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夢の奥で  作者: 関根ゆい
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8/21

土曜日、映画。そして窓の外。1

前話と同じ時間の、私、の出来事。


 4限終了のチャイムが鳴って、駆け足なホームルームが終わった順に校舎中のドアが開いてゆく。今日は土曜日。中高一貫の私学である私の学校は土曜日も半日は授業がある。

 今からの一日半の休みに胸をときめかせた生徒たちはみんなきらきらしている。部活に行く人、友達と街へ繰り出す人、はたまたデートに出かける人…。いろいろいるけど、みんな楽しそう。学校中が幸せな音であふれている。

 私も今日は、友達と映画を見に行く約束をしている。友達も少なく、クラス行事も苦手であまり出かけることはないため、今日はすごく珍しい。

 

 「寺井さんお待たせ、行こうか。」

 私とは他のクラスに所属している友達二人と三人で今日は見に行く。彼女たちとは中2、3の頃同じクラスでよく一緒に遊んでいたが、高校に上がってからは私だけ別のクラスになってしまった。今回も、二人がもともと計画していたものに私も誘われた感じ。

 映画館は学校の最寄から一駅先にあるので、私たちは校門を出ると駅のほうへ歩いて行った。


 「おもしろかったねー!」

 「うん、めっちゃ泣いちゃったー」

 時刻は午後五時。映画を観終わった私たちは、少し先の大きな駅の駅前まで行き、カフェでお茶をしていた。


 「失礼します、こちらピーチイタリアンソーダとモンブラン、ライムイタリアンソーダとシャルロットになります。」

 ウェイトレスが来て、二人の前に注文した品を置いていく。

 二人ともこういう注文に慣れてるなぁ。すごくおしゃれなものをさっと頼める。

 私とは違う。


 「寺井さんは何頼んだの?」

 ソーダのてっぺんに浮いているミントの葉をまずそうに口に入れながら尋ねられる。

 「ココアとシュークリーム。」

 「またー?寺井さんはどこ行ってもその二つばっかね。」


 私の分も運ばれてきて、食べながらおしゃべりをする。

 二人は今日の映画の話で夢中だ。

 今日の映画は有名な少女マンガ原作のラブストーリー。原作を読んでいない上にあまり興味のない私は途中で眠ってしまったからさっぱりわからない。

 少女漫画の恋は、何か足りない、あくまでも私の主観だけど。

 きっとそれは自分のうまくいかない恋から生まれる嫉妬みたいなものもあるんだろうな。


 「寺井さん、なんか高校入ってから変わったね。」

 「中学の頃ほど元気じゃないよね。最近学校よく居ないし。」


 「そんなことないよー。」

 顔では笑ってみるが、本当にそうかもしれない。

 でも、なぜかなんて言えない。不安に襲われるたびに、前にも増してあの人のことばかり考えているなんて言えない。そもそも、あの人のことが好き、否、あの人と昔仲が良かったことすら、中学に入ってから誰にも言っていないのだから。

 中1の時に手帳を破られて回されて、書いてあった内容ばらされて…かろうじで、あの人のことについて書いていたとはばれなかったが…以来、私は人に秘密を打ち明けるのを極端に嫌うようになった。そして、それはあの人本人に対してでも同じで、自分から話しかけもしないし、告白なんて絶対にしないと心に誓っていた…。



 


 

 

 

土曜日、映画。そして窓の外。2、に続きます。


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