着いていかない
オレは川姫の言った通り、土天狗の好意を断った。罠かも知れないし、大群で攻められたらそれこそ袋の鼠だ。
「よし、オレ達はオレ達で、酒呑童子を探すぞ」
最初の頃はオレもそう息巻いていたが、徐々に足取りは重くなっていった。
「タクマ。あのさぁ、思うんだけど、さっきから同じ場所グルグル回ってない?」
それはオレも思っていたが、口に出すのが怖くて言えなかった。しかし、足を止める訳にはいかない。オレ達は疲労した体に鞭打って歩き続けた。
「ケケケっ。まだお前らいたのか」
「お前は風天狗!」
「名前を覚えてくれてたなんて嬉しいねぇ。見た所、だいぶお疲れのようだね」
「そうなんだ。なんか同じ所をグルグルと……」
「そりゃそうだ。この竹林には特殊な結界が張られているからな」
「そうだったのか。なぁ、すまん風天狗。やっぱり案内してくれないか?」
オレが恥をしのんでそう言うと、風天狗はイヤらしい笑みを浮かべながら言った。
「やだね。俺は兄上みたく優しくないもんでね。これでも、喰らいな!」
それは一瞬のことだった。竹林に風が吹き荒れ、オレ達はその風に巻き込まれ、二度と立ち上がることが出来なかった。後悔だけが押し寄せる――。
オレ達はカラスの餌となり、この地に屍を晒した。
BAD END
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