それをモノに触れて放置させると、モノに憑いてる感情を宿した魔物が生まれる不思議な薬
マリーアンナちゃんの薬
人生に失望していた主人公の元に怪しい商人が現れた。彼は真っ赤な薬を差し出しこう言う「平和で残酷な世界に抵抗するための薬だ」。商人が持っていたのは「マリーアンナの薬」だった。それをモノに触れて放置すると勝手な魔物が生まれる不思議な薬だ。
商人はワカナの家に押し入り、勝手にワカナの家にある物に不用意にかけ始めた。すると液体の被った物体は変形し、魔物として生み出される。そして6体程度のマリーアンナちゃんが生まれ、彼らを自由に解き放った。
「この子たちが君の意志を代弁するだろう」
マリーアンナちゃんの薬から生まれた子どもたちは個性満載だ。制服から生まれたアンナちゃんは怒りっぽい、人形から生まれたアンナちゃんは泣いている、ノートから生まれたアンナちゃんは笑顔に満ちていた。床から生まれたアンナちゃんは感情の上下が激しい、時計から生まれたアンナちゃんは目つきが悪く、皆を嫌っている様子だ。布団から生まれたアンナちゃんは悲鳴を上げて早々に家を逃げ出してしまった。
次に動いたのは怒りっぽいアンナちゃん。彼女は部屋を荒らしはじめると、手始めに薬を持ってきた商人を殺してしまった。制御の仕方もわからないワカナが混乱しているうちに、他のマリーアンナちゃんは家を飛び出し、人類に対してやりたい放題を始める。
平和な世界を汚す、純粋で残酷な小悪魔たち。彼女たちはすぐさまニュースに取り上げられ、人類は彼女たちを排除するために、警察、軍隊もろもろを出動させた。このままでは、マリーアンナちゃんたちは人類に成敗されてしまうだろう。
ワカナは知らない顔をしようとした。だが、唯一家に残った、泣き虫の性格に生まれたマリーアンナちゃんを見ると、少しだけ彼女たちの未来に同情した。マリーアンナちゃんの見た目は皆似ている。きっと、人前に出ればほかの暴れまわるマリーアンナちゃんと同じように、消されてしまう。突然生まれて、突然殺される理不尽は、世の中に失望していたワカナにとって耐え難いものだった。
ワカナは泣き虫のマリーアンナちゃんを連れて、他のマリーアンナちゃんたちを連れ戻す旅に出かけるのだった。
ワカナは自身の肉体や知恵でマリーアンナちゃんと対峙したり、味方になったマリーアンナちゃんと協力してほかのマリーアンナちゃんを捕まえたり、和解を持ち掛ける。そして彼女はマリーアンナちゃんを回収する中で、自身の過去と向き合う。
・アンナちゃんたちの設定
それをモノに触れて放置すると勝手な魔物が生まれる不思議な薬。正体は液体上の生物で、人の感情を受けた物体を取り込むと肉体に変形し、生き物らしくなる。マリーアンナちゃんの性格や感情は取り込んだ物体に宿る思い出に依存し、能力は物体そのものの性質に依存する。
取り込む元の液体の量が多いほど、生まれるマリーアンナちゃんは成体に近い体になり、少ないほど幼く弱い子が生まれる。(ワカナたちは1ビンを6分割したため、子供のマリーアンナちゃんが生まれた)。
マリーアンナちゃんはこどもの状態でも鉄骨を投げられる力があり、念力や爆破など超能力が使える。肉体がぐちゃぐちゃにされると体から原液が飛び出し、すべて飛び出ると死亡する。だが、その原液を集めるとマリーアンナちゃんの薬になり、これを物体にかければまた別のマリーアンナちゃんが誕生する。
マリーアンナちゃんたちは物体に宿る偏った感情から生まれることが多いため、人間と打ち解けることはほぼない。ただし物体の所有者であれば、マリーアンナちゃんの心境をそのまま持っているため、あるいは共感を得ることができるかもしれない。
・生まれたマリーアンナちゃんの種類
制服→ 怒りのマリーアンナ 不登校になってもなお部屋の入口に飾ってある。学校生活の憎しみが詰まった制服。成績不振に友人は作れず。陰で自分の悪口が聞こえる。
人形→ 悲しみのマリーアンナ ワカナの幼少期からの人形。昔は大好きだった。そして今でも唯一の味方。でも、現実を生きるワカナにとって、人形は何も助けてくれる存在ではなかった。
ノート→ 喜びのマリーアンナ ワカナの自由帳。好きな絵を書き、物語を書いた、理想の世界に現実逃避できる思い出
床→ 警戒のマリーアンナ 床が響く音は親がやってくる音。こっちにくるのか、来ないのか、警戒する心があった。
時計→ 嫌悪のマリーアンナ 朝がめっぽう弱く、体を起こすこともできないワカナが大嫌いな存在。起きられない自分を、それでもいかねば怒られると追い詰めてくる悪魔の鐘。
布団→ 恐れのマリーアンナ 自分の逃げ場。親が部屋に入ってくるときいつしか布団の中に逃げていた。寝ていると思われたら親は退散してくれたから。だけどいつしか、親は本当に寝てるか確認するようになり、ばれないか恐怖する時間になっていた。




