由紀の強さ
前回と同時期にまとめて書いて、おかしいところを自分なりに修正していたら翌日になってしまいました。
どうか温かい目で見守ってください。
「じゃあ次の質問だが、鏡……君の強さはなんだ。スライムとしか戦ってないんだよな?」
強さはなんだって言われても。
「僕の強さはもともと剣道みたいなのをやっていて。その応用的な?」
「そんなのじゃ説明がつかない」
だって本当の事なんだけど……。
現実では剣道を確かにやってた。でも剣道以外の物も教えてもらっていて、居合に抜刀、殺陣、演舞など、他にもいろいろやらされていた道場だ。
僕は二刀流も使えるけど、メインに聞いていたのが居合と抜刀――。才能を見出してくれた師匠は、僕に殺陣と演舞をマスターしてほしかったみたいだけど、頑なに拒んだ。なのに基礎だけは叩き込まれ、結局抜刀と居合を使わない時は演舞を好んで使うようになっていた。今回の戦いでも何回か回ったなぁ。
錦戸さんとの戦いの時に遠心力を利用して威力を上げるほかに、回る事によって自分にかかる抵抗力と、他の方向からの攻撃にもけん制する事にもなる。つまり、動きが早い相手には自分の攻撃範囲外からくる相手攻撃は死角になりやすい。そのため反射神経で補うけど、部分的に回転を入れる事によって、一拍開ける事が出来、その一瞬で攻撃に転じるって戦い方も昔に海外であったらしい。
「居合に抜刀……それにシステムのサポートがあったとは言えあの瞬発力」
思い出してる様子で感心しているかのように言葉がたまに途切れる。
「あ、あれは見よう見まねで……。スライム倒していたら覚えました!」
本当にそれだけ。スライムとしか戦っていなかった。それ以外に戦いもしてなかったし、草原以外にも行けなかった。
もう精神的にかなり追いつめられていた。疑われるってここまで辛かったんだ。
何度か行こうとしても行く気が何度も削がれていたんだよね……。それにプラス村の恐怖。
「ここでもまたスライムか。本当万能だな……スライム」
呆れた言葉。もう言葉の端はしに気力が無くなってきている。
「あはははは」
乾いた笑いをとりあえずする。
僕の始まりは全てこう考えるとスライムに集約するんだな。
今更気が付いて自分でも呆れた。それほどまで全ての答えがスライムって事になんかバカらしくも感じる。
「じゃあ最後に……君は逃げた後プレイヤーには逢ったんだよな?」
「いいえ? 会いませんでしたけど?」
その瞬間、錦戸さん、博士は硬直したみたいだった。
僕何か変な事言ったのかな?
不思議そうに二人を見ていると、口をパクパクして魚みたいになって面白い。
「マジか? それは本当なのか?」
「はい。誰にも会いませんでしたよ?」
「お主は本当に今まで誰にも会わなかったのか?」
「はい」
「嘘はいけないぞ? お嬢ちゃん」
「嘘も何も、スライムに襲われて逃げてからスライムにしか会ってません。見たものの中にはドラゴンもありますけど……」
この疑われるのって何回目だっけ。村に、戦いに、人。三回目だ。自分でも自分の言葉に自信が無くなってきそうだ。
この世ではありえないと言う顔で見られている。
そして、今更ながら自分でもおかしいと気が付く。僕って本当に頭の中子供ぽいんだな。
「今後の課題は決まったのぅ」
「そうだな」
「?」
博士は思案していたと思われる事を口に出していい、錦戸さんもそれしかない様な疲れた感じで答えた。
何かが決まったらしい。課題とか? もしかして僕を解体するんじゃ……。
一瞬寒気を感じたけど、自分の想像がバカらしく感じたら少し恥ずかしくなった。
「率直に言おう。鏡、君は矛盾の塊だ。だから、我々で君の村を捜索しようと思う。手がかりはスライムしか無いが、それを解き明かさない事には君の無知は証明できそうにもない。一年間スライムにしか会わなかったのも謎だ。それと、この街に来れたのも、だ」
そう言えば何で街に行こうと思ったんだろう。
僕はスライムに襲われて逃げてから人が居そうな所には近寄りたくなかった。
でも、今回に限り来ようと思ったのはなぜだろうか?
「僕でも謎なんですよね。綺麗な物を何度も見ていて、短剣やチャクラムだと……って思っていた欲望が爆発したとか?」
「鏡はそんな事で恐怖は克服しないだろ」
憐れみを受けた気がした。
確かにそんな事を言ってみたのは良いけど、憐れみを受けるようなものじゃないと思うのは僕だけ?
「た、確かにそうだけど」
ここにきて僕まで気が抜けてきた。
博士が何かを閃いた感じで話を始めようとした。のだが。
博士は急に席を立ち、錦戸さんに耳打ちをしている。
すると、錦戸さんが立ち上がり部屋から出て行った。
「悪いのぅ。少し思いついたことがあってのぅ」
「いいえ。大丈夫です」
僕は何を思いついたのか気になっていたけど、聞いても教えてくれそうも無かったので聞かない事にした。
「で、もう一つ聞いていいかのぅ。お主がここに来たのは去年の四月以降かのぅ?」
「え? 確か、高校に入ってからだからそうですね」
「なるほどのぅ……」
納得された!?
博士は何かを気が付いたという風に何度も頷いている。
「ジジィ持ってきたぜ」
すると錦戸さんが返ってきた。一冊の本を持ってきて。
「すまぬのぅ。海坊主。一つの仮説がたったのじゃ」
博士は本を受け取り、ぱらぱらとページを捲る。
「お主これと同じ言葉を村で聞かなかったかの?」
僕は本を受け取って読んでみる。
七光鉱石は、この世界で七つある特殊なアクセス機だ。そのアクセス機には他の鉱石とは違い特殊な機能が備わっている。その機能はまだ解明されてないが唯一わかっているのは出力が高い事だ。
アクセス機は初めてレジェンド・オブ・エンドに来た時に鉱石をシステムによってつけられる。それによって様々な機能を使う事が出来るが、この七光鉱石は使えると同時に出力が強すぎる為、所持プレイヤーが強くなった時に機能解除がなされる。それと同時に、他の鉱石との違いも目に見えるようになる。それは、鉱石は譲渡できるが、七光鉱石は譲渡する事が出来なくなると言う事だ。それは機能とは別で、その鉱石自体がプレイヤーの形に染まるからだ。そうなるとその人が死なない限り他人が持つ事は不可能であり、覚醒前に取ったとしても半分しか機能を使えないと予想される。
この事から、七光鉱石を発見した際はくれぐれも他人に漏らさない事と保護かもしくは、そのプレイヤーが強くなるまで命の危険が起きないように教育をする事だ。
そして……この言葉を言う事だ。七光鉱石を持つ者は戦ってはいけない。
そこまで読み終わり、僕は博士に本を返す。
「どうじゃ?」
「覚えてませんけど、逃げる時にNPCに何か言われた気がします」
そう答えると、博士は何かを確信した感じがした。
「海坊主。彼女の手がかりを一つ追加じゃ」
嬉しそうな顔して、錦戸さんに言う。
「彼女が居たのは紛れもない、村は村でも始まりの村じゃない。開発者達による特殊空間の村じゃ。この本は開発者の一人がゲームと言う感覚を恐れ、誰かが無作為に犯罪を犯さないように作られた説明書みたいなもんじゃ。でも、それも知られるのがまずいと言う事から四月よりも前にほとんどが燃やされた。悪徳な人によってな。ここの世界についての詳しい詳細も載っているからの」
本の説明をされて、何となくこの博士の言いたいことが解った。
つまり、僕の居た所は、この七光鉱石の為に隔離されたであろう、一部の開発者が作った場所だと言う事だった。つまりあそこにはこの本を書いた人しかいなかったって事になる。世界は同じだけど、何人かがテスト時に多分特殊スキルでも持っていれば何とかなる事だったんだと思う。
そして、僕の村についての捜索が始まろうとしていた。
「それはそうと、お主わしたちと友達にならんかのぅ」
「え? もう友達なのでは?」
「そうかいそうかい。な、ならわしに高校生の生エキスを」
「くそジジィ……今度行ったらどうなるか分かっているよな?」
錦戸さんが博士の事を殴ろうとしたが、歳とは思えない身軽さで回避した。
「そんな事言うんじゃなかろうって。わしだって女子の生肌を味わいたい年頃なのじゃ!」
「うっせ! くそジジィ! お前は一度あの世にでも行け!」
「ほっほ! 当たらんぞーい」
「おら! 待て! この変態ジジィ!」
「心外じゃのぅ! 紳士な老いぼれに向かって」
そんな会話を聞きながら僕は知らないうちに微笑んでいた。
「あ、それと俺の事は錦戸って呼び捨てで構わないからな。あとそろそろリアルにもどれよな。多分もう夜だ」
「あ、まてい! まだ柔肌を堪能しておらん!」
「エロジジィは黙れ!」
「はい。戻りますね」
僕は今日の楽しく感じた思いを胸に部屋を出て現実に戻るために外に向かった。
「って忘れてた! ここエレベーターだった」
そして、絶望と恐怖の時間を感じながらその場から立ち去った。
毎回読んでくれている方はありがとうございます。
初めての人は初めましてです。
今回ので由紀に関する問題は全て出そろいましたし、強さの秘密も判明しました。
由紀の村について、そして由紀の強さ……。それに加えて由紀のスキルの詳細と職業について。
私の場合、一年もやっていて、チュートリアルも無しなら、スキル名の確認や、ステータスの表示の方法もわかるはずもなく、通常攻撃のみで戦うってことになりそうだと最近気が付きました。それも、現在進行中のゲームで。ほとんど強くなってからステータス画面を開けて初めてスキルと使う事に成功したのが昨日。読み返してみるとスライムとかの違いはあれど自分と被った感じがしました。
よく分からないような書き方になってしまっていると思いますが、どうか優しい目で見守っといてくれたらありがたいです。
コメントもお待ちしています1




