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22.ミッションを完遂せよ 4/4

その4です。デートネタを全部この回に入れてしまったので、7600字弱と過去最高になってしまいました。後々分割するかもしれません。

面倒な方は、後書きにジャ~ンプ!でも大丈夫です。


5月6日(水)つづき


22-1.ウィズドゥロー -撤退-


 俺は、ブリジット家に用があると言うアニーを伴い帰宅の途に就く。

時刻は、午後6時を過ぎ、徐々に辺りは暗くなってきていた。不慣れな履物――普段より2cmは高いヒールのアニーは、薄暗くなった道を、不安げに俺に続く。


 この調子では、アニーが、孤児院へ戻る頃には、完全に日が落ちてしまうだろう。

俺は、足元が怪しいアニーの手を取ると、ブリジット家へと急いだ。


 だが、目的地に着く頃には、辺りはすっかり暗くなっていた。

玄関の扉をノックするとすぐに扉が開き、スノーさんに迎え入れられる。


「「ただいま、戻りました」」


「あら、お帰りなさい。随分、早かったのねぇ」


 俺たち二人は、薄暗い玄関から、スノーさんの後について、明るい居間へと入る。

ブリジットさんは、まだ帰っていないようだ。


「リュウくん、玄関先では心配したけど、少しは上手くいったみたいね」


 スノーさんは、俺、アニーと視線を移し、最後に俺の左手を見るとそう言った。

俺は、ふと気付いて左手を見ると、まだ、アニーと手を繋いだままだった。

同時に気付いたアニーと俺は、急いで手を離して距離を取る。


「道が暗いから、手を繋いでいただけですよ」

「ヒールの高い靴なので、手を引いてもらいました」


 何だか、隠れてやった悪戯を見つかった子供の気分だ。

俺は、この話を終わらせようと、残った未開封の指示書を懐から取り出して、

スノーさんに返す。中からは、かすかに硬貨同士が、ぶつかる音が聞こえた。


「それより、お預かりかりしていた、物をお返ししますね」


「あら!? 使わなかったの?」


 スノーさんは、返された封筒が、開封されていない事を確認するとがっかりしたようにそう言う。


「その様子じゃ、夕食は、まだのようね。アニーちゃん、こっちへ来て手伝って」


 スノーさんは、アニーを連れて台所に行った。俺は、庭に出て、体をきれいに拭き、水筒に水を入れ直して居間へと戻る。何やら、台所から騒がしい音が、聞こえていたようだが、そこへ丁度ブリジットさんが帰宅して、4人で夕食となった。


「アニーちゃん、今日は、どうだった?」


 スノーさんは、興味深々の様子で聞いて来た。


「お陰さまで、楽しかったです。すてきな髪留めもプレゼントしてもらえたし、

 美味しいショートケーキもご馳走になって、今日は、思いっきり楽しみました」


 アニーがうれしそうに答える。俺も、アニーに喜んでもらえて、満足していた。

しかし、スノーさんにいい様にされた意趣返しに、俺は少し不機嫌そうに口を開く。


「スノーさん、ひどいですよ。

 アニーに計画の事を話すんだったら、最初から俺にも教えて欲しかったです」


「あら、アニーちゃん、リュウくんに話しちゃったの? 内緒だって言ったのに~。

 リュウくんに教えると、緊張感がなくなって、デートがつまらなくなるでしょ?」


 スノーさんは、いつものイタズラっぽい笑顔で俺にそう言い、

更に、アニーの方へ向き直ると、続けて爆弾発言をして来た。


「それじゃ、アニーちゃんが泊まるお部屋だけど、

 家には、客間が1つしかないから、リュウくんの隣で寝てね」


 アニーは、『全く問題がない』とでも言いたげな、気負いがない様子で頷く。

俺は、それを見て思わず、声を上げてしまった。


「へぇ!? スノーさん、それどういう事ですか?」


「あれ!? アニーちゃんから聞いてなかったの?

 今夜は、アニーちゃん、外泊するのよ」


 スノーさんは、俺からアニーに視線を移してそう言った。


「特に、話すような状況でもなかったので……」


 アニーは、食事を一旦止めて、無表情に答えると、また食事を再開した。


「そういうことじゃなくて。あの部屋、ベッドが一つしかないでしょ?」


 俺は、多分アニーが知らない大きな問題点を指摘したが、

スノーさんは、ニコニコしながら口を開く。


「大丈夫よ。セミダブルだから、二人でも狭くないわ」


「スノー、いい加減にしなさい。

 お前の思惑が外れたからと言って、八つ当たりは良くないぞ」


「はぁ~い」


 そこへブリジットさんからの助け舟が入った。だが、スノーさんは、悪戯して叱られても、全く懲りていない子供のような返事をするのだった。


「リュウくん、今夜はアニーちゃんにお部屋を譲って、居間で休んでね」


「そうします」


 俺は、ベッドより寝心地の落ちるソファーで寝ることになったが、死地から撤退に成功した兵士の気分になった。それにしてもスノーさんの思惑って何だったんだ?

いや、知らない方がいいかもしれない。俺は、一時の安らぎを覚えるのであった。




22-2.ネクストミッション -次なる作戦-


 食事を終えた俺たちは、スノーさんが、夕食の後片付けに台所へ、俺たち3人が、居間へと場所を移していた。アニーは、賓客に格上げされたようで、特に何をするでもなく、居間のソファーで普段は味わえないゆっくりした時間を楽しんでいる。


 今日は、アニーのアドバイスのお陰で、神聖魔法について、大分見通しが立った。

だが、残っているスーリンに関する懸案事項を確かめて置かねばならなかった。


「ところで、アニー。聖女さまのカークへの行幸は、今どうなってるんだ?」


「5月中に予定されていた行幸の事ね。正式な発表は、未だだし、はっきりとした

 理由もよく分からないけど、聖女さまの都合で、延期になったそうよ」


 アニーは、残念そうに嘆息した。この様子だと、かなり楽しみにしてたのだろう。

だが、ボロダーさんの話では、カーク教会の例の帽子の男が、『行幸の日程を変更させた』と言っていたらしい。


「やはり、延期か。けど、俺が聞いたのは、カーク教会側の都合だって話だぞ」


 俺の話を聞いたアニーは、少し怒気を孕んだ口調で話し出した。


「そんなはず、ないわ。カーク教会では、聖女さまのカーク行幸に合わせて、

 私たち見習いシスターの正式なシスターへの任命式が計画されていたのよ。

 だから、カーク教会の人たちは皆、聖女さまの我侭のせいだって、言ってるわ」


 カーク教会内で、延期の原因は、聖女さまの我侭とされているにも拘らず、

帽子の男が、自分たちだと、ボロダーさんに宣言した目的は何なのだろう?

力を見せつけての威圧か? それとも偶然の日程変更を利用した虚勢か?


 カーク教会側と王都主教会側、そして聖女さま自身、実際に変更を言い出した

のが何れなのか、主導したのが誰かで状況が全く違ってくる。俺が、そう思考を巡らせていると、同じ様に考え込んでいたブリジットさんが、口を開いた。


「王都の教会へ――聖女さまへ手紙を出してみたらどうだろう?

 最初に『聖女さまの都合で予定が変更された』と噂を聞いた事をお伝えした上で、

 シスターの任命式延期の事や行幸を多く者がお待ちしている事を記して送るんだ」


 俺たちは、ブリジットさんの提案に耳を傾けた。


「聖女さまの我侭で予定が変更されたとしても、歓迎されていることを知れば、

 気が変わることもあるだろう。一方、カーク教会側が、待ったを掛けたのならば、

 事実と違うとの反論があるかもしれない」


 現状では、何が真実にせよ、行幸中に行われる無差別の治療をスーリンに受けさせる事は、出来なかった。だが、ブリジットさんの提案で、行幸再開の可能性に、一縷の望みが出てきた。流石、ブリジットさん! 俺は、アニーに声をかける。


「頼めるか? アニー」


「いいわよ。私も早く正式なシスターになりたいし……『ありがとう、アニー』…

 でも、リュウイチは、どうしてそんなに行幸のことを気にかけてるの?」


 アニーが味方なのは分かっているが、スーリンの事を知らせても大丈夫だろうか?


「まさか、狙いは聖女さま?」


 俺が、答えを一瞬渋ると、アニーは、根も葉もないことをブツブツ言い始めた。


「リュウくんは、アニーちゃんが、正式なシスターになったら、

 またデートに誘うつもりなのよ」


 そこへ後片づけを終えて、居間へとやって来たスノーさんが、フォローなのか、はたまた陰謀なのか、ちょっと判断に迷う発言を差し込んでくる。

アニーは、スノーさんの方を一瞬見て、俺に視線を移した。


「スノーさん、ちょっとそれは……」


「ごめんなさい。まだナイショだったわね」


 スノーさんの絶妙な言い回しもあって、言い淀んだ内容を良い方に解釈したアニーは、うれしそうに微笑んだ。手紙の件は、取りあえず引き受けてくれるようだ。

俺が、人身御供になることで、不確定だがスーリンへの保険ができた。


 更に、アニーは、よほど嬉しかったらしく、アニーに頼んでいるもう1つのお願い――洗礼名簿の入手について、朗報を齎してくれた。


「もし、最初の予定通りに聖女さまの行幸が行われれば、今月中に私は、シスター

 になれるわ。そうなれば、私自身が、洗礼名簿の閲覧ができるようになるし、

 リュウイチに洗礼名簿を閲覧させる計画を進める事ができるわよ」


 俺は、余りの嬉しさにガッツポーズを決め、今日一番の笑顔になっていたと思う。


「ヨッシャ~~!! アニー!? それで、俺は、何をすればいい?」


 俺は、計画での役割を聞いたつもりだったが、俺の様子を見ていたアニーは、思いがけず、追加の報酬を要求してきた。


「そうですね。この髪飾りだけでは、少し役不足ですから、

 他に何か頂けないかしら? 例えば……」


 口調を余所行きに改め、初めて会った時のような大人の表情になったアニーは、ソファーから立ち上がると、俺にゆっくりと近づいて来た。そのしぐさに俺の鼓動が早くなる。そして、アニーは、紅を引いた唇を俺の耳元に近づけ、そっと囁く。


「私自身を差し置いて、伴侶探しのお手伝いをするのですから、

 代わりに、今晩、ベッドでご一緒するというのは、如何かしら?」


「!!……なっ、なっ、なっ、なっ、何、言ってんだ! アニー?」


 俺の鼓動は、早鐘を打ち、目の前のアニーの瞳を見つめ、喉を鳴らす。

やっと、出た声は、引きつり、不明瞭になった。その慌てぶりを見て、

少し溜飲を下げたのか、アニーは表情と口調を元に戻すと笑いながら言った。


「な~んて、うそよ」


「へ!? うそ?」


 何がどこまで嘘なんだ? こういう土台をひっくり返しそうな嘘はやめてほしい。

俺の『鳩豆《・・》』の様子を見た3人は、俺1人を置き去りにして、大笑いするのだった。

一頻り笑ったアニーは、やがて説明を始める。


 アニーの説明によれば、カークの都市内にある教会は、大きな尖塔を持つ大教会―この敷地の一部にアニーのいる孤児院もある―だけではなく、もっと小さな教会が教会区内外の街中のあちこちに幾十もあり、そこでも洗礼が受けられるそうだ。


 だが、洗礼名簿の管理上、その情報を大教会にある名簿に集約する必要があった。

そのため、年に2回、すべての小さな教会を回って、まだ集約されていない情報を集め、それをまとめて大教会の洗礼名簿に書き写す仕事があるそうだ。


 その仕事は、誤写を防止するため、必ず二人一組で作業を行い、作業は、分担せずに二人とも全部の写しを取って、後でつき合わせを行うらしい。それは、二人が同じ箇所で誤写する確率がかなり低いからだ。


 しかし、この方法は、すべての作業が完了するまでに長い時間が掛かるため、

いつも決まった者同士で作業が出来るとは限らなかった。そこで、一方が仕事を請け、その者が自由に助手を選んで連れて行き、作業を行うという形になっていた。

ただし、その仕事を請けるられるのは、正式な教会の一員だけらしいのだが、……。


「で、調べたところ、その助手に対しての制限は、特に何もないみたいなの。

 まあ、何かあれば、仕事を請けた人が責任を取るのでしょうけど」


「つまり、アニーが仕事を請けて、俺は、助手として

 一緒に連れて行ってもらえれば、見放題写し放題ってことか」


「そうよ。でも、ちゃんと仕事もするのよ」


「わかってますよ、アニーちゃん」


「気持ち悪いから止めて」


 俺は、うれしくなって舞い上がっていた。「何かあったら」の「何か」が何であり、「責任を取る」の「責任」が何にを示すのか全く考えていなかった。




5月7日(木)


22-3.エヴォリューションミーティング -反省会-


 俺は、いつもより早い時間に居間で目を覚ます。昨夜は、アニーに俺のベッドを取られる形となったが、スノーさんやアニーの悪い冗談通りに添い寝して一晩中、忍耐力の経験値を積むよりも、ずっとましだったろう。


 このところ、何の因果か、ズルズルと予定とは違う方向に行っている気がする。

そうは、ならないように気を引き締めよう。

俺は、一回背伸びをしてから、中庭の井戸へ向かう。


 先客のアニーは、すでに顔を洗い、身支度を整え、いつものシスター服に戻っていた。昨日の私服姿を、思い浮かべると少し残念な気持ちになった。

だが、それと同時に自然にあの言葉が蘇ってきて、顔に火照りを覚える。


「「おはよう」」


 俺は、何とか平静に挨拶を交わすと入れ違いに、アニーは、室内へと戻る。

色々と残念に思う心を『ズルズル行かない』という決意で打ち消し、

冷たい水で数度、顔を洗うと、水筒の水を入れ替え居間に戻った。


 部屋に戻ると、すでに起床していたスノーさんが、玄関に続く扉からアニーと一緒に出て行く所だった。俺は、それを見て、玄関へとアニーの見送りに出る。

玄関先では、スノーさんが、アニーに封筒を渡していた。


「スノーさん、ご寄付ありがとうございました。

 ご主人にもよろしくお伝えください」


 封筒を受け取ったアニーは、丁寧にお礼を言って扉から出て行こうする。

何か物足りなさを感じた俺は、アニーに声を掛けていた。


「アニー、もう帰るのか?」


「ええ、流石にもう戻らないと朝のお勤めに遅れるから」


 どうやら、本当に時間がない様子だ。


「アニー、昨日はありがとう。また、土曜に行くから、よろしく」


「それじゃ、また、孤児院で」


 アニーはそれだけ言うと足早に立ち去った。

少し名残惜しかったが、玄関先から食堂に戻って朝食を取る。

俺は、スノーさんの手作りの朝食を食べながら、スノーさん話し掛けた。


「そう言えば、アニーが言っていた、寄付金ってなんのことですか?」


「そうね。一応話しておくわ。いい? アニーちゃんは、ブリジット商会から寄付

 金を貰うために、寄付を渋る私を説得しにこの家に来ていたの。アニーちゃんの

 夜通しの説得で、私が改心して、今朝、寄付金を持って返ったのよ。わかった?」


「え!? どういうことですか?」


 俺は、驚いて聞き返してしまった。アニーはそんなこと一言も言っていなかった。


「リュウくんとデートするから、アニーちゃんを貸してくれって、

 院長先生に頼めると思う?」

 

「いや、でも短時間なら教会を空けても大丈夫じゃないですか?」


「そう、短時間ならね」 スノーさんは、続ける。


「私が、悪者になってまで、リュウくんが、アニーちゃんと一緒に夕食を食べて、

 一緒にお泊りする時間まで作ったのに……。最後の封筒の封も切らずにノコノコ

 帰ってくるなんて、リュウくんを、そんな意気地なしに育てた覚えはないわ~」


 育ててもらってねぇし~。


「今の思いを告白しなさいって、指示したのは、スノーさんじゃないですか~。

 俺は、指示に従って、そうしたんですよ。俺、必死に考えたんですから」


「え!? カフェから真っ直ぐ帰って来た訳じゃなかったの?

 意外ね~。城壁の上での告白タイムは、時間切れで、即、次の段階《キス》に

 行くと思っていたのに……。それで、告白の後は、どうなったの?」


「その後、色々話して、暗くなり始めたんで、帰ってきたんです」


「どうして、そうなるかな~? 告白して、受け入れてもらったのに、何もない?

 おかしいわね? リュウくん、一体何て告白したのよ?」


「探し人と結婚したいから、手伝って欲しいって……。

 アニーは、手伝ってくれるって言ってました」


「なっ、なんて事言ってんの!? まるで、女性の敵の見本じゃないの。

 それを引き受けちゃうなんて、アニーちゃんも対外よね~。

 封筒に入れた別紙の秘伝書は、どうしたの?」


「俺が、知りたかった事が書いてあるという封筒ですか?」


「リュウくんが、興味深々だったA《キス》ことが書かれていたでしょう?

 アレを読んだリュウくんが、あの秘伝の技で、目を閉じたアニーちゃんに熱い

 キッスをして、メロメロになったアニーちゃんと一緒に……そう信じてたのに」


 スノーさん、俺が、知りたかったのは、Aスキルのことですよ。

断じて、A《キス》の事ではない。あとで、リュックの中をもう少し探してみよう。

俺が、不埒なことを考えていると、更に衝撃的な封筒の内容が語られる。


「お泊り先だって、取って置きのロマンチックな宿を書いて置いたのに~。

 あ~あ、同封のサインするだけの日付入りの婚姻届も無駄になっちゃったな~。

 計画通りだったら、一緒に朝を迎えた二人が、今頃ここへ帰ってきて、

 『私たち結婚します』って言ってたはずなのに~」


 こっ、この人は、い…一体何を計画してたんだ。

俺が、アニーにキスしたり、宿に連れ込んだりする訳ないだろう?

……でも、昨日のアニーは、確かにいつも以上に、魅力的だった。


 もし、あの最後の指示書を開封して、中に書いてあった指示通りに行動したら

俺が、気付いた時には、もう、アニーと二人ベッドの上なんて事もあったのか?

城壁の上での俺のカンは、正しかったようだ。


「スノーさん、どうしてこんな計画を立てたんですか。

 教えてくれないなら、俺、もうスノーさんの計画には絶対乗りませんから」


「だって~、リュウくんは、私たち夫婦の息子みたいなものでしょう?

 でも、私、娘も欲しかったから、アニーちゃんに娘になって欲しかったのよ。


 リュウくんと結婚すれば、自動的に娘になるじゃない?

 昨日は、アニーちゃんにお化粧をして上げたり、お似合いの服を

 着せて上げたりできてとても楽しかったんだから~」


「俺を息子だなんて、天涯孤独の身としてはうれしいですが、

 娘の方は、俺が探し人を探し出すまで待ってて下さいよ」


 と言いつつ、俺は、決めた。

もう絶対何があってもスノーさんの計画には乗りません。

でも、アニーがシスターになった時は、どうしよう?


「リュウくん、この国では何人の奥さんがいても大丈夫なのよ。

 アニーちゃんと結婚していても、探し人が見つかれば、その人とも結婚できるわ」


 俺がミヨコに殺されるんですよ。本当に怒るとすごく怖いんです。


「アニーだって選ぶ権利がありますよ。

 俺のような、駆け出しの冒険者よりも、もっといい条件の人が幾らでもいますよ」


「リュウくんは、アニーちゃんの覚悟がわかってないようね~。

 まあ、いいわ。そのうち分かるかもしれないから」


 そこに、ブリジットさんが起きてきて、話が中断した。

スノーさんと話していて気がつかなかったが、もういい時間のようだ。

俺は、昨日買った冒険者服に着替え、支度を整えるとボロダー商店への道を急いだ。


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 まとめ


 ただいま~。アニーは、今晩お泊り? へ!? 俺の隣に寝る?

 ちょっと、勘弁してよ。はい。では、居間のソファーに寝ます。


 で、聖女さまの行幸ってどうよ?

 やっぱり、延期か。聖女さまのわがまま?

 俺が聞いたのと違うな。

 聖女さまへ手紙を出して聞いてみる? いい考えですね、ブリジットさん。

 アニー頼むよ。上手く再開すれば、保険になるし。


 で、洗礼名簿の方は?

 小さい教会の名簿を写して集めて来て、洗礼名簿に書き加える仕事があるの?

 やりましょう、アニーちゃん。


 おはよう~。あれ、アニーもう帰るの? それじゃまたね。

 寄付金? スノーさん寄付金て何? アニーを連れ出す口実に使ったの?

 苦労したのに、夕食もお泊りもしなかったて? それは~、無理でしょ。

 え!? 予定では、今朝は結婚発表会見だったって!?


 冗談じゃないよ。俺には、決めた人がいるよ。

 結婚は、何人でもOKなの? でも、後が怖いからな~。

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