新しい店
フォザリアは一階に降りて行くと、店舗の方には大量の荷物が既に所せましと置かれていた。
「あの館の二階の荷物全部運びこんできたのかしら・・・きちんと見なかったけど、家具とかもあった気がするから、壊れた箇所を治したってことかな・・・独特のセンスの置物もあった気がするんだけどあれはルカルナ様の手作りなのかしら?売れるかな・・・まさか王子の作品なんて言って売るわけにもいかないし・・・リサイクルって言葉この世界にあったかしら・・・中古品の店は確かあった気がするから大丈夫かな、偽物ってわけじゃないし、王宮で使っていた物なら本物だろうし」
店の中を眺めているとお腹がぐ~と鳴り響いた。
「駄目だ、食べてから考えよう・・・」
フォザリアは焼き立てのパンのいい匂いが漂ってくる方に小走りで向かった。
フォザリアが台所につくとそこには四人掛けの小さめなテーブルと椅子が四脚置かれていて、既に二人が座っていた。
「!」
ルカルナ様と後一人の男性は見た事がなかった。
「おや、フォザリアあんたも座りな」
台所の入り口で固まっているフォザリアに、温かいスープの入ったスープ皿をお盆にのせて調理場から出てきたビゴーラが言った。
「あっあの、その人は・・・」
フォザリアがルカルナの隣に座っている中年の騎士のような男性を指さしていうとビゴーラはフォザリアが言いたいことを理解したのか手に持っていたお盆からスープ皿をテーブルに並べながら紹介した。
「ああ、これはあたしの亭主のリアムスだよ。こう見えても王宮騎士団の第二部隊の隊長なんだよ、昨日まで国境の警備視察に行っていたからフォザリアとは初対面だよ。昨日たまたま任期が終わって戻ってきてね、しばらく休暇をとるっていうから、ルカルナ様の警護を兼ねてここでの同居話をもちかけたら面白そうだってんでついてきたんだよ。お給料は考えなくていいし、店の事で力仕事とかあったら遠慮なしにこき使っていいからね。じっとしているのが嫌いな性格だからさ」
ビゴーラがそういうと、早速パンをほうばりはじめているリアムスが口にいっぱいものを詰まらせながらフォザリアに頭だけさげた。
「あっそうなんですか、フォザリアです。よろしくお願いします」
フォザリアはリアムスに向かって言うと、リアムスは立ち上がると、深々ともう一度頭をさげて言った。
「ビゴーラからの手紙であんたのことは聞いてました。しばらく居候させていただきますので力仕事ならなんでも言ってください」
「助かります。ルカルナ様は力仕事は無理だろうし、重い棚とかの移動はどうしようかと思っていたんです。お世話になります」
「おい、僕だって男だぞ、お前よりは力があるぞ」
そこで隣に座っていたルカルナがすかさず言った。
「ええ~そうですか?私の方が腕の筋肉ありそうですよ、ずっと引きこもっていたせいか肌だって真っ白々じゃないですか・・・第一、重いものを持ったせいで腰を痛めたとか後からいろいろ苦情を言われても困りますしね」
「そっそんなことにはなるはずないだろ!僕を馬鹿にするな!」
怒りだしたルカルナに対して、フォザリアは舌を一瞬だけだしただけで何も言い返さず、ルカルナの向かいに座ると、平然とした態度で手を合わせると前世の習慣でいただきますというと目の前に出された温かいスープを一口、口に含んだ。
「わあおいしい、やっぱりビゴーラさんの料理は最高ですね」
「こら!聞いているのか?」
無視されたことを怒りだしたルカルナにフォザリアは軽くため息をつくとめんどくさそうに答えた。
「はあ・・・昨夜言いましたよね、私がここの店長なんですから、私がこの家では一番偉いんです。口を慎むのはルーカスあなたのほうよ」
「なっ!ルーカスって誰の事だ、そっそれに、お前、昨夜の事は何も覚えていないって・・・」
怒りのあまり言葉が出てこないルカルナに対してフォザリアはもう一度スープを口にふくむと平然とした顔でにっこり笑顔で言いきった。
「今、一部分を思い出したところなんです。ルカルナ様が私をだましてここでルカルナ様が作った変なものを売る羽目になったことをね。後、ルーカスっていうのはここでのあなたの偽名ですよ、いい名前でしょ。本物の王子が作ったものを自分で売り始めたなんてしられたら、大騒ぎになるでしょ。それとも、ルカルナ様が作った品物は王子の肩書きがないと売れる自信がないのですか?」
「なっ!そんなことあるはずないだろ。すごい傑作ぞろいなんだぞ、僕の作品だって芸術なんだぞ」
立ち上がって怒っているルカルナの前で平然とスープをすすっているフォザリアを見て、ビゴーラとリアムスが笑い出した。どうやら、この二人は笑い上戸のようだ。
「ルーカス様、スープが冷えてしまいますよ」
笑いをこらえながらビゴーラがルカルナに向かって言った。
「そうですよルーカス殿、店長のいう通りですよ、頑張ってたくさん売れるように食べたら店内の改装を頑張りましょう」
笑いをこらえながらリアムスがいうと、不服そうにルカルナはドカッと椅子に腰をおろしながらその後は無言で食べ始めた。




