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1話 アラト君は巻き込まれる。

新連載です。


こちらから読んでいただけるとなお楽しめるかと思います。


何もしてないのに、幽霊だけ勝手に成仏していくおじさん ~スロプーおじさんは除霊なんてしたくない~

https://ncode.syosetu.com/n9541ly/

俺は九条(くじょう) 新人(あらと)。


春から高校生だ。

受験はちょっと頑張った。

本当にちょっとだけ。

ゲームの時間を減らして、

寝る前に単語帳を開いて、

休日に少し勉強したくらい。


その結果、そこそこの高校に受かった。


親は喜んだ。

姉ちゃんは驚いてた。

俺もまあ、悪くない気分だった。


だから今日から、最高の高校生活がスタートする――気がしている。


「アラト君。」


家の前で名前を呼ばれる。


そこにいたのは鳴海(なるみ) 菊枝(きくえ)。


幼馴染み。

眼鏡。

黒髪。


一見すると優等生の委員長。

実際、成績も良い。


ただし中身は暴走特急。

思い立ったら即行動。

説明はない。


大体、俺が巻き込まれる。

昔からずっとそういう感じだ。


「おはよう。」


「おはようございます。」


「……緊張してる?」


「少しだけ。」


「珍しいな。」


「アラト君は?」


「俺はしてない。」


「嘘ですね。」


「なんで分かんの。」


「顔です。」


「顔、か。」


昔からキクエには隠し事が出来ない。


高校までの道を二人で歩く。

これも昔から変わらない。

幼稚園も。

小学校も。

中学校も。


気付けば、いつも隣にキクエがいた。


そして、その度に、俺は――。


◇


昇降口。

張り出されたクラス表を見る。


「一組……あ。」


「同じですね。」


「まあ、そうだろうとは思ってた。」


「安心しました。」


そんなことを話しながら教室へ向かう。


「九条。」


後ろから声がした。

振り返ると、中学からの友人、田中が笑っていた。


「同じクラスだな。よろしく。」


「おう!」


「相変わらず仲良いな、二人とも。付き合ってないんだろ?」


「「幼馴染です。」」


「ハモんな。」


「付き合ってないよ。」


「ほんとかよ?」


相変わらず距離が近い。


悪いやつじゃないんだけど。


◇


放課後。


「いつも一緒だな、お前ら。」


田中が笑う。


「そうかな。」


「やっぱり――。」


「「幼馴染だから。」」


「ハモんなって。」


田中が笑う。


「そういえば鳴海、あの神社行った?」


「あの神社?」


「そうそう、南雲神社。人魚のミイラがあるんだってよー?」


「人魚の、ミイラ。」


お前、何してくれてんの。

業務用洗濯機で洗濯するよ?

ほら、見ろ、幼馴染み様がワクワクドキドキしてんじゃねぇか。


「じゃ、じゃあなー!田中!また明日ー!」


笑顔の田中は手を振りながら口パクで、「いってらっしゃい。」とかいってやがる。あの野郎、やっぱ確信犯じゃねぇか。


俺は、キクエの背中を押しながら校門を出た。

桜が風に舞う。


とはいえ、今日は入学式。

いくらキクエがオカルト好きと言っても――。


「……アラト君。」


キクエが立ち止まる。

振り返ると、少しだけ頬が赤かった。

上目遣いでこちらを見る。


「行きたいところがあります。」


一瞬。

心臓が跳ねる。


(え。)


「……う、うん。いいけど。」


「本当ですか?」


キクエの表情がぱっと明るくなる。


「ありがとうございます。」


歩き始める。


「で、どこ行くんだ?」


「神社です。」


「NOOOOOOOOO!!!」


「南雲神社です。」


「入学式だぜ?!今日!?!?」


「お昼まででラッキーでしたね。時間はたっぷりあります!」


「生き急ぎすぎじゃない!?」


「調査しないといけません。」


「いけなくないよ?!」


「ほら、行きますよ。」


「聞いて?!俺の話!!」


鳥居が見えてきた。


……高校生活初日。


やはり俺は幼馴染みに巻き込まれる。

毎週水曜日に更新予定です。よろしくお願いします。

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