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南1局3本場:喪失の過去

やっと、しめ飾りがほぼ片付きました。

投稿を再開していきます。

「中原には昔話したことがあったと思うが、俺は大学生の時に麻雀を始めた。そしてネット麻雀をやっていたところで、舞に。白崎舞に誘われてシゲさんのところへ行った。ここまでは知ってるよな、静?」


 軍星は静かに語り始める。

 白崎静は「名前で呼ぶな」という顔をしているが、姉妹で分かりにくくなってしまうのでやむを得ない。

 その思いで我慢をしている様子がありありとわかる。


「そして、あの日。一色清美に殺された。 ……俺は、見ていることしかできなかった」


 軍星が絞り出すかのような声で語る過去。

 それは、まるで過去が怨霊のように付きまとっているかのようである。


「……会長、あなたはどこまで軍星さんの過去のことを知っているんですか?」


 中原みなみが白崎静に尋ねる。

 だがその顔からは表情が抜け落ちており、何の感情も読み取れない。

 その表情の通りのかたい声で、六道軍星に、白夜に尋ねる。


「……おねぇちゃんが、殺された? は? アンタが殺したんでしょ」

「……俺が舞を殺す理由があるか? 結婚の約束をして、中古だが家も買った。そんな俺に、白崎舞を殺す理由が無い」

「……正直、あんたのことは信じられない。その、一色……清美さん? その人がおねぇちゃんを殺したって言ったって、あんたが口から出まかせを言っているだけかもしれないじゃない」


 かたい声が氷解し、冷たい声に変わる。

 それは激しい怒りがマグマのように煮えたぎっていることの証左。


「……会長。私は一色清美に会ったことがあります。あくまでも私の感想ですが、あいつであればやりかねません。もし、私が信じられないなら純ちゃんを。鈴木純を呼んでください。一色清美に拉致監禁をされたので、一番公平に意見を言ってくれると思います」


 中原みなみが会長に語り掛ける。

 あくまでも公平中立な立場を守るように。

 あくまでも六道軍星が白崎舞を手にかけていないことを証明するために。

 そのために、親友であろうと……利用する。


「……それには及びません。おねぇちゃんをこいつが殺していないっていうのはなんとなく理解しました。ただ、信用はできないので」


 そこで言葉を切ると、六道軍星の腹を全力で殴る白崎静。


「今は、これで()()()()()()()()()()。で、なんでおぇえちゃんはその一色とかいう人に殺されたのか説明してもらえますか? その説明次第で、あんたのことを信用するかどうか決めます」


 軍星にとって苦しく、辛い。

 艱難辛苦という言葉では表しきることが出来ない。その「過去にあった出来事」を話す。

 勝てるはずの戦い。勝ったはずの戦い。

 その中で、喪われた――命。

 あまりにも卑劣で下劣で最低な、一人の命を奪うためだけの行為。


「……というわけで、舞は死んだ」


 重い。

 というには重すぎる空気が麻雀部(仮)の部室を支配する。

 息をするのもためらわれるような。

 心臓の鼓動さえ止まってしまいそうなほどの沈黙。


「あら~、なんか聞こえてきたから外で聞いてたけど~ずいぶん懐かしい話じゃない~」


 その空気を破ったのはいっそ「呑気」と言えるような声。

 だが、軍星はその声を聴いて「剣呑」と言うべき雰囲気を纏う。


「……てめぇ、何しに来やがったっ! 一色清美っ!!」

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