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夢の奥で  作者: 関根ゆい
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5/21

未来から過去へ 1

前話から続いている感じになっています。

 …んっ…

 隣の部屋で寝ているお母さんが起きはじめた音で目を覚ます。

 (朝…はぁ)

 顔あらって、パジャマのままラジオをつける。

 朝からやたら元気な、高校生向けの英語講座を真面目にきくと、朝ごはん食べて、制服着て、いってきますした。

 いつもの朝。

 眠気もとうに覚め、制服のポケットにウォークマン隠して好きな音楽を聞きながら学校に向かう。

 あーそれなりに気持ちよくて、心地いい。


「おはよう」

「おはようー」

 昇降口で、クラスの女の子に声をかけられた。名前を呼ばれて振り返る。

「ねぇ寺井さん、今日の面談どうするー?やばくないー?」

 え?今日なんの面談だっけ?

 きょとんとした私に彼女は笑う。

「やだなぁ、今日の1限のホームルームで面談して、来年理系行くか文系行くか決めるんでしょー?忘れてたの?」

 え?その紙は提出期限まだまだで、まだ机の引き出しに仕舞いっぱなし…お母さんに相談すらしてないのに…

 いつの間にか教室に着いていた。

 あーやだなぁ、まだ決めてないのに…とかぼやきながら、彼女は自分の席に行ってしまった。


 8時40分になると、チャイムとともに教室の前ドアが開いた。

「はーい、ホームルームはじめんぞー」


 え…?

 いつもの先生じゃない…?


 私のクラスの担任は、お父さんと同じくらいの歳おじさん数学教師…のはず。でも、目の前にいるのは30はまだいってないであろうお兄さん先生。

 でもみんな平然としている。

 (ちょっ…どゆことよ?)

 隣の男子をつついてみるが、はぁ?て顔をされる。

 (おまえボケたんじゃねぇの?)

 …本当にそうなんだろうか。


 朝の諸連絡が済むと、本当に面談ははじまった。

 その頃から私はなにか引っ掛かりを感じるようになった。

 あの先生の雰囲気、話方…どことなく似ている…夢の中のあの男の子に…

 もしかしたから、ここはまた夢の中なのかもしれない、そしてここはあの男の子の夢なのかもしれない。

 そうじゃなかったら、おかしいじゃん。


 私の番が来た。


 ガラガラ…

 失礼しまーす…


 英語資料室、通称お説教部屋の引き戸をあけると、先生は、分厚いファイルをめくっていた。


 …はーい…座って


 あのー…

 私は先生…いや、男の子に何か言われる前に先に口を開いた。プリント、そもそも提出してないのに一体何を話すわけ?


「なんだ。早く座れ。」

「は、はい!」


 彼は長い指でぺらぺらと閻魔帳をめくりながら私をたしなめる。

 …やっぱり声、そっくり。声は低く、歳をとっているけど、抑揚の付け方がおなじ。


 ふぅ、と先生は息を吐いたあと、私の方に向き直った。

次話、未来から過去へ 2、に続きます。

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