未来から過去へ 1
前話から続いている感じになっています。
…んっ…
隣の部屋で寝ているお母さんが起きはじめた音で目を覚ます。
(朝…はぁ)
顔あらって、パジャマのままラジオをつける。
朝からやたら元気な、高校生向けの英語講座を真面目にきくと、朝ごはん食べて、制服着て、いってきますした。
いつもの朝。
眠気もとうに覚め、制服のポケットにウォークマン隠して好きな音楽を聞きながら学校に向かう。
あーそれなりに気持ちよくて、心地いい。
「おはよう」
「おはようー」
昇降口で、クラスの女の子に声をかけられた。名前を呼ばれて振り返る。
「ねぇ寺井さん、今日の面談どうするー?やばくないー?」
え?今日なんの面談だっけ?
きょとんとした私に彼女は笑う。
「やだなぁ、今日の1限のホームルームで面談して、来年理系行くか文系行くか決めるんでしょー?忘れてたの?」
え?その紙は提出期限まだまだで、まだ机の引き出しに仕舞いっぱなし…お母さんに相談すらしてないのに…
いつの間にか教室に着いていた。
あーやだなぁ、まだ決めてないのに…とかぼやきながら、彼女は自分の席に行ってしまった。
8時40分になると、チャイムとともに教室の前ドアが開いた。
「はーい、ホームルームはじめんぞー」
え…?
いつもの先生じゃない…?
私のクラスの担任は、お父さんと同じくらいの歳おじさん数学教師…のはず。でも、目の前にいるのは30はまだいってないであろうお兄さん先生。
でもみんな平然としている。
(ちょっ…どゆことよ?)
隣の男子をつついてみるが、はぁ?て顔をされる。
(おまえボケたんじゃねぇの?)
…本当にそうなんだろうか。
朝の諸連絡が済むと、本当に面談ははじまった。
その頃から私はなにか引っ掛かりを感じるようになった。
あの先生の雰囲気、話方…どことなく似ている…夢の中のあの男の子に…
もしかしたから、ここはまた夢の中なのかもしれない、そしてここはあの男の子の夢なのかもしれない。
そうじゃなかったら、おかしいじゃん。
私の番が来た。
ガラガラ…
失礼しまーす…
英語資料室、通称お説教部屋の引き戸をあけると、先生は、分厚いファイルをめくっていた。
…はーい…座って
あのー…
私は先生…いや、男の子に何か言われる前に先に口を開いた。プリント、そもそも提出してないのに一体何を話すわけ?
「なんだ。早く座れ。」
「は、はい!」
彼は長い指でぺらぺらと閻魔帳をめくりながら私をたしなめる。
…やっぱり声、そっくり。声は低く、歳をとっているけど、抑揚の付け方がおなじ。
ふぅ、と先生は息を吐いたあと、私の方に向き直った。
次話、未来から過去へ 2、に続きます。




