終章 それぞれの道へ
あの後、ゼクトールの救出(というよりは氷の融解)に一悶着起きたが…それは語る必要はないだろう。
魔理沙や椛が必死になっている横で…人形を駆使して効率良く作業していたアリスが印象的だった、ということだけは伝えておこう。
そして…ガイバーこと深町晶とアプトムは、あの後咲夜と共に【紅魔館】へ戻り、しばしの休息を取ったあと…元の世界へ帰還することになったのである。
〜紅魔館の地下室、召喚陣〜
地下室で召喚陣を調整しているパチュリーと、その傍らに立つ、赤髪で中華風の美女『紅美鈴』はのんびりとした様子で話をしていた。
パチュリー「…さて、これで準備は整ったわ。後は起動すればいいだけ、よ」
美鈴「しかし、凄いことになっていたんですねぇ…。フラン様と一緒にいたので詳細は伝え聞きですけど、よく保ち応えたなぁ…という思いしか湧きませんよ、わたし」
パチュリー「それは私も同感よ、しかも…【地霊殿】に加えて、守谷の二柱と…あの『風見幽香』にまで協力を要請しておいて正解だった、というのもね…」
美鈴「正直、フラン様があの気配に当てられなくて安心しましたよ…」
パチュリー「(苦笑しながら)そう、ね…そうなっていたら、私たちもただでは済まなかった、それは確実ね…そして、何より彼らとの約束を破ることになる、それだけは…誇りに賭けてできなかったわ」
美鈴「あぁ…あのお二人、ですか。深町さん…でしたか、あの人は人間ですけど、アプトムさんの方はどうなんでしょう…。気配からして、だいぶ人間離れしてますよ」
パチュリー「何か事情があるようだけど…それこそ、私たちが深入りすべきことではないわ。それに…無理を言って協力してくれた恩人たちを、悪く言うのは失礼というものでしょう?」
美鈴「ですね…と、そろそろお二人を呼んできます、よろしいですか?」
パチュリー「頼むわ…小悪魔にはレミリアと紫を呼ぶように伝えてあるから」
美鈴「はい…それでは」
美鈴は軽やかに駆け出して行き、その場にはパチュリーが残る形となった。
パチュリー(今回はたまたま助かった、とは思うけど…『幻想郷の外』って、一体どうなってるのかしらね…)
パチュリーは静かに思いを馳せ、開始の時を待つことにした…。
〜博麗神社、境内〜
霊夢「もう帰るって…、ほんとなの?」
魔理沙「小悪魔から聞いたから間違いないぜ、なんでも…この星の巡りを逃すと、だいぶ待つことになるらしいからな」
霊夢「なんでアンタにそれがわからないのよ…」
魔理沙「仕方ないだろ、私にも専門外の領域はあるんだ…あの手の召喚魔術は特に、な」
霊夢「…それなら仕方ない、か。なら…改めて挨拶くらいはしないと、ね。まがりなりにも命の恩人でもあるし…あの人たち」
魔理沙「ああ…ただ、ゼクトールにも声はかけたんだけど…断られたぜ。『顔を合わせる意味がない』ってさ…」
霊夢「…色々あるみたいだし、無理強いは禁物ね。なら…行きましょうか」
魔理沙「ああ!」
〜守矢神社、境内〜
早苗「あら、アリスさん…ようこそ」
アリス「こんにちわ早苗…彼ら、もうすぐ帰るって話…聞いたかしら?」
早苗「あ、はい…さっき小悪魔さんが来て、教えてもらいました。諏訪子様たちは『めんどいから行かない』だそうですけど」
アリス「そりゃあ、ね…あのギュオーが入ってきた影響で、あちこち騒ぎが起きてたのを解決してたんだし…疲れてるのもわかるわ、なんとなく」
早苗「ですね…諏訪子様と加奈子様、かなり動かれてたようですし。それに【地霊殿】の方も相当な騒ぎになってた、とは聞きましたけど」
アリス「そうね…それでも、なんとかなったから良かった、というところかしらね。自分たちの力で解決できなかった…それは悔しいけれど」
早苗「それについては、同感です…。でも、あんな理解を超えた存在が、いつの間にか『幻想郷の外』にいた…その事は、本当に驚きです」
アリス「そうね…けど、これはこれ、それはそれ…とりあえずは割り切って、今は彼らにお礼をしに行きましょう。私たちを…幻想郷を助けてくれた恩人たちに、ね」
早苗「はい、諏訪子様たちに伝えてきますので…少し待っててください(本殿へ向かう)」
アリス「ええ、わかったわ」
アリス(改めて…『外』は広い、そして…知らないことだらけ、ね…。どうなるのかしら、これから)
〜妖怪の山•麓〜
文「えぇ〜っ!?も、もう帰ってしまうんですか…あの人たち!?」
椛「そう、みたいですね…。タイミング的に、これを逃がすとかなり時間がかかるそうですし」
文「全く…まだろくに話を聞けてないんですよ、このままじゃ新聞が…!?」
椛「(ため息をつきつつ)…大天狗様と勇儀様、萃香様にまであんなに絞られたのに、凄いですね…」
文「凄いというより…『幻想郷の外』が、本当にあんな怪物がひしめいてる魔境なのかどうかを知りたくなってるからですよ…私自身が、ね」
椛「…文さん…」
文「理屈抜きで驚きましたよ…にとりたち河童のそれとは体系すら違う異様な技術と、想像を超えたあの力…。そして、それが我々にどんな影響をもたらすのか、もし影響があるならばそれについて知り、備えておきたい、と…今回の件で痛切に思いましたから」
椛「……」
文「中途半端な知識は危険、それは至極当然ですが…できる限りの備えはしたい、そして…それを伝えたい。そんな考えがずっと脳裏に貼り付いてるんですよ…今の私は」
椛「…そうだったんですか…てっきり、とんでもない方向に持っていこうとしてるのかと…」
文「(ジト目)…私をなんだと思ってますか、貴女…まぁ、それはともかく…早速行くとしましょう!」
椛「…どこへ、ですか…?」
文「当然…【紅魔館】です、さぁ…行きますよ椛!!」
椛「は…はい!」
〜戦場の跡地〜
萃香「いやぁ…こりゃ凄いね、ここまで壊れるんだ…」
勇儀「せめて、もう少し残ってくれないもんかねえ…私も一勝負やらかしたくなったよ、本当に」
萃香「だねぇ…その辺りはどうなのさ、紫…?」
紫「無茶言わないでくれる…?この機会を逃すと、ホントに不味いくらい長期間彼らを留めて置くことになるわ…それは、やっぱり避けたいのよ。こちらが無茶をお願いして、かつ…それを聞いてくれた彼らに対する『礼儀』や『信義』というものがあるし…」
勇儀「ふうん…ま、それはそれで分かるつもりではある、けど…」
萃香「下手すりゃ凄い勢いで爆ぜるかもしれない危険物は、幻想郷に長くは置いときたくない…か?」
勇儀と萃香の静かな質問に…紫は沈黙をもって答える。
勇儀「…難儀だねぇ、あんたも」
紫「彼らには感謝してるわ、それは間違いなく本当よ…。でも、それ以上にあの力を見てしまっては…ね」
萃香「私も久しぶりに酔いが覚めたしね、あのギュオー…だっけ?あんなのがホイホイ居るのかねぇ、今の『幻想郷の外』には…」
紫「さぁ、それは知らないわ。でも…」
勇儀「でも…なんだい?」
紫「いても不思議はない、そして…話の通じる相手もいる…。それが分かっただけでも重畳よ、私にすれば…ね」
萃香「面倒ごとに対することは、ある程度どうにかなる目星がついた…かい?あんたや私らも想像できない、あのギュオーのような相手が今後現れた、としたら…」
紫「その時はどうにかするわ。私だけではなく…ね」
勇儀「面白そうな奴が相手なら、手は貸してやるよ…。ただ、今回の客人相手は…どうしてもダメかい?」
紫「駄目よ…彼らには手出しはさせない、私の名においてね。そもそもどっちを相手取るつもりなのよ、あなた?」
勇儀「(きょとんとしつつ)両方に決まってんだろ、何を寝ぼけてんだい?」
萃香「そりゃあズルいな、勇儀。私も混ぜろよ〜!」
紫「(こ…こいつらはもう…)」
呑気かつ物騒な二人の鬼のやりとりを聞いて内心頭を抱えた紫のそばに…静かに気配が一つ、現れた。
気配の主は、彼女の式神である【八雲藍】である。
藍「紫様、紅魔館での準備が整ったそうです。陣の稼働を行うから、そろそろ来てほしい…との言伝ですが」
紫「…そう、ならすぐに向かいましょう。勇儀、萃香…貴女たちも一緒に連れて行ってあげるから、こっちへ来なさいな」
萃香「ん…そりゃ楽でいいや、頼むよ」
勇儀「なら御相伴に預かるかな…そういや、【紅魔館】の主のお嬢ちゃん、何してんだろうね?」
紫「客人の相手と、場所の提供してくれてるからあっちで待ってるわよ…さ、行きましょう(【スキマ】を展開する)」
〜【紅魔館】の地下通路〜
レミリア「もう、召喚陣の調整が済んだのね…流石パチュリー、というべきかしら(不機嫌そうな表情)」
咲夜「…お嬢様、言葉と表情が違いすぎますが」
レミリア「なんのことかしら…咲夜?」
ジロリと自身を睨む主の視線を受け流し、咲夜はしれっとした表情と気配のまま言葉を紡ぐ。
咲夜「言葉はともかく、表情と気配が血を求める獣のそれなのです…今のお嬢様は」
レミリア「……」
咲夜「あの二人と出会い、そして戦いぶりを目撃して以降…血と魂の滾りを抑えきれていないのが、丸わかりなのですよ」
レミリア「……ええ、自覚はしてるわ。まさか、二人ともがあんなに【強い】存在だなんて、流石に思わなかったもの。フランの事をとやかく言えないわね、この有様では(苦笑)…」
咲夜「なら…パチュリー様に頼んで、しばし召喚陣の起動を延期してもらっては如何です?その上で、思う存分力を解放されても宜しいのでは…」
咲夜の言葉に、レミリアは首を左右に振りつつ答える。
レミリア「一瞬それも考えたわ…けど、次の機会がおよそ5年後、私やパチュリーならともかく…彼らには耐えきれないでしょう?『個人の身勝手で約束を違える』などというのはね…高貴なる者として最大級の恥であり、同時に…彼らに対する無礼の極みなのよ」
咲夜「…確かに、そうですね…」
レミリア「(微かに頷きつつ)そして、今回は本当にイレギュラーな事態だった…私たちの理解を軽く飛び越えてたもの。そして…『幻想郷の外』が果たしてどんな世界で、どんな状況なのか、彼らの存在や言動だけで判断するのは危険だけれど…」
咲夜「手がかりとしてはある程度を得た、というところでしょうか…」
咲夜の答えに、レミリアは微笑みつつ頷く。
レミリア「その通りよ…咲夜。そして…またいつか、彼らに逢う…私はそんな気がしているの。そして、その時こそ…彼らには全身全霊で『踊ってもらう』ことにするわ、その日を楽しみに待つとしましょう…」
咲夜「承知いたしました、お嬢様(一礼)…」
話しながら歩んで行くうちに、二人は地下室の前に到着していた…扉に手をかけて開く咲夜に、レミリアは静かに礼と言葉をかける。
レミリア「ありがとう、咲夜…さぁ、次は彼らを呼んできて、ゆっくりで構わないから」
咲夜「御意(一礼して姿が消える)…」
レミリア「(惜しいけれど、仕方ないわね…。けど、いつかどこかで、彼らとはもう一度出逢う…この想いは確信、そして私には時間がある…だから待てば良いわ、それが『特権』というものだから)」
〜紅魔館、地下室〜
しばらくして…咲夜に連れられ、深町晶とアプトムの二人が地下室へ訪れると…そこには予想外に人?がいた。そのことに、二人のうち晶は驚きを隠せず、アプトムは苦笑していた。
晶「な…なんか、いっぱいいるみたいだな…」
アプトム「(苦笑しつつ)割と暇な奴が多いのかもな…」
紫「お二人とも、ありがとうございました…改めて御礼申し上げます(深々と頭を下げる)。そして…召喚陣の準備が整いましたので、これでご帰還いただく事ができます」
アプトム「…割と速かったな、この手の準備は手間を食うものだと思っていたが」
晶「確か…この手の儀式って、何か複雑な手順を踏まないといけないらしいから割と覚悟はしてたけど、手際が良いんですね…皆さん」
霊夢「あら、そっちの世界にも私たちみたいな者達がいるの…?」
晶「…いたらしい、とは聞いたことがあるけど…俺達は会ったことはない、かな」
萃香「鬼はいるみたいなのに…変なところだねぇ」
勇儀「ほんと…面白そうな気はするんだけど、どうなってんだろうかねぇ」
文「あの…もうちょっとだけ、いてもらう訳にはいきませんか…あ、いや…無理ならイイんですが(冷汗流しつつ)」
レミリア「改めて、感謝するわ(礼をする)…深町晶さん、アプトムさん…私たちを、幻想郷を助けてくれてありがとう。けど…文じゃないけど、もう少し話はしたかったし、聞きたかった…それが本音かしらね、私たちの」
アプトム「…気持ちはわからんでもない…が、俺達はこの世界では間違いなく【異物】だ、長居して変なことになったらお互いに困るだろう、それに…」
晶「俺達にも、やらなくてはならないことがあるから…すいません(頭を下げる)」
早苗「そちらもお忙しいのですね…そんな時に、こちらの都合で巻き込んですいませんでした(頭を下げる)。そして…助けてくれて、ありがとうございました」
魔理沙「…あんたたちのおかげで助かったよ、ほんとにありがとう。けど…ゼクトールのことは…」
晶「……」
アプトム「奴とは、もう会うことはない…奴と俺たちの進む道は別れた、それだけだ。いずれ奴もそれは理解するはずだ…今は、恐らく無理だろうがな」
椛「時間が必要、ということでしょうか…?」
アプトム「(頷く)そういうことだ…言葉より、時間の方が傷みを癒す薬になる、そんなものだ」
椛「……そう、かもしれませんね。本当にすみません、そちらの事情を無視した事を言ってしまって」
アプトム「かまわん、気にするな。こちらとしても…予想外だったとはいえ、大仕事を片付けられたからな」
晶「ああ…こちらとしても感謝してます。あのギュオーを討つということができたから」
パチュリー「…私からも質問して良いかしら。あのギュオー、本当に元は人間だったの?私が知ってる変身魔術でも、あんな変貌の仕方をするのは記憶にも記録にもないのよ…」
アプトム「あれはそもそも魔術ではない、遥か彼方の宇宙から来た、宇宙人の集団…【降臨者】の遺した技術を解析した結果、だ…ギュオーだけでなく、俺の力もな…」
パチュリー「なるほど…貴方とギュオーは同じ技術でそうなった、ということで良いのね?だとしたら…晶さんのあの姿は…」
晶「俺の場合は…【強殖装甲】という降臨者の遺産を、人類が装着した形態…それが、あの『ガイバー』です。人類なら誰でもガイバーになることはできますが、地球上にはもう【強殖装甲】はありません…そのはず、です」
パチュリー「星の彼方からの来訪者…【降臨者】とやらの力は、とてつもないものみたいね…。けど、まずは貴方たちみたいな人と先に出逢えて良かった…その事には、心から感謝するわ。改めて…ありがとう」
晶&アプトム「「……」」
どう答えたものか、と困惑気味に顔を見合わせる晶とアプトムに対し、美鈴が横から声をかけてきた。
美鈴「お話中のところ失礼します…深町さん、でしたか。もしご迷惑でなければ、私に【ガイバー】とやらの姿を見せてもらえませんか?ここに来れないフラン様への土産話にしたいので…ダメですか?」
パチュリー「美鈴…?」
美鈴「いえ、フラン様がかなり興味をお持ちでしたし…それに、アプトム様は変身すると服が破れる、とお聞きしましたので…」
アプトム「…」
晶「え、と…」
レミリア「美鈴、それは少し図々しい言葉よ。如何にフランのためとしても…あの変身はね、ここでやると周りを壊してしまうの…深町さんの気遣いも考えなさい」
美鈴「あ…そ、そうでした。すいません…つい、フラン様への土産話と自分の興味が勝ってしまって…!」
晶「あ、いえ…すいません。こちらの事情を察してもらえて…助かります」
アプトム「(難儀なことだ…色々)」
小悪魔「(奥からやってくる)パチュリー様、陣の準備ができました、いつでも稼働できますが…?」
パチュリー「そう…では、名残惜しいけれど、始めましょう。お二人を無事に帰還させる…大仕事を、ね」
パチュリーの言葉に、晶やアプトムを始め、周りに集まっていた者達も移動を開始する。
そして…晶とアプトムは召喚陣の中央に立ち、紫とパチュリー、聖が陣の三方に立ちながら呪文を唱え始める。その様子を他の者達は眺めているのだが、陣の中央からそれらの光景を眺める形の二人は、小声で話をしていた。
晶「なんか…不思議な気分だな、アプトム」
アプトム「あぁ、俺もこんな経験はした記憶はない。できれば…心の準備、という奴をしてからやってほしかったものだ(苦笑)」
晶「確かにそうかも、な。でも…ギュオーは倒せた、そして、次は…!」
アプトム「ああ…」
そして…召喚陣が輝きを放ち、二人を穏やかな光が包みこんで…そして二人の姿が光に包まれ、そして徐々に消えていく。
二人は意識がゆっくりと眠りに落ちるような感覚を感じつつ…かすかに、霊夢や紫、レミリアたちの声を聞いたような気がした。
〜【紅魔館】地下室〜
光が徐々に収まり…召喚陣の上には、晶とアプトムの姿はない。
パチュリー「…送還、完了。みんな、お疲れ様……」
パチュリーは言葉を発した直後…緊張の糸が切れたのか、そのまま意識を失って倒れ込む。
霊夢「パチュリー…!?」
レミリア「(凄まじい速さでパチュリーを受け止める)お疲れ様…パチュリー。さて、これで終わりよ…みんな、宴は後日するから、今日はこれでお開きにしてもらえるかしら?」
アリス「そう…ね、結果も見届けたし、このまま帰るわ…みんな、お疲れ様」
紫「みんな『スキマ』で送ってあげるわ、少し待ちなさい(言いながら複数の『スキマ』を開いていく)…」
文「…残念ですねぇ、ほとんど話が聞けませんでした(ため息)…」
勇儀「(文の肩を掴む)辛気臭いこと言ってじゃないよ…丁度いいから、これからあたしに付き合いな」
文「…(戦慄して固まる)!?!?」
萃香「なら霊夢のとこで飲むか〜、霊夢、いいよな?」
霊夢「あのねぇ…ま、いいけど」
椛「あ、私はこれから大天狗様に報告しに行きますので…これで失礼します(頭を下げる)」
聖「私も、一度寺へ帰りましょう…皆が待っていますから。その後、博麗神社に行きますが…よろしいですか?」
魔理沙「それでイイんじゃないか…さて、ついでにゼクトールも呼んでくるかな…!」
…こうして、幻想郷に起きた壮絶な【嵐】の如き異変は幕を閉じた。後に文の記した新聞記事には、こう記されたという…『殖装異変』と。
そして…
〜東京某所〜
晶「…ん、ここは…?」
アプトム「どうやら、無事に戻れたようだな」
深町晶とアプトムの二人は、人気のない廃墟…先日破壊され、廃墟と化した新宿のビルの中に立っていた。ギュオーの残党とも言える【獣化兵】ウーヌスの部隊に偶然遭遇、戦闘して勝利した直後…召喚されたのだ。
アプトム「あれからさほど時間が経過していない…か。魔術とやらは凄まじいものだな…」
晶「そうだな…しかし、あれは夢じゃないんだよな…たぶん」
アプトム「夢としては洒落にならんだろう…」
アプトム「(お前はまだしも、今の俺が夢を見るとは思えんしな)」
晶「アプトム…これからどうする?」
アプトム「一度、周囲の様子を確認しておく…お前は一度、あのジャーナリスト、麻生だったか…のところへ戻れ」
晶「分かった…無理するなよ、アプトム。それじゃあ(踵を返して離れる)…」
アプトム「お前も、な(音もなくその場を離れる)…」
二人はこうして、自らの世界…そして、戦場へ戻って行った。
【秘密結社クロノス】を打倒し、そして…【降臨者】の目的を阻むために…。
彼らの戦いは…まだ終わることは、ない…。
〜東方殖装伝•完〜




