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81 再会

「来たか」


 冒険者組合の一室にて、執務机の前に座る補佐長が部屋に入ってきたキースに視線を向ける。その鋭い視線は崩れること無くキースを見据えている。


「話は職員から聞いた。冒険者ソフィア、薬剤師ミィーケ、両者共に調査を引き受けるようだな」


「ええ。二人共了承してくれました」


「結構。後ほど職員から詳しい調査の詳細を伝える。その時は二人を連れて説明を受けるように」


「了解しました」


 今回の調査にはキースに加えソフィアとミィーケも同行することになった。これで調査が捗る――とはいかないだろう。キースとソフィアは未だD級冒険者。ミィーケに至っては部外者といっていい。他の街に行った所で大し権限を行使することも出来ない。調査は地道なものになるであろう。


 そんなキースの考えを感知したのか、補佐長が補足のように説明していく。


「今回の調査について、ある程度の融通は効くように手配するつもりだ、心配するな。とはいえ、それほど強制力のあるものではない。多少動きやすくなる程度でしかないがな」


「いえ、用意してくれるだけでありがたいです」


「それについても後ほど改めて伝える。では―――」


 補佐長の話の途中、扉を叩く音か室内に響く。続いて扉の向こうから入室の許可を求める声が聞こえてくる。


「入れ」


「失礼します。補佐長、彼女が到着いたしました」


「そうか。丁度いい、部屋に通せ」


「承知しました」


「来客も来たみたいですし、俺はここで失礼――」


「いや、お前にはここに居てもらう」


 補佐長の言葉にキースは眉を動かす。まだ話があるのだろうか。だが詳細は後日ソフィアやミィーケを交えて聞くはずだが。


「失礼します」


 キースが言葉を口にする前に、室内に新たな人物が入室してくる。先の職員がいっていた客人だろう。後ろを振り向きその人物の顔を確認したキースは、その意外な人物に少々驚きを見せる。


「あっ……」


 その人物は、キースの顔を見ると、キース以上に驚いた様子を見せ、思わず声をもらしてしまう。


「キースさん……」


 互いに驚いた様子を見せる両者。そんな二人に補佐長は平坦な口調で話を続ける。


「二人共いつまで見合っているつもりだ。話を続けるぞキース。今回の調査について、彼女も同行し調査の一端をになってもらう」


 補佐長の説明に驚いあたキースは改めてその人物の顔を見る。

 新たに入室してきた人物。

 それはかつてキースと一緒にワイバーンの調査を行った人間――


 エルティナのその顔を。




「エルティナが、今回の調査に?」


「そう言った筈だが」


「いやしかし……」


 というよりも、何故エルティナがこのイデアランに。彼女はB級審査を終え自分の街に戻ったはずである。色々と疑問が頭を過る中、補佐長がそれを説明するように口を開く。


「今回の調査においてキース、お前たちの他にも冒険者の中から人員を確保し同行させつつもりであった」


「その人員というのがエルティナという訳ですか」


「こちらとしても彼女がイデアランに来たのは想定にないことだ。だが折角手頃な人手が増えたのだ。活用しない手はない」


「手頃な人手って……。いや確かに彼女の実力は確かなものですが」


「なんだ、不満でもあるのかキース」


 補佐長の発言にエルティナがどこか悲しそうな顔をする。キースは慌て異を唱える。


「嫌なこと言わないで下さい。不満とかそういうわけじゃないです。ただ、今回の件に関してはイデアランで起こった不手際を、他所の冒険者の手に任せるのは虫が良すぎるのではと思っただけです」


「本来ならばそうかもしれん。だが先も言ったように今は人手が足らん。使えるものは使うのが私の主義だ。それに――」


 補佐長はキースとエルティナ両者をその鋭い視線で捉える。


「エルティナは完全な部外者とも言えぬだろう。このイデアランで昇級審査を受け、そこで規定に沿う依頼もこなしている。そして何より。キース、お前とは既に行動を共にした仲間だ。今回の調査で行動を共にするに、なんら問題ないだろう。何か異論はあるか」


「確かにそうではあるんですが……」


 確かに補佐長の説明は理にかなっている。キースにしても、エルティナの実力は認めているし、何より彼女とは一緒に死線をくぐり抜けた仲だ。そういった意味ではエルティナは適任といえるだろう。だからといって、はいそうですかと納得出来るかと言われれば、それはまた別である。


 そんなキースの心の内を知ってか知らずか、エルティナがどこか悲しそうな表情でキースに問いかけてくる。


「……私では不満なんですか?」


「いや、だから不満とかいう問題じゃなくてだな……」


「……」


 不安そうな、悲しそうな、それでいて寂しそうな。そんな表情を見せるエルティナに、キースは何も言えなくなる。そして諦めたように大きくため息をつくと、頭を乱雑に掻き口を開く。


「はぁ……。こんな面倒くさくて割に合わない嫌な仕事を君に押し付けたくはないんだが……。手を貸してくれるのであれば、正直なところ、こちらとしては大変ありがたい。エルティナの実力は知っているつもりだからな。――――手伝ってくれるか?」


 先程の表情から一転、花が咲いたような笑顔で力強くうなずくエルティナ。


「はいっ! 期待にそえるよう頑張りますっ!」


「いや、そこまで気合をいれなくても」


 というより、実力的に言えばキースの方が明らかに格下であり頑張らなければならないのはキースの方であるのだが。


「まぁ程々にな。何もドラゴン退治をしに行こうってわけじゃないんだ。肩の力を抜いて気長にやっていこう」


 こうして今回の調査にて、新たな人員が仲間に加わることになるのであった。


ここにきて新たな登場人物と思いきや、カムバックを果たしたヒロイン候補のエルティナさんです。この先どういった展開になるのでしょうか


ちなみに他のヒロイン候補の対抗馬としてテトくんがゲフンゲフン

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