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転生したら魔王が勇者になりました。  作者: よく分からん生命体
三章 白の死神 第二幕 タルタロスの迷宮
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85話:従者たちの苦悩

※このお話はロロ視点です。

 時は少し遡り……タルタロスに突入する前のアルタロムがロロに連絡を行った時。


―――――


 一昨日の夜にアルタロム様から連絡があった!


 しばらくの間アルタロム様と一緒にいられるんだ!


 あと五日後にはアルタロム様が迎えに来てくれる。その間に残っている仕事を終わらせなければ!


「ロロ。」


 アルタロム様からの通信!!


「アルタロム様?どう致しましたか?」


 なんだろう!?


 すぐに行かなきゃいけなくなったとかかな!


「これから現地で組んだメンバーとタルタロスに向かう。あれを用意してくれ。」

「え……僕とじゃないんですか?」


 現地で組んだメンバーって誰ですか……。


 僕よりそんな人のほうがいいんですか……?


「ちょっと問題が起こってな、ロロは屋敷を守っておいてくれ。」

「……はい。」


 せっかく準備も終わらせて行けるようにしておいたのに……。


 いや、めげていても仕方ない。アルタロム様から言われたことをすぐに全うしなければ!


「さっきから何考えているか丸わかり。

 目障りだからもっと隠したら?」

「そんな言い方しなくてもいいじゃない。」


 ララはいつも僕に対して辛辣だな。


「それで、アルタロム様からの連絡はなんだったの?

 迎えが遅くなるとか?」

「現地で組んだ人と正式にパーティを組むから僕は必要なくなっちゃったらしい。」

「あー……、そっか。」


 無言で同情の目を向けられるより、嘘でもいいから励ましてくれた方がいいかもしれない。


「じゃ、じゃあ仕事に戻ろう?

 お屋敷の仕事はまだ色々あるから。」

「うん。あ、でもアルタロム様が食料とかをいっぱい用意しておいて欲しいとも言ってた。」

「なんでそういう事を忘れちゃうの、すぐに準備するよ。」


 別に忘れていた訳じゃないのに。


 いや、そんなことを考える前にアルタロム様の命令にちゃんと応えないと。


「ほら、用意するからロロは運んで。」

「僕も用意するの手伝うよ?」

「……ロロはダメ。」


 ララはいつも僕をキッチンに入れてくれないなぁ。


 昔に食器を割っちゃったことまだ根に持っているのかな。

 確かに、食器棚ごと倒したんだけどさ……。


 でもあれは……


「ロロさん?こんな所で何をしてるんですか?」

「ん?アルタロム様の命令でね!ララが用意してくれてる食料を運ぶために待ってるの。」

「アルタロム様は今砂漠ですもんね、旅の道中食料が必要になるんでしょうか?」

「そうかもね。」


 トトは今日なんの仕事をしていたっけ。


 確か図書室の本の整理だったよな。


「ところでトトは仕事どうしたの?」

「本の汚れや破損のチェックが終わったのでお茶を飲みに来たんです。」

「そういう事か、お疲れ様!」


 自分で直接本の様子を確認さえ出来れば後は眷属たちに任せればいいのか。


 隠神刑部(いぬがみぎょうぶ) の能力は便利だな。


「トト?いいところに来たね。」


 びっくりした!急に顔を出してきたら驚くじゃないか……。

 

「ララさん、いいところとは?」

「準備が終わったからロロと一緒に運ぶのを手伝って。」

「僕一人で運ぶよ。トトは休憩しに来たのに、そんなことを頼んだら可哀想だ。」

「いえ、眷属に運ばせればいいだけですから大丈夫ですよ!」


 眷属に任せればいいって言うけど、眷属の疲労はトトに還元されるんだからあんまり働かせすぎるのも辛いだろう。


「いいよ。僕一人で運ぶ。」

「アルタロム様にいい所を見せようとしてる?」

「してない!ララはどうしてそう言う意地悪を言うのかな!」

「意地悪じゃないし。」


 なら性格が悪いんだな。


「……なにか失礼なこと考えてない?」

「どうだろうね。それより、運ぶ荷物は?」

「これ。」

「うわっ。」


 思ったより量があった。


 木箱一つくらいだと思ってたけど、まさか三つも用意するとは。


「これ、多すぎじゃ……?」

「迷宮(ダンジョン)に潜るならこのくらい用意して当然。

 迷宮(ダンジョン)内とはいえ、アルタロム様を飢えさせる訳にはいかないでしょ?」


 確かに、アルタロム様にはしっかりと食べてもらいたい。


 なら、このくらい用意しても仕方ないのか。


「それじゃあ、ロロは二つ運んでね。」

「え?」

「本当は三人で一つって思ったんだけど、トトの分はロロが運んでくれるんでしょ?」


 ……あんなこと言わなければ良かったかも。


「重いよララ……。そっちの方が軽いんじゃない?」

「全部一緒。私が重量配分を間違えるわけないでしょ?」


 その通りだから言い返せない。


 さすがにこの木箱を二つも運ぶのはキツイかも。

 というか、なんで一回で運ぼうとしてるんだろ。


「アルタロム様を待たせる訳にはいかないし、早く行こう?」


 心を読んだみたいに返事が返ってきた……。


「そうだね、急ごうか!」

「あ、ロロ待って。」

「え、って、わぁぁ!?」


 足元が滑って……!?


 まずい、転ぶ。


 でもここで転んだら木箱の中身が……!


「おっと、危なっかしいねぇ。」

「あ、ナナさん!」

「そんな大荷物を持って転んだら怪我しちまうよ?」


 ナナさんに助けられてしまった。

 こんなの後で絶対ララにからかわれる……。


「ロロごめん、ここ磨いたばかりで滑りやすいの忘れてた。」

「あ、本当だ。ピカピカしてる。」


 ララが失敗するのなんて珍しいな。


「あはは!ちゃんと伝えておかないとダメじゃないか!

 だけど、あんたらなんでこんな大荷物を持ってるのさ?」

「あ、それはアルタロム様に頼まれた荷物です。」

「それならしっかりと運ばないといけないね。

 二ついっぺんに運んだら危ないってことくらいわかるだろう?」

「はい……。」


 怒られちゃった。


 二つ同時に運べって言ったのはララなのに……いや、僕も言い返さずに運んでたんだから同罪か。


「わかったならいいさ。ほら、一つはアタイが運んでやるから持ちな?」

「でもナナさんの仕事は……」

「いいんだよ。どうせエル様のところに向かう途中さ。」

「それじゃあ、お願いします。」


 ナナさんやっぱり力持ちだな。あの重かった木箱を軽々と運んでる。


 本当に頼れる先輩だな、確かエル様がこの屋敷に来た時から仕えているんだっけ。


「ここでいいのかい?」

「はい、ありがとうございました。」

「はいよ、それじゃあアタイは自分の仕事に戻るよ。」


 すごく助かったな、早くアルタロム様に連絡しないと。


「アルタロム様、荷物の用意ができました。」

「ありがとう、そのまま俺の部屋に置いておいてくれ。」


 あ、切れちゃった。


 なんだか急いでいたような感じがしたな。何かあったのかな。


「ねぇララ?」

「気にしたって分からないよ。」

「……そっか。」


 冷たいなぁ。


 別にそんな冷たくしなくたっていいじゃない。


「エル様!?なんでこんな所にいるんですか!」


 ナナさんの声?エル様って……!?


「エル様!?」

「ゴホッ……あれ、ロロにララ?

 どうしてアルの部屋にいるの?」

「それはこちらのセリフです!」


 一体なんの要件でこんな所まで歩いて……!


「たまには歩きたい気分になるものだよ?

 せっかく近くまで来たんだから、アルの雰囲気を感じたくてね。」

「お身体に障ります、せめてアタイに言って一人で出歩かないでください。

 今は、昔ほど丈夫でないのですから。」


 初めて会った頃から、エル様は日に日にやつれていた。


 それも、フェル姉が居なくなってアルタロム様が魔王 白(ブラン)と戦うと伝えてからはそれが顕著に現れている。


 心労が重なったからかな、エル様の細くなった手足を見るのは辛い。


「今日は疲れたでしょう、お散歩はまた後日。部屋に戻りますよ。」

「うん。あ、皆。」


 また、いつものかな。


「アルには私のことは伝えないでね、心配かけちゃうから。」


 初めて倒れられた日からいつもこうだ。


 アルタロム様が帰ってきた時には必死に繕ってた。


 でも、これ以上は見ていられない。


 もし次アルタロム様が帰ってきた時には報告する。


 だから、アルタロム様……早く帰ってきてください。

最後まで読んでいただきありがとうございます!


もしよろしければブックマークか評価、もしくはその両方をしてくださると幸いです!


あと、正直なものでいいので感想を残していただけると今後の励みになりますのでよろしくお願いします!

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