55話
「もし僕が自分の身体を治そうとしなかったら今頃、彼は生きてこの世界に存在していたかもしれない」
と。
そして彼は、「この世界は残酷だ。だけど、だからこそ人との出会いは大切にしないといけないんだな」
と思ったそうです。
さぁ最後は、皆が大好き「カエルチョコレート」のお話です。
ハリーはこのカードをいつも持ち歩いていました。
その理由はもちろん、「カエルチョコを全部集めるため!」
です。
彼が、初めてカードを見たのは10歳の時。
それまでは、魔法使いなんて知らなかったハリーにとって、それは不思議な食べ物でした。
それから5年が経ちました。彼は12歳になって、ホグワーツに入学する年齢になりました。
その頃の彼と言えば、相変わらず「カエルチョコレート」集めに熱中していて、もうほとんど全種類を集め終えていたんです。
だから次の「魔法使いの友」を手に入れようと頑張っていました。しかしなかなか出ません。
それでも彼は諦めずに毎日のように探していました。
するとある時、ある店で、
「『魔法使いの友』は、ここにはないよ」
と言われてしまいました。ハリーはすごくショックを受けたようです。彼はとても落ち込みました。
しかし、その店には一枚だけ残っていたのです。
それが「蛙チョコ」でした。
ハリーは喜びました。
そして、買おうと思いましたが、お金が足りませんでした。
そこで彼は、「自分が魔法使いである」ということを店主に告げ、それを証明しようとしました。すると彼は驚いて、
「君は本物の魔法使いなのか!?」
と言います。
だからハリーは
「そうだ。本物だよ」
と答えました。
そして、なんとかして手に入れたかったので、
「お願いします。譲ってください」
と頼み込みます。
「タダであげることはできないけど、交換ならいいよ」
と言われたので、ハリーは喜んでそれに応じました。
「ありがとう」と言って。
その日から、ハリーは毎晩夢を見るようになったそうです。
その夢の中に出てくるのは、決まってあの「カエルチョコレート」
の箱でした。
なんとその中には、ハリーが欲しかった「魔法使いの友」が入っていたのです。
そして目が覚めた時、必ず手の中にそのカードがあるのです。
だからハリーは、
「これはきっと何かのメッセージに違いない」
と考えました。
そこで彼は、
「もう一度、あそこに行きたい。どうか、連れていってくれないか?」
と、ある人に頼むことにしました。
しかし、その人はハリーを快く受け入れてくれず、結局断られてしまいます。
しかし、ハリーはあきらめきれませんでした。
なので、その人のあとをつけていくことにしたのです。
そしてとうとうその場所を突き止めると、ハリーはまたその人に頼んで、連れて行ってもらう事にしたのです。
ところが…………..。
着いた場所は墓地でした。
その人が、そこにいる誰かに呼びかけます。
しかし誰も出て来ないのです。
その瞬間、ハリーはその人物が誰であるかに気付きました。
そして彼は急いで逃げ出そうとしますが時すでに遅し。
その人物はハリーを捕まえ、そしてこう言いました。
「なぜ、私の後をつけた? お前の目的はなんだ?」
ハリーは何も答える事が出来ず、そのまま気を失ってしまいました。
そして目を覚ました時には、もうそこにはいませんでした。
ハリーは自分の部屋に戻って寝ようとした時に、ふと机の上を見ると、先程までなかったはずの「魔法使いの友」があったのです。それでハリーは悟りました。
「やっぱりあれは夢じゃなかったんだ」
と。
そしてハリーは、そのカードをじっと見つめて、
「もう一度会えるといいな」
と言いました。
それでは次が最後のお話です。
「嘆きのマートル」
についてです。
この女子トイレに住んでいると言われているゴーストで、「太った婦人(肖像画)」と並んで有名な存在でしょう。彼女もまた、学校中の生徒が恐れている生徒の一人です。
彼女は生前からいじめっ子だったらしく、彼女が死んでからも、いじめは続いています。そんな彼女のことを「嘆きのマートル」と呼んでいるんです。
何故でしょうか。
それはですね、このトイレにやって来る女の子に、「あなたは死ぬ前に何をしていたの?」などとしつこく聞くからだそうです。
だからこの学校の生徒の間では、この質問をする彼女を「呪い」をかけたり殺したりする悪い幽霊なのだと思われています。
まぁもちろんそれはただの噂であって本当ではないんですけどね。
しかしそんな噂を信じてしまう人もたくさんいて、「私も聞いたことがある」などと言う人がいるんです。
さてここで、ちょっとだけ彼女にスポットライトを当てましょうか。
この物語に出てくる「彼女」は、「リリー・エバンズ」という名前の女の子です。そして彼女はある男子生徒に片想いをしていました。
でも彼は、その気持ちに全く気が付きません。
そんな時、リリーは思い切って告白することに決めました。
彼は戸惑いましたが、それでもOKしてくれました。二人は晴れて恋人同士になったのです。
しかしそんなある日、悲劇が起こりました。
彼が、他の女と仲良くしている所を見かけてしまったのです。
しかも相手は彼の幼馴染みで、彼のことがずっと好きだったという子でした。
当然、嫉妬心が芽生えたリリーは怒り狂いました。
そしてついに爆発してしまい、
「あんたなんか大嫌い!別れる!」
という捨て台詞を残し、彼はリリーを捨てました。
しかしそれがいけなかったのでしょう。次の日に、彼は交通事故にあって亡くなってしまったのです。
それから数日後のこと。
リリーは一人で、あの女子トイレに入っていきました。
そしてそこで、偶然マートルと会いました。
するとマートルが突然こう言ったのです。
「ねぇあなた。死ぬ前のことは覚えてる?」
リリーはとても驚きました。
なぜなら、ここは学校の七不思議にも数えられるほど不気味な場所だからです。
しかし、それでもリリーは勇気を出して答えました。
「えぇ、もちろんよ」
すると、マートルはニヤリと笑って、
「そう、よかったわ」
と言った後に続けて、
「じゃあ私が何をしたのかは知ってるかしら?」
と聞いてきたのです。
リリーは怖くなりました。
しかし、少し間をおいて、恐る恐るこう聞き返しました。
「まさか…………、殺したの?」
すると、マートルは笑いながら首を横に振りました。
そして、
「いいや違うよ。私はただ彼と別れただけ。だけど彼は、なぜか死んじゃった。だから、彼に呪いをかけてやったの。もう二度と戻ってこれないようにってね」
と言いました。
それを聞いていたリリーの顔は青ざめていました。
「……嘘よ」
と、彼女は呟きました。
そして震えながらもさらに言いました。
「あなた、自分が何言ってるかわかっているの!? それってつまりは殺しと同じよ!! 殺人じゃない!!」
しかし、マートルは平然とした顔でこう言い返しました。




