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転生したら魔王が勇者になりました。  作者: よく分からん生命体
二章 勇者学園 第一幕 勇者のタマゴ
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15話:学園見学

 入学試験が終わると、先生は手を叩いて手帳のようなものを取りだして学園について説明を始めた。


「わかっているとは思うが、この学園は広い。

 これから監督生の生徒と合流して学園内を案内してもらう。」


 先生が案内する訳では無いのか。


「あの、入学式はどうなっているのですか?」


 明るい青紫色の髪、カリス・フォンバーグ だっけ。

 たしかに入学式は行っていないな。


「入学式は今終わった。」


 え、終わった?

 まさかとは思うが、あの試験を入学式とか言うんじゃないよな。


「お前たちには先にこの鍵を渡しておこう。」


 先生が手を叩くと生徒全員の目の前にカラビナに付けられた二本の鍵が出現した。


「貴様らの部屋は空間魔法で区切られていてその鍵がないと入室すら叶わない。

 予備の鍵は存在するが、無くすなどという愚行を行った場合減点対象だ。」


 俺の屋敷と似たようなものらしい。


 空間魔法で作られた特定の方法でしか入れない隔絶された空間。


「それでは私は外す。監督生が来るまではここで待機していろ。」


 そう言って先生は手を叩いて消えてしまった。

 あのブレスレットが魔道具になっているんだろうな、手を叩くのがトリガーで空間魔法が発動している。


「なぁ?監督生っていつ来るんだ?」

「え、多分すぐに来ると思うけど、どのくらいで来るんだろうね。」

「そっかぁ。」


 フロガは緊張している様子がない。

 まぁ、入学式の日に校門前で暴力沙汰を起こすようなやつが緊張なんかするはずないか。


 それにしても、フロガ以外の合格者からの視線が気になる。


 俺とフェルがずっとチラチラと見られている。

 フェルは心当たりがある。あんな威力の魔法を見せられたらケルスの時のように注目される。


 だが、俺は何故だろうか。


「こんにちはー!」


 元気な挨拶だな。


 どこから聞こえるのかと思ったが、どうやら校舎の屋根の上から聞こえる。

 逆光になって影しか見えないが、誰かいるな。


「とうっ!」


 飛び降りた!?


「ひぃふぅみぃ……うん。九人全員いるね!」


 なんだこいつ。


「改めてこんにちは!僕はフィン!一年生の監督生さ!」


 フロガよりもデカイ。


 橙色の髪の毛に筋骨隆々の体ってよく目立つな。


「今年の一年は優秀って聞いたけど、本当にみんな優秀そうだ!

 早速案内させてもらうね!」


 有無を言わさず勢いだけで話を進めていくな。

 

 フィンを先頭に俺たち新入生の九人は学園の中に入った。


「ここは研究室だよ!魔道具の研究が主かな!」


 学園の中は想像していた通りすごく大きい。何人かの生徒が研究や勉学に勤しんでいる。


「フィン、新入生か?」


 眼鏡をかけた正に研究者っていう人が話しかけてきた。


「そうです! 研究室を見せているんだけど、良かったですか?」

「構わないさ、良ければ中に入って行くか?」


 部屋の中に入るように促されたけど、なんか禍々しい雰囲気が漂っていますよ!?


「悪いんですが今日は急いでいるんです!」

「そうか、興味があるならいつでも来ていいからな。」


 そう言って眼鏡の先生は研究室に戻って行った。


「さすがにあれは一年生に見せられないよ。」


 フィンさん!?一体中に何があるんでしょうかねぇ!?


 フィンの最後の一言で悪寒を感じたのは俺だけじゃないと思う。


 そういえば、気になることがある。質問ってしてもいいのだろうか……


「フィン先輩……?

 在学者が少ないのにほとんどの研究室が埋まっているのはどうしてなんですか?」

「いい質問だね!この研究室は騎士団の研究者も使っているんだ!」


 そういえば勇者学園と王宮騎士団は提携しているんだっけ。


 なるほど、この学園は軍事施設としても利用されているというわけか。


「さ、次の場所に向かうよ!」


 研究室から廊下に出て階段を昇って行くと、大きな庭園に案内された。


「この庭園は生命魔法の授業で使われるんだ!

 生徒が好きな花を育てられるけど、魔法の失敗でめちゃくちゃになるからおすすめはされていないんだ!」


 なにそれ可哀想。

 それにしても、立派な庭園だ。誰が管理しているのだろうか。


「あらあら……可愛らしい生徒さんだね。」

「ちょうどいいね!

 紹介するよ!この人は プラット先生 !この庭園の管理をしている生命魔法の先生さ!」


 このおばあちゃん先生が。優しそうな先生だな。


「来たばかりだけど、今日はもう行かなきゃ行けないんです!」

「あらそうなの、皆さんに授業で会えることを楽しみにしているわ。」


 あの先生の授業受けてみたいなぁ。生命魔法は選択しないけど。


 庭園を後にしてまた学園内の廊下を歩いていくと、次に向かったのは巨大な図書室だった。


「ここが図書室だよ! ここには世界中のありとあらゆる知識が詰め込まれているんだ!

 暇があるばここに来て勉強することをおすすめするよ!」


 さすがは勇者学園の図書室だ。屋敷にあった図書室とは比べ物にならないほどデカイ。


「図書室ではお静かにお願いします。」

「あ、ごめん。」


 元気いっぱいだったフィンが小声にさせられた。

 眼鏡をかけて気の強そうな女性だ。


「こんにちは皆さん。私はティス・カトル。二年の監督生で司書をしております。」


 俺の中では図書室の司書さんってご老人か眼鏡をかけた若い女性ってイメージがあるが、やはりそうなのかもしれない。


「ティスは風魔法は強いからね、あんまりうるさくしているとすぐに追い出されちゃうよ?」

「余計なことを言わないの。」


 仲が良さそうだ。監督生ということは同学年だろうしな。


 そういえば、この図書室には生徒がちらほらいるが初めて学園内で生徒を見たかもしれない。


「さて、そろそろ次の部屋に行こうか!」

「もう行ってしまうの?」


 あからさまに残念そうにしている。

 これはティスさんはフィンに気があるな?お兄さんにはわかるよ?


「今日はもう時間が無いからね、次が最後さ!」


 フィンが宣言して歩いて行った場所は学生寮だった。


「今日からみんなにはここで生活してもらうことになるからね!」


 寮は学年毎に用意されている。

 全学年構造は同じようだが、入学者九人に対して寮が以上に大きく落ち着かない。


「ここが食堂だよ!

 食堂では生徒ならいつでも好きな量の食事を出してくれるんだ!」


 食堂では寮母さんが一人でご飯を作っているようだ。


「こっちは大浴場!男女二つがあるけど毎年女子風呂はほとんど使われていないんだよね。」


 大浴場は俺の屋敷とほぼ大きさは変わっていないと思う。

 フロガくんはなんで目をキラキラさせているんだい?

 ダメだよ?

 お風呂が大きいからって飛び込んだり泳いだりしたらダメだからね?


「最後はここ、ここは訓練場さ!」


 フィンが扉を開けた先には少し小さい体育館のような空間が広がっていた。


「この魔法陣は結界でね、どんな魔法を使っても壊れることは無いんだよ!

 さらに、戦いが終わったら自動で傷を治してくれるんだ!」


 フィンは説明を終えると俺たちのことを見渡した。


「習うより慣れろだ!

 僕が相手をするから、精霊魔法を使ったっていう子、出てきてくれるかな?」

「待ってください、先輩。」


 フィンがケルスを指名する中 フォンバーグ が意見を始めた。


「ここは一年生同士で証明すべきでしょう。」

「つまり、何が言いたいんだい?」


 ケルスは俺達の方に近づいて来てフロガにハンカチを差し出した。


 「フロガと言ったな。私はフォンバーグ家長男カリスという。手合わせ願いたい。」


 貴族の中では決闘の申し込みにハンカチを用いるんだっけ。フォンバーグは正式にフロガ決闘を申し込んできているということか。


「いいけどよ、なんで俺なんだ?」

「今日君は門の前で暴行行為をしていたという。

つまり、それだけの自身と実力があるのだろう?」


 フォンバーグはフロガを見下している様子はない。

 ただ、フロガの実力を侮っているように見える。


「いいぜ、やってやるよ! ハンバーグ!」


 今なんて言った……?


 フロガは奪うようにハンカチを受け取ってから宣言した。

 フォンバーグはその対応に顔を真っ赤にして怒っている。


「フォンバーグだ!バカにしているのか貴様!」


 当然の反応だ。

 貴族は自分の名前に誇りを持っている。その名前を間違われるのは最大の侮辱だ。


「ハンカチを受け取ったんだ、私の魔法で捻り潰してくれる!」


 フィンが許可を出したことで、フロガと激昂するフォンバーグが決闘することとなった。

監督生について

 五年生の代表者四名が監督生として他の学年の生徒の面倒を見ている。

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