桜見
本日1回目(残り3つ)
「本当にいいのか?」
『ムギュ!』
向かい合う小さな怪獣と男。
とある路地裏で、夜も更けた。大鎌を肩にかける怪獣と、か細い悲鳴を漏らす女性に囲まれながら。ムギュと俺は、お互いの心を探るかのようにジッと瞳を合わせていた。
ーーあぁ、何でこんなことになったんだろう?
痛いほど脈打つ心臓に、俺はふとそんな事を考える。
▼△▼△▼
事の始まりは、
晴天の青空、珍しく快晴な朝に俺は気分を良くして溜まりに溜まった洗濯物を消化していた時の事だ。
一際大きな風が吹き、洗濯物が揺れる。
そして、ひらりと隣の家の桜の花びらが空に舞った。
その花びらは風に釣られ、我が家の中へと舞い降りる。
『ムギュ?』
それに興味を示したムギュ。
触手とも腕ともとれる短いソレを伸ばすと、パチパチと叩いては顔に近づけ楽しそうに鳴きながら転げ回る。その姿は、まんまお気に入りのオモチャを手にした犬や猫である。
「お、桜がそんなに気に入ったのか?」
『ムギュ!』
これまで、ムギュが俺と食べ物以外で興味を示すことなどなく……その時の俺は、今思えば愚か過ぎると後悔しても仕切れないが、
特に何も考えず
「じゃ、桜見に行くか?」
『ムギュ!』
国家レベルの討伐対象
見つけ次第ヒーローに報告。
匿うーー五年以下の懲役
悪、の代名詞とも言われる怪獣を連れ、堂々にも桜見に行こうと言い放った。
動物会話スキル(ムギュ限定)【A】
匿うーー五年以下の懲役(だいたい食べられて終わる奴が多いから若干短め)




