は欠かしたことがない。教会でも配慮している。12歳のクリスティーナ王女には重症患者の慰問はきついだろう。比較的軽症の小児病棟に案内することになった。

 クリスティーナ王女は自分が回復魔法が使えると思い込んでいる。慰問の度に回復魔法を唱える。

「エリアフィール」

教会も神官や治癒魔導師を用意する。小声でそっと唱える。

「フィール」

回復魔法の効果はてきめんだ。見える傷はたちまち治る。回復魔法で治る子どもだけを集めただけだが。クリスティーナ王女は満足気に。

「今日も子ども達の傷は全て治りましたね。」

子ども達は口々にお礼を言う。

「ありがとうございます。クリスティーナ王女殿下は私達の天使です。」

マリエールは当日、腕に欠損のある少女を紛れ込ました。エリクサーを持った配下も少女の側に配置した。クリスティーナは腕に欠損のある少女を見て、怪訝そうに、

「欠損? 私に治せるかしら。とにかく試しみるだけだわ。」

クリスティーナはいつも通り、

「エリアフィール」

神官や治癒魔導師は小声でささやく

「フィール」

と唱え、マリエールの手下は、欠損した少女にエリクサーを与える。いつも通り見える傷はたちまち治り、欠損も見る見る回復した。クリスティーナ王女は、

「まぁ、私のエリアフィールは欠損も治せるのね。」

それに対してマリエールは、

「クリスティーナ王女殿下が心からこの少女の欠損を治したいと願ってエリアフィールと唱えて下ったからですよ。」

クリスティーナ王女は、

「私はいつも心から子ども達の健康を願っていますわ。この子以外にも欠損で苦しんでいる人がいるんでしょう。その方々を救って差し上げたいわ。手配できるかしら。」

結局、毎月第三水曜日を欠損を回復させる日となった。

 クリスティーナ王女は、国王陛下に、

「私は、欠損の回復が使えるようになりました。これから第三水曜日に教会で欠損を回復することになりました。」

国王陛下はクリスティーナ王女に回復魔法が使えないことを知っている。まして欠損の回復魔法なんて使えるはずがない。

「第三水曜日の欠損の回復の件は承知した。もし直接その方にそれ以外の申し込みがあった場合は国王へ申し込めと言いなさい。」

国王は真相を突き止めるべく動いた。

 結果、欠損を回復しているのがマリエールだと判った。マリエールによれば、

「クリスティーナ王女殿下は、御自分に欠損の回復魔法をお持ちだと信じてみえます。もしも、真実が知れたら王女の悲しみはどれほどでしょう。」

答えられる者はいない。

 エリクサーのあるマリエールはクリスティーナ王女の回復魔法に合わせてエリクサーを与える。欠損が回復する。

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