37.ステータスの話をしよう
更新が、大分遅れました。
約6500字です。会話が、メインの回です。
サブタイ道理の話なので、面倒な方は、ジャ~ンプ!で。
5月16日(土)つづき
37-1.ステータスの話をしよう
スーリンが習得したレアスキル『鑑定眼』のせいで、俺の感情が、スーリンには筒抜けという重い事実は、一先ず置いておく。目下俺は、それ以外の今の自分のステータスが知りたかった。だって、タダだし。
スーリンにどう見えるか聞いてみると……。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
|
| 名前・年齢 リュウイチロウ=キサラギ(15歳)
|
| 種族・性別 人族 男
|
|[レベル] [1]
|
| 状態 通常 [興奮、疲労]
|
| 体力 40/80
|
| 魔力 15/15
|
| スキル なし
|
|[Pスキル]
| [二足歩行 Lv.5]
| [二足走法 Lv.5]
|
| ・・・・・
| ・・・・・
| ・・・・・
| ・・・・・
|
| [算術 Lv.10]
| [数術 Lv. 7]
|
| ・・・・・
上から順にスーリンの書いてくれたステータス表を見る俺。一番最初に目に付いたのが、Pスキル。これって何だろう? 何かやたら滅多ら数があるけど。
『パッシブスキル』――習得しているだけで効果があるスキルの事か?
俺が、熱心に表を凝視していると、スーリンが話しかけてきた。
「リュウさん、見慣れない『Pスキル』のことを考えているんでしょう?
実は、これでも極一部を書いたに過ぎないんですよ」
「そもそも、Pスキルって何なんだ?」
「Pスキルに関しては、色々な噂があって、正確には、よくわかってないんですよ。
私、前から興味があって色々調べてたんで、その噂話位ならお話できますよ」
ステータスには、鑑定眼や人物鑑定スキルの所有者にしか見えない不可視項目が、存在するらしい。Pスキルもその項目の一つだそうだ。スーリンが書いた俺のステータス表では、不可視の欄を『[]』で囲んでくれたようだ。
「それじゃ、算術はいいとして、二足歩行とか二足走行ってなんだ?」
「それは、赤ちゃんが最初に覚える類のスキルですよ。
獣に育てられた赤ん坊の話、知りませんか? 見つかったその子達は、二本足で
歩く事が出来なかったんです。二足歩行もそういう意味でスキルなんですよ」
スーリンの話によれば、通常のスキル欄とは別に、薄く表示された『スキル』という項目が存在しているそうだ。これを、Pスキルと呼んでいるらしい。
そして、スーリンが聞いた噂話によれば、通常のスキル習得の際に、Pスキル欄に同スキルが存在する場合、スキル欄には、Pスキル欄のスキルレベル+α(講師補正)が記載され、同レベルまでのアーツがすぐに発動可能になるそうだ。
「それだと、成人の全員がスキル欄に、二足歩行スキルがあるのか?」
「普通、何気なくやっている事は、スキルを覚え難いんですよ。
『覚えたい』とか『この状況をなんとかしたい』いう強い意思がないと」
歩行や走法にも、暗歩とか縮地とか、よくあるテンプレのスキルアーツもあるだろうし、この世界の人全員が、それを使えたらちょっと怖い。才能の有無や限界があるから、全員がということは、ないらしいけど。
「それに成人してから、アクセサリを手放す人はいないですからね」
成人後1年ぐらいで、殆どの人が、必要なスキルを身に着けて、後はひたすら鍛えるらしい。Aスキルの詳細は、大分分かっているが、個人差があり例外もある。
不要なスキルを態々《わざわざ》覚えて、必要なスキルを消失させる愚を冒す人も少ないのだ。
「そのAスキルで忘れたスキルは、どうなっちゃうんだ?」
Aスキルの習得等で、対象スキルが、消失した際は、通常のスキル欄の記載のみ消失し、Pスキル欄のスキルは、消失しない。そのことから、パーマネント(半永久)スキル――Pスキルと目視可能な人の間では、言われているらしい。
更に、スキル習得後は、経験値の配分が、スキルの方だけになるため、Pスキルのレベルは、上がらないそうだ。そのため、長年鍛えたスキルを失うと、再度、スキルを習得しても、Pスキル欄に記載されたレベルからとなる。
大雑把には、未成年のうちは、Pスキルへ、成年になると、スキルへ、経験値が入ると考えて差し支えないようだ。
俺は、この話を聞いて、Pスキルは、元の世界では一般的な人が、こちらの世界なら未成年が『自分の努力で身に付けた技能』で、スキルは、Pスキルに『加護を上乗せして得られた(一時的な)技能』だと直感的に思った。
さて、続きを見てみようか
36-2.スキルの効果を考えよう。
(Pスキル続き)
|
| ・・・・・
| [アージェナルド言語 Lv.6]
| [対人運補正 Lv.4]
| [異性運補正 Lv.5]
| [同年代好感度補正 Lv.3]
| [異性好感度補正 Lv.3]
| [病原生物耐性 Lv.4]
| [魔力還元率補正 Lv.2]
| [剣術 Lv.2]
| [神聖魔法 Lv.10]
|
この辺りが、エルエルが転生の間で付けてくれたPスキルだな。
病原生物耐性は、この世界への転移後に飲んだ薬の効果だろう。
「ねえ、リュウさん? この4つのスキルって総合すると
『同年代の女性にすごく好かれる』って効果なんじゃないですか?」
じっくりと俺のPスキルを見ていたスーリンが、突然、Pスキルの一点を指差し、そう言い出した。
「ん!? 『人と仲良くなり易い』ってことだろう。
それよりも『魔力還元率補正』って何だろうな?
神聖魔法がレベル10ってどういう事だろう?」
スーリンの言う通りだと俺も思うが、ココは認めたら負けだろう。
こう言う時は、例の有名な格言『有耶無耶は金。言い訳は銀』だ。
「誤魔化さないで下さい! 一体どうすれば、こんなスキルが手に入るんですか?
リュウさんって普段何やってるんですか? この浮気者の女タラシィ!」
スーリンには、この格言が今回も通用しなかった。
「た、多分あれだ。おっ、お告げをもらった時に付いたんだよ、きっと。
神の思し召しってやつだ」
スキルの付与はすべてエルエルに任せたんだからな。天使も神さまの僕だしな。
それにしても、コミュ障気味の俺が、何とかこの世界でミヨコを探せるようにと、エルエルの配慮なのだろうが、ここまで来ると嫌がらせに近いな。
「え!?お告げですか?(私が鑑定眼のスキルを覚えたのも、お告げのせいかも)
確かにそういう話もありますが、このスキル、ピンポイント過ぎませんか?」
「まあ、人知が及ばないってやつさ、だから色々考えても仕方がないだろう?
それより、魔力還元率補正って何かな?」
「魔力神聖力還元率ですか? あれかな~?」
スーリンの場合には、別の有名な格言『ヤバイ時だけ神頼み』の方がいいのかも。
一方のスーリンは、知識を総動員しているのか、眉間にしわを寄せ、首をあちこち動かして、考えをまとめている様だ。
「リュウさん、アージェナルド――この世界の創世神話はご存知ですか?」
「創造神がこの世界を作ったことしか知らない」
「なるほど……。じゃあ、関係のありそうなことをお話します」
スーリンが話してくれたのは、どこかで聞いたことがある天地創造とか、
動物や植物を創ったと言う退屈な話が続いたが、肝心な部分がやっと来た。
「それで創造神が退屈しまして、もっと世の中が面白くなるようにと、
ご自分の能力の一部を自らの創造物にお与えになったんですよ。
そのお陰で人族とか、亜人族が生まれるんですが、分け与えた能力の1つに
魔力があったんです。それが、後々問題になるんですよ」
その後、魔力によって、魔族が生れたとか、動植物に影響して魔物になったとかの話が続き最後になって………
「魔力は、世界を構成している聖なる力を今に至るまで蝕み続けているそうで、
その魔力を浄化しているのが、神々や教会だと言うことです」
「なるほどね。そう落ちがつくわけだ。で、それがどう関係するんだ?」
スーリンは、長い創世神話を語り終えると、ルネさんが、用意してくれた飲み物を一口飲んで、また話を続けた。
「まず、この神話から分かるのは、聖なる力は魔力に蝕まれるということです。
その聖なる力は、あんまり一般的じゃないけど『神聖力』と言われてます」
「神聖力の話は、俺も神聖魔法を習った人から聞いたな」
俺が、そう言うと、スーリンは、ニコリとして後を続ける。
「それで、蝕まれたその神聖力は、何かに変化する。
それは、多分魔力とか魔素に変わっていると、私は思うんです」
「逆に俺は、神聖魔法を再現出来る様になった時に、濁り――スーリンの言う
『魔素』を神聖力に変えるのが、神聖魔法じゃないかと思ったな。
というか、今の話からすれば、教会自身がそう言ってるような物だな」
「はい。それで、両方を合わせて、『神聖力→魔力』の変化を仮に魔化とすれば、『魔力→神聖力』の変化は逆に、元に還る――還元ですよね。」
「つまり、『魔力を神聖力に変化させる効率を上げるスキル』ということか?」
「多分それが当たりですよ。
もっと簡単に言うと、神聖魔法の効率を上げるスキルだと思うんですよね」
やっぱり、スーリンは、頭がいいな。残りも教えてもらおう。
「俺の神聖魔法のレベルがいきなり10なんだが、どうしてだろう?」
「う~~ん。そうですね、リュウさんの場合、神聖力の量がレベル10のアーツを
使えるぐらい多いと言うことじゃないんですか? Pスキルでは、アーツが
使えないのでレベルが高くても、あまり意味はないんですけどね」
「でも、スーリン。神聖力は、魔力の1割が普通らしいぞ。
そう言えば、鑑定眼では、神聖力の数値は見えないのか?」
「項目はあるんですが、数字が書いてある場所に
訳の分からない記号とかあるんで………」
「要は、文字化けか?」
俺がそう言うと、なぜか俺の着けているネックスレスに目を向けたようだ。これは、俺とミヨコの二つの結婚指輪を飾りにした俺が生前から着けている物だった。
「ちょっと、そのネックレス見せてもらえませんか?」
やらないぞと断った上で、首からネックレスを外してスーリンに見せると首をひねってこう言う。
「なぜかこのネックレスも指輪も名前や説明が文字化けとやらで読めないんですよ。
リュウさんのリュックの中にも文字化けしているアイテムがありますよ」
俺は、心当たりがなかったが、取り合えず、リュックの中身を調べてみる。
すると、壊れてガラクタになってしまった水筒が見えた。そう言えば、ネルさんが、ギルドの訓練所で俺が倒れていた時に、拾って中に入れて置いたと言ってたな。
俺は、ここ数日、旨い水が飲めなくなり、かなり落胆していた。
だが、このままリュックに入れて置いても仕方がない、水筒の残骸をどうしようかと取り出した。
「あれ!? 壊れてない?」
俺は、早速ルネさんがもって来てくれてた水を水筒に入れると、ゴクゴク喉を鳴らして一気に飲干す。
「うまい~~、元の水筒だ」
その様子をジト目で見ているスーリンがいた。
「これって、私が飲んだ、あの不味い神聖水が入った水筒ですよね?
リュウさんの味覚って、大丈夫なんですか?」
ガ~~ン。やはり、俺の同志は、孤児院のクリスだけか。
「この水筒もやっぱり文字化けしてますよ。
この世界で作られた物じゃ、ないんでしょうか?」
確かに、ネックレスと2つの指輪は、地球製だし、水筒は、天界製だったな。
それじゃ、文字化けしてる俺の神聖力は、天界製? それとも地球製なのか?
と言う話は、さて置き。
「水筒を貸してくれた人の話によると天界の品らしいぞ。
ネックレスと指輪も似たような品だな。ひょっとして、値打ちモノか?」
「なるほど、偶に地上に天界の品が紛れ込む事があると聞いたことあります。
ところで、水筒なんですが、もっと需要があるものなら高値も付くんですが、
誰も彼も欲しがる物ではないんで、安いと思いますよ。買い取りますか?」
スーリンの顔が一瞬、ボロダーさんの顔に見えた。商売人の顔だ。
必要ない必要ない、借り物だし使うから。
36-3.スーリンの作品を見よう
俺が、エルエルから借りている天界製の水筒を安いと評価したスリーンだったが、昔の自分の姿を思い出したように語り始めた。
「私も昔、使えない物を作っては、お父さんに『売れない?』と聞いたものですよ」
スーリンは、昔を懐かしみながら、続ける。
「何を装備してもスキルを覚えちゃうネックレスとか、歩いても走ったと同じくら
い疲れる靴とか、無能に見えるペンダントとか、自分のステータスが見える指輪
とか、無駄に光る腹巻とか――あっ! 今回これ使うから除外ですね。後は……」
「うん!? スーリン、今なんて言った?」
「腹巻ですか? 今回の奇跡の演出をする時の閃光の特殊効果に使うんですよ。
今のままだと、お腹しか光らないので、もう少し光量を上げようかと思ってます」
「その前のやつ」
「疲れる靴ですか? 今考えるとダイエットに効果があるかも知れないですよね。
貴族が、喜びそうなデザインに変えて売り出してみようかな?」
「違う。違う。」
「ネックレス? これを装備するよりも全部のアクセサリーを外した方が
安全ですよ。このネックレスを外し忘れると悲惨なことになりますから。
嫌いな相手に贈ってスキルを消失させるとか、ほぼ呪いのアイテムですね。
そうか! そういう売り方もあるんですね~」
「いや……、それ……、普通にまずいから……。じゃなくて、残ってる……」
「ああ、ペンダントですね。着けてると鑑定で低いステータスに見えるんですよ。
加護も『創造神の加護』だけなんです。本当は、すごいステータスに見える
ようにするつもりだったのに……。でも犯罪系の称号まで見えなくなるので、
『売るのは危険じゃ』って、お父さんに、言われたんですよ」
創造神の加護がない俺にとっては、無用なトラブルに会わないために、このペンダントが、今後必要になるかも知れんな………。そうじゃなくて。
「指輪!指輪!」
「指輪? ああ、ステータスが見える指輪ですか? 実は、ずいぶん前に自分の
Pスキルが見られないかと思って開発したんですけど、結局、普通に見える
項目しか表示できなかったんです。まだ、時間が掛かりますが、『鑑定眼』で
見えるようになったので、これ以上の研究は必要なくなりましたね」
「その指輪、俺にくれないか? できれば、ペンダントの方もお願いします」
「え~、どっちも意味がないアクセサリーですよ。指輪に至っては、私たちが
普通に見られるステータス項目しか表示されませんから。
これが、『Pスキル』や『隠し加護』とか『隠し称号』とかが見られればな~。
ちなみに、この表では、"[]"で囲ったやつが隠しの部分ですよ」
「それでいいんだ」
俺は、二人しかいないとわかっている室内を念のためキョロキョロ見回してから、小声でスーリンに囁いた。
「いいか、これは、誰にも教えていない秘密だからな。
スーリンを信用してるから話すんだ。絶対、誰にも言うなよ。
俺は、なぜか自分のステータスが見られないんだよ。
だから、スーリンの指輪が必要なんだ。できれば、ペンダントも」
「え!? それ本当ですか?」
スーリンの顔は何時になく真剣な面持ちだった。俺は、真顔で重々しく頷く。
かなり衝撃的な事実なのだろう。でも、きっとスーリンなら誰にも言わないでくれるだろう……きっと。
「二人だけのヒ・ミ・ツ(ハート)」
そっちかい!
「スーリンが、ひ・つ・よ・う(ハート)」
必要なのは、指輪っだっつーの!
「できれば、私の写真入のペンダントも……」
言ってねぇし、必要なのは、効果の方だから。それより、ここに写真あるのか?
「自分のステータスが見られる装備アイテムが欲しいんだよ。
もちろん、Pスキルとかの隠しパラを見られれば、それはそれでうれしいんだが」
「わかりました。その件では、ちょっと時間を下さい。
実は、その指輪、死んだおばあちゃんの棺に入れちゃったんで」
俺は、スーリンが獣も寝静まる深夜、こっそりと忍び足で墓地に近付き、ジェーンさんの墓を掘り返している光景が目に浮かんだ。棺を開けたスーリンは、すでに白骨化したジェーンさんの指から目的の指輪を外し、俺の元へ持ってくる……。
「うぎゃ~~! そんな指輪はいらないぞ!!」
俺は、恐怖のあまり叫んでしまった。
俺の想像を正確にトレースしたスーリンが、慌てて言い繕う。
「ちっ違いますよ~。リュウさん用に別に用意するんで少し待ってて欲しいんです」
「何だそうか。じゃあ、よろしく頼むよ。スーリン」
俺は、胸をなでおろした。スーリンは、にこやかに頷く。
いつもながら、スーリンの話は誤解を産みやすいな。
-------------------------------------------------------------------
まとめ
俺は、スーリンの鑑定眼で、現在の俺のステータスを教えてもらった。
「Pスキル」とか「隠し加護」、「隠し称号」があるらしい。
へ~、一応がんばったことは、Pスキルの方に反映されているんだな~。
Pスキルって本当によく分からないスキルが多いね。
これが、エルエルの付けてくれたスキルか
へっ!? 同年代の異性への好感度と運ばかりいいって?
神さまの思し召しだよ。うん。
何? スーリンが昔作った指輪で自分のステータスが見られる? ほし~い。
ジェーンさんの棺に入れたから、ちょっと待ってて?
やっぱり、いいや、いらないから! なんだ、新調してくれるんだ。
よかった。よかった。それにしても紛らわしいんだよ。
-------------------------------------------------------------------
スキル名などは、暫定的なもので、後々変わるかもしれません。
ニュアンスだけ、こんなPスキルを持ってるなと言う感じでお願いします。




