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王子様はゴミ屋敷の引きこもり住人  作者: 加阪あおか
第二章:新しい仕事依頼
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お茶会➁

外ではにぎやかな話声と共にお茶会が始まったようだ。フォザリアの心臓はドキドキだった。どれだけ時間がたっただろうか、お茶会も中盤に差し掛かろうという時間になってようやく館の扉が開いてサルデーニャ王女が入ってきた。


「さあ、わたくしと一緒に行きましょう。皆様に紹介して差し上げますわ。その後でビンゴゲームスタートよ。もう皆様にはビンゴゲームの事は説明済みよ。テーブルに置かれた見たこともない可愛い商品が皆様気になって仕方ないっていうもんだから、どれもすごい人気よ」


「あっあの、サルデーニャ様、わっ私、本当に変じゃないですか?」

「ええ、私の未来の妹だって言ってあるのよ」

「え?」


フォザリアはその言葉の意味を聞こうとしたのだが、扉が勢いよく開き、庭園に座っている貴婦人の視線が集まり、わあ~という声が響いた。フォザリアは何が何だかわからないまま、サルデーニャがフォザリアの腕に自分の腕をからませて、歓声にわく庭園にフォザリアを引っ張っていったのだ。フォザリアは何が何だか分からないまま、挨拶をかわしながら笑顔を振りまき続けた。


ただ不思議なことにフォザリアが何者なのかは誰も質問してくる人はいなかった。皆、自分の名前を名乗るだけだった。一通り全てのテーブルを回ったサルデーニャ王女はフォザリアを連れて中央前の大きな板が立てかけてあり、その前のテーブルの上には上に丸い穴が開いている四角い箱とたくさんの招き猫や額入りのパッチワークの壁かけやキーホルダーなどが置かれた景品の前に立った。


そしてそこでようやくフォザリアを開放すると注目している貴婦人たちに向かって言った。


「さあ皆様、いよいよビンゴゲームを始めますわよ。こちら半分はわたくしが用意した商品ですけれど、反対側に並べられている品物はここにいるフォザリアが経営するお店の商品なのよ。これらの商品は彼女が開発したものばかりで、彼女は我が国でも最近広がりつつあるパッチワークを広めた人物なのよ。まずは拍手」


サルデーニャの用意している商品はどれも高級なものばかりで、貴婦人方に人気がありそうなものばかりだった。


(これじゃあ、家の商品はルカルナ様の招き猫ぐらいしか対抗できないかもしれないな・・・だけど、招き猫につけられている指輪も高そう・・・動物のぬいぐるみは完全なハズレ商品になりそう・・・はあ・・・みんなごめん、もし受け取りを拒否されてあまったらもらった前金半分ぐらい返金しないといけないかも・・・だけど招き猫もそうだけど・・・パッチワークも前世での記憶を頼りに思い出してアイデアを出しただけで、私が開発したわけじゃないんだけどな・・・地球の最初の開発者の人ごめんなさい・・・)


フォザリアは心の中で頭をさげた。


(けれどここは異世界、誰も知る人間はいないよねきっと・・・)


フォザリアは心の中で良心と葛藤している中、一斉に大きな拍手が巻き起こった。フォザリアはハッとしてドレスの両端をつまんでお辞儀をした。


「さて、皆様お待たせ致しました。これらの商品を欲しいかたいらっしゃるかしら?」


すると一斉に全員が挙手したのだ。


「まあ、皆様素直ですこと、今回はこちらの商品を全てプレゼントさせていただきますわ。但し、ゲームに勝利した方から順番にということになりますわ。同時の方はじゃんけん勝負ですわよ。フォザリアの店の商品の受け渡しはルカルナ、あなたが担当してね。わたくしの用意させた商品はわたくしが渡すから」


サルデーニャ王女の言葉でその場にいたご婦人方がざわつき始めた。無理もない、長い間どの公式の場所にも姿を見せていなかったこの国の王子が目の前にいるのだからだ。サルデーニャの言葉でフードを深く被り並べられている商品の前に立ち、商品を順に並べたりしている男がいる程度に思っていた一同はフードをとったルカルナの姿に驚いて言葉をなくしてしまっている様子だった。


ルカルナはかぶっていたフードをとると、若干顔を引きつらせながらも笑顔を見せながら言った。


「皆様ようこそおいでいただきました。こちらの商品の中にはわたくしが制作した物もございますので、お気にいる物がございましたお持ち帰り頂いて部屋の隅にでも飾っていただけると光栄です」


そういうと、ほとんどの女子たちは顔を赤らめていた。しかし、それに気づいていないのは本人ぐらいだった。フォザリアはすぐにルカルナの側に駆け寄ると、小声で言った。


「ルカルナ様、頑張りましょうね」


ルカルナは気分が悪くなるのを我慢しながら、フォザリアの笑顔につられてもう一度ほほ笑むことができた。フォザリアはそれを確認すると、すぐにルカルナから離れ、サルデーニャの元に戻るとフォザリアは彼女に変わって、簡単にビンゴゲームのやり方を実際に用意したビンゴゲーム用に厚紙で作ったカードを一枚取り出し、説明を始めた。


そして使用人に手伝ってもらいながら全員一人一人に羽ペンと数字が書かれたカードを一枚ずつ配り終えた。


「皆様、では今から開始いたします。この箱には一から七十五までの数字が書いた数字の紙が入っていますので、今からロンダ様が一枚ずつ引いて行かれますので、その紙をわたくしが読み上げますので、お手元の数字が書いてあるカードに同じ番号の数字がある場合は羽ペンでしるしを付けて行ってくださいませ、カードの縦、横、斜めのどの列でもかまいませんが、読み上げられた数字が一列にそろいましたら「ビンゴ!」となりますので、残り後一つで「リーチ」のお声をあげていただきます。そしてそろった方は「ビンゴ!」と大きな声でお願い致します。「ビンゴ」となられた早い方からそちらにある商品から好きなものを選んでお持ち帰りして頂きますので、ビンゴされたかたはすぐに挙手してくださいませ。後から申告して頂いても先に進んでおりました場合欲しい品物はなくなっている恐れがありますのでご理解のほどよろしくお願いいたします。それではさっそく始めさせていただきます」


そういうと一斉にロンダの方に注目が集まった。そうして、ロンダが引いた数字が書かれてある紙をフォザリアが大きな声で読み上げ、その紙を隣に立てかけている板に張り出して行き、その横に立てかけている大きな紙にピオレが順番に分かりやすいように数字を書き込んでいった。


「さあ、ここで数字が三つ出ましたが、既にビンゴの方はいらっしゃいませんか?」


フォザリアはあえて、ここでロンダにひくのを中断させて、夢中で自分の数字と書かれた数字を見比べている貴婦人たちに問いかけた。あちこちで落胆の声が上がっているがリーチもビンゴの声も聞こえてこなかった。そこでフォザリアはゆっくりと一回づつ数字を読み上げては間を開けて聞いて言った。それを数回繰り返していると、ちらほらとリーチという声が聞こえるようになってきた。


「さあ、ドンドンいきますわよ。リーチの方が増えていらしたようですね。最初に当選される方はどなたになるのでしょうか。次の数字は58です」


そう言ってロンダが一枚ひいたカードを読み上げると、フォザリアに一番近い場所に座っていた女性が悲鳴と共に立ち上がり叫んだ。


「ビンゴですわ」


両手をあげて喜ぶ女性に駆け寄り、フォザリアとサルデーニャがその女性が持っているカードを確認すると確かにビンゴになっていた。


「まあ、すごいわサルジュ!あなたが一番よ!」


「おめでとうございますサルジュ様。どうぞあちらお好きな商品をお選びくださいませ」


彼女が最終的に選んだのはルカルナが作ったドレスと宝石を身に着けた招き猫だった。


サルジュはルカルナからその招き猫を受け取ると嬉しそうにその招き猫を抱きかかえながらサルデーニャに近づいて言った。


「あら?あなたどこかであった事がなかったかしら?」

「えっ、申し訳ございません。多分人違いだと思いますわ」


「そうかしら、確かどこかで・・・まあいいわ。そのうち思い出すでしょう。それより、これすごくかわいいわね。すごいわ。さっきからこれ気になっていたのよ。このドレスの子もすごく可愛いし、こんなに可愛い猫ちゃんの置物初めてよ。まん丸で見てて飽きないわ、あのオス猫の方も欲しいわ」


「それでしたらこの後、私が責任をもって仕上がりにはしばらくお時間がかかりますがお気に入りの品の発注を賜りますわ」


「あら本当?じゃあ頼もうかしら」


「ありがとうございます。こちらの商品は都のフォザリアの雑貨店の特注品となっておりますの。特注品はお値段が少々かかりますが、商品が完成いたしましたら、お手紙でお知らせいたしますので、使用人の方にでも受け取りに来ていただきましたら注文をお受けいたします。その際に代金をお支払いいただくシステムとさせていただいております。前金払いですと、配送先と配送手段の商船などの細かなご指定をいただけましたら、船での配送もさせていただきます。ですが招き猫は、顔の表情は微妙に違ってまいりますし、指輪もついておりませんのでご了承くださいませ」


「じゃあ後で頼むわね」


サルジュはそういうともう一度フォザリアをじっとみてから手に入れたばかりの招き猫に再び視線を移し自分の席に戻って行った。


その後、フォザリアが笑顔で店のピーアールをすると、あちらこちらから好感触な話声が耳に入ってきた。フォザリアは上機嫌で、ビンゴゲームを再開させた。


しかし、それからビンゴゲームはドンドン進むにつれて、なぜか好感触だったフォザリア雑貨店の商品は最初のサルジュ以外まったく欲しがる人はあらわれなかった。





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