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王子様はゴミ屋敷の引きこもり住人  作者: 加阪あおか
第三章:大切なもの
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陛下からの書状

フォザリアの店が盗賊団に入られたことを知ったルカルナは気が気ではなかった。無意識にフォザリアの店に駆けつけようと馬屋に向かう自分がいたのだ。しかしお付きの騎士にどこに行くのかたずねられ我に返ったのだ。


幸いにも報告を待っていると、すぐに盗賊団確保の一報が入った為に胸をなでおろした。店主も無事だと聞いたのでルカルナは自ら行くことはしなかったが、盗賊団の仲間全滅の為の指示はすぐに出した。


夜が明けお昼過ぎ、確保した盗賊団の目的も徐々に明らかになってきた。なんと金銭目的だけではなく、多くの被害にあっている家には十代後半の少女がおり、誘拐されているといった案件が半数近く占めているという報告があった。


「リアムス、この報告をどう思う?」


ルカルナは次々に報告されてくる盗賊団関連の報告書を読みながら目の前に立っているリアムスに向かってたずねた。


「そうですね、捜査はこれからですが、今回捕らえた盗賊団の後ろに巨大な人身売買の組織があるかもしれませんね」


「そうだな、行方不明の女性たちの行方も分かっていないようだしな」


「それとですね、これは個人的な意見なのですが、都で起きている盗賊団はまだ他にいるかも知れませんね」


「なぜそう思う。昨夜の一団は船も抑えたではないか」


「そうですが、ここ数日だけでも30件を超えています。昨夜のように都の人々も自ら見回りをしたりしているようですが、とてもあの一団だけの仕業のようには思えません。今回とは別の案件ですが、他の場所で、孤児たちが行方不明になっているという報告が多数報告されています」


「孤児たちだと?」


「はい、借金の返済の為に孤児院を運営している人間が少女の人身売買をしているという噂を耳にしました」


「我が国は奴隷制度も人身売買も禁止しているのではなかったのか?」


「ですが、少年少女の就労は合法ですので、借金苦の親は子どもをお金で売る闇ルートが存在しているのも事実です。強盗に襲われているのは商家の半数以上はそういう孤児たちを多数雇い入れて働かせている商家だということです」


「しかし、少女たちをさらってどうするというのだ」


「もしかしたら、諸外国に売るのかも知れませんね。噂では、奴隷のオークションが合法的に行われている国もあるとか、我が国の少女たちは諸外国の貴族の間では人気が高いということですから。少女たちがどこかの国に連れて行かれて、奴隷として売られて行くのかも知れませんね」


「変態貴族が世界中にいるということか」

「そうです」


「くそっ!リアムス、捕らえた奴らを徹底的に拷問にかけて何が何でもそのルートをはかせろ!この国でそんな奴らが横行しているとは許せん!」


書類を叩きつけながらルカルナは言った。


「あの、もう一つ今回の件とは関係ないのですが義父の了承も得られましたので、ビゴーラとも相談してようやく書類が整いましたので、近々本人に打診してみようかとビゴーラと話をしているのですが、今回の件がありましたし、どういたしましょう」


「そうだな、あいつも狙われたようだし、そもそも一人であの店で生活させるのは危険だな。だが、頑固だからな。簡単には頭を縦に振らないだろうな」


「そうですね、あっそういえば、陛下が昨日の件で盗賊団の確保を行った大工たちに褒美を与えるとおっしゃっているようでしたよ。もちろんフォザリアさんもですけど」


「そうか、じゃあ王宮に来るということだな」

「はい、おそらく」


ルカルナはしばらく考えて言った。


「じゃあ、その後に当初の計画を話してみるか」

「はい、ではそのつもりで準備に入ります」


リアムスは頭をさげると部屋を出て行った。一人になったルカルナは再び溜まっている執務に戻った。


その数日後、片づけも終わりいつもの日常に戻っていたフォザリアの元に、王宮からの呼び出し状が届いた。


「店長すごいですね」


店で接客をしていたリューアがその書状を見ながら言った。


「また王宮から書状がくるなんて」

「なんて書いてあるんだい?」


きていた常連客も気になる様子だった。


「この間の盗賊団を捕まえた褒美をくださるって書いてあるのよ、リーマさんたちも呼ばれているみたいよ」

「なんだって!」


たまたま仕事が休みで軽食を食べに来ていたリーマが驚いて椅子から床に転げ落ちた。


「いててて、フォザリア先生、それは本当ですかい?」


「もうリーマさん、ここでは先生は辞めてくださいって何度言えばいいんですか?呼び捨てでいいって言いましたよね」


「あっいけねえや、そんなことはいいんだよ。本当に俺らも呼ばれてるんですかい?」

その書状をのぞき込みながらフォザリアにたずねた。


「ええ、ここ、出席者の名前の所にあなたの名前もあるでしょ」


そう言ってその書状を見せると、リーマはじっとその書状を睨みながらリーマは文字の綴りをゆっくり読んだ。


「本当だ!俺の名前が書いてあらあ!マントン、アトス、エダ、カーサ、ユタって書いてるじゃねえか!こうしちゃいられねえ、あいつらにも教えなきゃなあ」


「たぶんあなたの家にも書状が届いているんじゃないかしら」

「金ここに置いとくよ、えらことになったぞ、着ていく服あったかな」


リーマは慌てて飲みかけの紅茶と食べかけのサンドイッチを口に放りこむとお金をテーブルの上に置いて店を飛び出して行ってしまった。


「店長は何を着るんですか?」

「私?普通の服だけど、別にドレスを着ていく必要はないでしょ」

「何を言ってるんだい、王様に謁見するんだよ、ドレスに決まってるじゃないか」


一斉に反論したのは他の常連客達だった。


「そういうものなの?」


普段着のままで行くというフォザリアに対して陛下との謁見の知らせを知った顔なじみ達が猛反対し、結局ドレスで行くことにした。


その日は噂を聞きつけた顔なじみの人達が次々と店に訪れては喜んでくれたのだ。普通平民が国王と謁見して会話ができるなどないことだからだ。だけど当のフォザリアにしてみれば既に以前話をしたことがあるのでほとんど緊張もしていなかった。


陛下との謁見の指定された日の当日、フォザリアは周りがあまりにうるさいので、一応王宮に行く用のドレスを着ていくことにした。同じように、リーマ達大工男たちもどこで手に入れてきたのか普段着たこともないスーツに身を包んで固くなって王宮に足を運んでいた。そして通された謁見の間で、王の登場をソワソワしながら待っていた。





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