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東場終局・南入:未来への希望

 午後の教室に気だるい雰囲気が流れている。

 授業は5時間目。

 この時間が終われば掃除をして、部活がある人間は部活へ。そうでない人間は塾や帰宅を。

 そんな午後のひと時。

 教室に一人の男性教諭のダルそうな声が響く。


「……はい、教科書の32Pを開いて。今日は表計算ソフトによるアンケート集計の練習だ」


 男の名は六道軍星。

 晴嵐高等学校の情報科教員である。


 時は1ヶ月前にさかのぼる。

 

「軍星さん、うちの高校に来ませんか!?」


 軍星がいつもの雀荘で麻雀を打った後に、食堂はなおかでかつ丼を食べていた時のことだった。

 中原みなみに突然、高校教員にならないかと勧誘された。

 もともと数学科の教員が兼任していたが、「二つ兼任するのは無理です。誰か雇ってください。無理なら私はやめます」と校長を脅したそうだ。

 そして、あのガラスにドロップキックをした日、情報化の教員免許を持っていることを聞いたみなみが白羽の矢を立てたのであった。


「……このくらいのアンケートであれば、面倒な機能を使わず関数のほうが早い場合もある。要はきちんと使い分けろってことだ」


 最初こそ、どこの馬の骨かわからなかったので反対意見もあったが、まずは3ヵ月の試用契約という事で使ってみるとなった。

 学生からの評判は「やる気はなさそうだけど、授業は分かりやすい」と好評である。

 このままいけば正式採用されるだろう。


「せーんせ、学校は禁煙ですよ?」

「みなみ……。いや、学校だから中原か……。教職員はいいんでーす」


 授業が終わった後、屋上でこっそり煙草を吸っていた軍星。

 それを目ざとく見つけた中原みなみ。


「先生が来ないと、部活始まらないんですから早く来てください!」

「……しゃーないな。こいつ吸ったら行くから先に行ってろ」


 携帯灰皿に乱暴に押し込み、部室塔のそばにある物置として使われていた小屋へ向かう。

 その看板には「麻雀部(仮)」と書かれている。

 六道軍星が正式採用になったら、顧問になるように中原みなみに依頼されている。


(一色を斃したら俺は死ぬつもりだった。だけど、中原みなみという才能に出会ってしまった。俺は、この才能の行く先を見てみたい。だから、舞。悪いけど、もう少し待っていてくれ)


 麻雀部(仮)の部室。そのドアを開ける。

 空からは雪が舞い落ち始めた。


<東場終局>

これにて、第1部完結となります。

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