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僕はヴォル! スキルは【回転】!  作者: 一狼
第3章 叩け! 町に蔓延る盗賊団を!
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021.お礼

 ウエストザースディーンに盗賊団『十三番目の狐』の情報を集めに来たんだけど、一般的に知られている情報だけでも、僕たちにはかなり厳しいことが分かった。


「これ、どう考えても無理じゃないです? やっぱり他の盗賊団を狙った方がいいかと思うです」


「あたしはこのまま『十三番目の狐』を狙いたいな。知らなきゃ他の盗賊団でも良かったが、知ってしまったからにはこいつがいい。このまま放っておくのも町のためにもならねぇ」


 モコは反対、パトルは賛成、と。


 アリエスはと言うと。


「吾輩も『十三番目の狐』を討伐するのは賛成だが、その後の事も考えた方がいいと思う」


「どういうこと?」


「『十三番目の狐』が居なくなることで、確実にザースディーンの町に被害が出るだろうな。他の盗賊団が『十三番目の狐』の後釜を狙って活発になったり、用心棒代わりになっていた『十三番目の狐』が居なくなることで犯罪が多発するだろう」


 そっか。そこまで考えなきゃならないのか。


 確かに、良くも悪くもザースディーンの町と供にあった盗賊団だ。


 居なくなることでどこまで影響があるかは計り知れない。


「それ、あたしたちが考える事か? お偉いさん――領主様が考える事だろ」


 そんなことを考えていると、パトルがあっさりと退ける。


「あたし達は、賞金首の『十三番目の狐』を倒す。そんだけだろ。後の事はその時考えればいいんだよ!」


「……パトルは単純でいいね。でも、確かにその後の事まで考えるのは僕たちの仕事じゃないね」


「後でいろんな人から文句を言われそうですけど……」


 それでもまだ、モコは不安なのか心配事を言ってくる。


「それよりも、まずは『十三番目の狐』を討伐できるかの心配が先ではないか?」


「だよなー」


 アリエスは今度は逆に、今から後の心配をしてもしょうがないとこれからの事を促す。


「討伐と言ってもどこまで討伐するかの問題もあるね。文字通り根こそぎ『十三番目の狐』の構成員全員を捕まえるか、トップである頭領と幹部だけを狙うとか」


「そりゃあ……トップと幹部とかだけだろ。あたしたちの戦力じゃ」


 僕の考えに、パトルが意外にも4回目の討伐隊の少数精鋭でトップ狙いと同じやり方を推奨してきた。


「となると、その4回目の討伐時の状況が知りたいね。どうして失敗したのか、どういう攻め方をしたのかとか」


「後は、今現在の『十三番目の狐』の状況だな。頭領や幹部の居場所が分かれば尚良いが、流石にそこまでは厳しかろう。腕のいい情報屋を見つけたとしても、そこまで調べられるかどうか」


「でも、頭領たちの居場所が分からなければ話にならないぜ」


 僕、アリエス、パトルと今後の事について語っていく。


「……結局、『十三番目の狐』狙いで話が進むんですね。分かりましたです。覚悟を決めるです」


 及び腰だったモコも、覚悟を決めて『十三番目の狐』に挑む事にした。


 とは言え、情報が圧倒的に足りない……


 そんな風にぼーっと考えて酒場を眺めていると、冒険者ギルドの方の受付に1人のお婆さんが向かって行くのが見えた。


 どう見ても冒険者には見えないから、依頼の方かな?


 すると、依頼を終えて意気揚々としていた大柄の男の冒険者とお婆さんがぶつかった。


「おう、邪魔だ、ババア。ちんたら歩いているんじゃねぇよ」


 ぶつかった男は謝りもせずに、逆のお婆さんを罵り、そのまま立ち去っていく。


 僕は慌ててお婆さんに駆け寄り助け起こす。


「お婆さん、大丈夫ですか?」


「ありがとうございます。老人がこんなことろに来るものではないですね。若い人にとっては目障りなようです」


「そんな事ねぇよ。お年寄りは労わるもんだよ。と言うか、さっきの奴、ぶっ飛ばしてきてやる」


「やめておけ。吾輩たちはここじゃアウエーだ。逆の御老人の迷惑になるかもや知れぬ」


 パトルたちも僕の後に続いてお婆さんを助けに駆け寄って来たみたいだ。


 お婆さんは僕の手を借りて杖をついて立ち上がり、改めて頭を下げてお礼を言ってくる。


「ありがとうございます。そうですね、助けてもらったお礼をしなければいけませんね」


「お礼を貰うほどの事じゃないですよ」


「いえ、それでは私の気がすみません。そうですね、これを孫に届けてもらえませんか。そうすれば貴方達にとって、今必要なものが手に入りますよ」


 そう言って、お婆さんは懐から1通の封筒を取り出し、僕に渡してくる。


 今僕たちに必要なものって、『十三番目の狐』に関する情報なんだけどね。


 もしくはその情報を集めれる情報屋とか。


「孫は最初は貴方方を警戒しますけど、『不如帰の黒蜜』からと言えば手紙を受け取ってもらえます」


 どうにも断れる雰囲気じゃなくなってきたなぁ。


 まぁ、この際だ。お礼を受け取ってお婆さんをすっきりさせよう。


「分かりました。『不如帰の黒蜜』からと言って手紙を渡せばいいんですね」


 僕は手紙を受け取り、お婆さんの孫がいる場所を聞く。


「それでは、私は失礼しますね。貴方達の目標が叶う事を願っています」


 お婆さんは優しく微笑みながらギルドを出ていく。


「……あれ? あの婆さん、ギルドに依頼に来たんじゃなかったのか?」


 ……そう言えば。


 結局、何もせずに帰ってしまったみたいだ。


「あのお婆さん、ただ者じゃないです。一見すると普通のお婆さんに見えますが、かなりの身のこなしをしているです。さっきのぶつかって倒れた時も、あれワザとぶつかったみたいです」


 それまで黙っていたモコが、とんでもない事を言い出した。












パトル:お礼なのになぜかお使いクエストに発展している件について

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― 新着の感想 ―
[一言] 一体お婆さんは何ローディアだったのか。 そして今頃シリーズになっていたことに気付く。
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