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僕はヴォル! スキルは【回転】!  作者: 一狼
第3章 叩け! 町に蔓延る盗賊団を!
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020.十三番目の狐

 ウエストザースディーンの冒険者ギルドへ来た僕たちは、お約束と言うか早速絡まれた訳だけど、それを茶髪のイケメン――ラットマンに助けられ、そのまま相談に乗ってくれると言う。


「『十三番目の狐』の情報ね。まぁ、確かにその盗賊団の情報を集めるならウエストザースディーンに来る方がいいだろうね。ただ、僕が知っているのは一般的なものだね。それでもいいかい?」


「僕たちも情報を集め始めたばかりだから、取り敢えずは」


「OK。これは知っているかと思うけど、『十三番目の狐』はこのザースディーンが出来た当初から活動をしている盗賊団だ」


 ザースディーンが出来たのは約7年前くらいだ。


 そこから活動をしている『十三番目の狐』は、直ぐ取り締まられたりする盗賊団としては中堅クラスの盗賊団だろう。


 そう思っていたけど、この後のラットマンの話を聞くと、それを上回る盗賊団だと認識された。


「ザースディーンの町が出来てから7年の間に『十三番目の狐』を討伐しようとした回数は4回。その全てが失敗に終わっている」


 1回目は、ザースディーンの町が発展していくにつれて、『十三番目の狐』の被害が大きくなってきたため、領主が討伐隊を組んで排除しようとしたらしい。


 だけど結果は討伐隊は逆に撃退されてしまった。


 2回目は、1回目の討伐隊が失敗してから3ヶ月後に直ぐに討伐隊を再編成して挑んだ。


 1回目の100人の編成の反省を踏まえ、2回目は500人と5倍もの戦力を投入したのだけど、それも失敗したらしい。


 それも討伐隊が全滅すると言う大敗を帰して。


 その所為で、『十三番目の狐』に暫くの間、手出しできずに放置されていた。


 そうしてザースディーンの町が出来てから3年目。


 2回目の大敗から2年が過ぎた頃、三度討伐隊が編成された。


 1回目と2回目の情報から、今度は領主軍からの編成だけではなく、冒険者をも編成に組んでの討伐隊を結成したらしい。


 そしてその人員は1,000人を超えていたとか。


 だけど、そこまでしても『十三番目の狐』を討伐することが出来なかった。


 2回目の討伐から2年という時間を掛けて準備してきたけど、逆に『十三番目の狐』の方でも組織が力をつけるのに十分な時間を与えていた訳だ。


 そうして3回も失敗した『十三番目の狐』の討伐は、おいそれと手出しをできずになってしまい、最後の手段として4回目に行われたのは、少数精鋭での『十三番目の狐』の頭領の討伐だった。


 今から2年前に行われた4回目の少数精鋭の討伐隊は、領主軍の最強の騎士3名、冒険者からはA級2名、B級5名の計10名での編成だったが、これも失敗に終わったらしい。


 辛うじて生きて戻ってきたのは、騎士1名とB級1名のたった2人だったとか。


 この時点をもって、『十三番目の狐』の討伐は夢物語と化し、賞金首は掛けられているものの、触れてはならない案件アンタッチャブル・クエストとして扱われていると。


「……えっと、これ、私たちの手に負える賞金首じゃないです」


 ラットマンからの『十三番目の狐』の一般的な情報を聞いて、モコが一番に口から出た言葉が不可能じゃないの?だった。


 うん、僕も聞いててそう思った。


 1,000人を壊滅させた盗賊団ってどんな盗賊団だよ!?


 大人数でもダメ、少数精鋭でもダメ。


 領主様や他の人たちが諦めてしまっている気持ちが良く分かるよ。


 だけど――


「聞いた話じゃ確かに不可能の様だけど、それじゃあ、今でも『十三番目の狐』の被害が出ているんだろ? と言うか、誰も手出しできない状態だと『十三番目の狐』はやりたい放題じゃないのか? いいのか、そんな奴らを放っておいても」


 意外な事に、あのパトルも『十三番目の狐』のヤバさは理解していて、僕たちでも敵わないと思っているけど、その反面、だからこそ『十三番目の狐』を討伐しなきゃならないと意気込む。


「だね。このまま『十三番目の狐』を好き勝手させるとか、ダメだね」


「気持ちは分かるが、今じゃ『十三番目の狐』は必要悪とも言われて、他の盗賊団の抑制力にもなっている。それに変な言い方かもしれないが、『十三番目の狐』もザースディーンがつぶれたら困る訳だから、町を守っているらしい。所謂悪の用心棒だな」


 あー……、組織が大きくなってありがちなパターンだね。


 ……ん? 組織が大きくなりすぎて?


「ないわー。いくら悪の用心棒だと言っても、いくら必要悪だと言っても、やっていることは略奪行為だろ。商人たちもいい迷惑じゃねぇか」


「商人たちも、もう襲われるって分かっているから、最初から被害分を計算して商売を行っているらしいよ」


「なるほどな。それでザースディーンの町の商品の単価が高いわけだ。吾輩が入手したこの腕輪の魔道具も、相場よりもかなり高かった」


 それって、将来的にはザースディーンの町にとっては損をしていることにならないのかな。


 やっぱり、何とかしないといけないと思う。


「ま、その辺のことを考えるのは領主様とかトップの人たちだからな。俺たち冒険者は日々の生活を稼ぐことの方が重要だよ」


 最後にはそう言ってラットマンは僕たちの前から姿を消す。


 僕は一般的な情報とは言え、何の見返りもなく|(情報料とかを支払わず)教えてくれたことにお礼を言い今後の事を考える。


「なぁ、ヴォル。『十三番目の狐』……やるんだろ?」


「勿論」


「えっと……、どう考えても無理じゃないです?」


「それをこれから考えるんだよ」


「ふむ、やれるのならやった方がいいだろう。それは吾輩たちの名声にもなろう」


 パトルは勿論やる気、モコは否定的、アリエスは今後の活動のための名を売るつもりみたい。


 まぁ、僕の噂や、パトルの脳筋、モコの不遇スキル、アリエスの自爆スキルを考えれば、アリエスの言う通りここで名を売っておくのは有りだ。


 問題は、方法なんだけどどうしよう。


 まだ情報が足りないな。


 もっと詳しく調べたいところだけど……











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