鎖国していた国が世界の魔法大会に参加して負けちゃう話
世界各国の魔法使いが集い、チームで戦う魔法大会があった。
鎖国していたルナイト王国は元々魔法の国だったか開国し魔法大会に参加するようになった。数ある魔法使いたちがいたが、現代の魔法大会は格が違った。
死者の数が尋常ではない。毎年、優勝国エルゼビアの精鋭チームのみが生き残るほほ代理戦争である。
ルナイト王国は2班に分かれて大会に出場した。第二班は待ち伏せを使ってエルゼビアチームを出し抜くことに成功。障害物を周回し、途中で物陰に隠れることで姿を消した。
ルナイトチームは敵を挟撃して倒すつもりだったが、ルナイト側もそれに気付いたため受け身の体制を取る。ルナイト側はすかさず実力で叩くことに変更。しかし、彼等の魔法は全く通用しなかった。
それどころかエルゼビアの魔法は馬鹿みたいに威力が高く、ルナイトチームの盾魔法を貫通してあっという間に全滅した。
ルナイトチームの第一班はレキシルという男が率いていた。彼は2班の敗北を弟子の死亡という形でこの結果を知ることとなる。ルナイト王国のNo.1であるレキシルは格が違った。自分のことを世界の観察者とも思うレキシルは、猫とシロクマを拾って遣わしていた。お気に入りの彼等は言葉を習得するなど特別な力を与えている。弟子がやられたということでレキシルは警戒と憎悪の両方を抱くがまずは敵を冷静に観察することから始めた。しかしエルゼビアはレキシルを見つけると果敢に勝負を挑む。レキシルの一行は逃亡を測ったが逃げきれない。
逃走途中でシロクマが逃げ遅れ、クマの首をもぎ取ろうとすると、レキシルはキレてついに魔法で反撃してしまう。その魔法はある程度エルゼビアの魔法使いにも効いたが、手の内を知られてからの敗北は早かった。
エルゼビアチームはレキシルの技を知るやすぐに連携し、合体魔法で龍の群れを召喚して彼を追い詰めた。飛び魔法がレキシルを襲う。彼は今まで自分を狙う攻撃自体殆ど経験がなかった。あまりに強いためそもそも敵対しようと思う敵がいなかったからだ。
しかし今度の敵は異常すぎると思った。龍の召喚は上級魔法使いでもできる芸当ではない。レキシルは野生の龍より強いが、なぜか召喚された龍には魔法が通らなかった。
先に部下たちがやられ、レキシルも痛手を負う。彼は自分に通る攻撃がこうも簡単に繰り出されたことに驚きを隠せない。途端に生まれた生存本能から本当の恐怖の重みを思い出した。だが彼はあくまで冷静さを貫いたつもりだ。弟子を打たれてもすぐに戦わず、自分の力を慢心せずに慎重に近づいた。だからこそ、彼はなぜ自分が負けるのか分からなかった。
いや、態度が冷静だっただけで、心は慢心していた。自分が世界の観察者に一番近いと確信していたからこそ、この戦いでも負けを考えていなかった。きっとこれが一番の敗因だろう。だがもう一度チャンスが有れば勝てるかというと、そうでもない。鎖国された環境が、己の限界をすでに決めていた。
レキシルが考察を深める間も連撃が続き、そのまま倒れてしまった。




