海へと降り立つ
「うー。なんか寒いですね……。」
「高度が高いほど気温は下がるからな。」
「お日様が近いのに寒くなるんですか?」
「近づいた距離など、微々たるものだ。それでも風を魔力で防いでいるから寒さは相当マシなはずだ。」
「あー、確かにそうですね。」
高度を上げ、海へ向け川下へと飛ぶ。
魔力で近い範囲全てを囲むことで、安定し、かつ高速飛行になっていた。
喋って舌を噛む心配もなくなっている。
「でもこんなふうに飛べるならもっと早くからやってくれればよかったのに。」
「昨日はそなたをほとんど乗せなかったからな。まさかあんなに簡単に吹き飛ぶとは……。」
少し前に、風圧で真白が龍の背から吹き飛ばされていた。
慌てて魔力でとらえたものの、これは心臓に良くないと考えて工夫した結果安定かつ高速という絶大な効果を得ることができた。
「ただ、魔力の無駄遣いだ。我が魔力が枯渇して、翼で飛ぶことになるかもしれんな。」
「そ、その時は一旦降りましょう。降りるまでは我慢しますから。」
枯渇する気配は微塵も感じないが、真白にはこう伝えておく。
――
そして、ついに川の流れは終わりを迎える。
「お?なんか川幅が急に広がったみたいな……?」
「ん?……おお、真白よ。あれが海だ。」
「はー!すごいすごい!全部青い!」
初めての海を目にし、はしゃぐ真白。
よく見ようと膝立ちになり、目線を高くする。
「また落ちるなよ。もうすぐ降りるぞ……む。」
龍が着陸地点を見定めようと眼下の状況を確認すると、川が終わる少し手前あたりから街が広がっていた。
「港町か。有って当然、だろうな。」
「港町?あ、すごい。家がいっぱいありますね。あそこに降りましょうよ。」
「馬鹿者。龍がどれほど一般的か知らんが、恐らく大混乱に陥るぞ。」
「えー。行ってみたいですー。」
「『えー』ではない。」
そもそも、この世界の龍に対する人々の反応が全く予想が付かない。
本当に最初の頃の真白は龍に畏れを抱いていたので、ある程度は畏怖、畏敬の対象となるかもしれないが
(真白は参考になるのか……?)
事前情報としての価値は、疑わしいものだ。
――
町から少し離れ、海沿いを行く。
地平線に町が見える程度の距離の浜辺に降り立った。
町の動きが見え、何かあった場合でも余裕を持って対応できるようにするためだ。
「真白よ、日も傾いてきた。町に行きたいのなら明日にしろ。」
「えー。」
「『えー』ではない。町の人間も今頃対応について検討しているだろう。」
「対応?」
「あの規模の町だ。間違いなく、我がここにいることはわかっているだろう。そして我のような存在に慣れていなければどう対応するか、混乱しているだろう。」
「なるほど……。そんなに慌てているのに、明日って向こうにとっては急なのでは?」
「無論、早い。だが、だからこそだ。よいか真白、明日はな……」
ブックマークありがとうございます。
短いです。
無理矢理整合性つけた感があったらごめんなさい。
一日経ったら、「こうすりゃよくね?」って思ってしまって。




