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用語集

 五十音順で記載しております。


【亜人】


 動物が人間の様に直立二足歩行で行動する。

 元の動物によって体格は変わるが、イノシシの亜人であれば二メートルはある。

 力は人間よりはあるが、数で戦えば勝てない相手ではない。


 反乱軍の先兵として最前線で異人と戦う。


 現在確認されているのは、イノシシとバイソンのみである。


 そのはずであった……。



【異人】


 異世界から迷いこんで来た人間のことを異人と呼ぶ。

 今から八百年前に突如この世界に迷い込んで来た。


 それ以来、異人は毎日のように現れ続けている。


 王国も初めは歓迎していたが、日に日に増える異人たちの衣食住問題が発生。

 国民とのいざこざが絶えなくなってきた。


 当時の国王と貴族たちは国民の生活を守るために、すべての異人を捕らえることに決定した。


 そして、異人たちを一つの場所に集めて強制労働を課すことにした。


 そして現在では、一日に千人ほどの異人が迷い込むようになり、既存の異人街では収容しきれなくなりつつある。


 異人たちは茶色の長袖長ズボンの布の服を着ている。


 また、勝手な繁殖を防ぐために男女を分けて生活させている。


 そもそも、異人街に女性の異人は迷い込まないという報告があるとかないとか……。


【異人街】(いじんがい)


 増えすぎた異人たちを収容する街。

 収容人数は街ごとに異なるが、約千人ほど生活している。

 異人たちはここで寝起きし、毎日労働へ向かう。


 街は居住区、工業地区、農業地区の三つに分かれていた。


 歯向かわなければ、衣食住に困ることはない。


 取れた作物や鉱石などはすべて王国国民の生活を潤す。


 異人街は全部で数千箇所あるらしい。


【異人棟】(いじんとう)


 異人たちの居住地。

 約百人ほどが生活している。

 木造建築で、まるで旧校舎のような雰囲気だと司は感想を述べている。


 組毎に部屋分けされている。

 入り口の前には木製の板に組番号が記入されている。


 ドアは鉄製で、上の方に覗き穴がある。

 しかし、廊下側からしか覗くことが出来ない。


 部屋は、天井も壁も床も、すべて木製の板で出来ている。


 あまり広くなく、布団を三枚川の字に並べると少し隙間が開くぐらい。


 部屋の奥には大きなスライド式の窓があり、そこから太陽の日差しが入ってくる。


 しかし、窓の向こう側には鉄格子がはめてある。


 脱走防止のため。


 窓には脚を畳まれたちゃぶ台が一つたてかけられている。


 その右側の壁には箪笥が置かれており、対面の壁には畳んだ布団が敷かれている。


 箪笥の上に、透明の水晶玉が置かれている。


 トイレは、部屋の隅に木の蓋が置いてあり、蓋を開けると、水が流れている。


 その水は農業地区へ流されて、肥料になる。




【異人兵】


 異人街の治安維持を目的に結成された。

 異人たちと違い、緑色の布の服を着ている。

 こん棒の携行も認められている。


 自ら志願し、試験に合格するとなれる。

 試験内容は筆記、実技、訓練の三項目。

 訓練はとても過酷で途中で断念する者も後を絶たない。


 主な内容は、以下のとおりである。


 異人街の巡回、新しく迷い込んできた異人の捕縛、看守と共に各出入口の見張り、狩猟など。

 看守の補佐が多い。


 食事は少し優遇されているらしい。


【異人区】


 異人区は二つ存在する。


 1.

 王都の城壁の外縁をなぞるように、帯のように広がっている。

 女性の異人しかおらず、服装はとても貧相で、薄布を一枚まとっている。

 下着といってもいいぐらいのもの。


 主に国民の世話がメインである。


 2.

 前線都市バルトラインの外周には、異人たちを押し込めるための巨大な異人区が広がっている。


 異人区は八つに区画されており、上空から見れば、まるでケーキを八等分したような形をしていた。


 それぞれの区画は高い城壁によって隔離され、区画同士を行き来するには城門を通らなければならない。


 だが、城門には常に騎士たちが目を光らせており、通常は自由な往来を許されていなかった。


 この構造は、異人たちを管理するためだけのものではない。


 万が一、敵の襲撃によって一区画が陥落したとしても、被害が他区画へ広がるのを防ぐ――いわば防火扉のような役割も担っていた。


 区画の中央には石畳で舗装された大通りがある。

 大人が四十人は肩を並べて歩けるほどの広さがある。


 周囲には巨大な異人棟が何棟も立ち並んでいる。

 まるで都心の高層ビルが密集しているようにも見える。


 司は初めて来たとき、口を開けたまま上ばかり見ていた。

 だが、とても空が小さく感じたと思ったらしい。


【異例の徴兵】


 今回の大遠征に向けて異例の徴兵が行われた。

 通常であれば、年に数組が異人街から選ばれて、前線都市バルトラインへ送られる。

 そして、一年ほどの兵役を終えると元の異人街へ戻ることになる。


 しかし、今回は異人街から千人単位で徴兵されることになった。

 さらに、他の異人街からも徴兵されて合計二万人の大移動になった。


【王国】


 この世界唯一の王国で、他に国は存在しない。


 今から千年ほど前に一人の青年によっていくつもあった集落を統一させて王国を建国した。


 王都の名前はその青年の名前を取って、『セイント』と呼ばれている。


 これまで、戦争の経験がなかったので、反乱軍に手を焼いている。


 総人口は三十万人。




【王国国民】


 黒髪だが、光の反射でわずかに紫がかって見える。

 瞳もまた紫色で、肌は白い。

 整った顔立ちの者が非常に多い。


 非常に穏やかな国民性で、助け合いの精神を大切にしていた。

 異人も初めは歓迎されていたが、数が増え続けたことで国民との摩擦が生まれ、対立が生じ始めた。


 今では異人を差別するのが当たり前という風潮に変わってしまった。


 彼らは、異人はこの世界に住まわせてあげているのだから、奉仕するのは当たり前と考えている。


【大盾】


 高さ一メートル五十センチ、横幅三メートル、厚み十五ミリ。

 総重量は、五十キロにもなる木製の横長大盾である。

 間近で見ると、その大きさは人ひとりを完全に隠せるほどだった。


 これは、バリケードに近いものだ。


 大盾の下部にはスパイクが三本生えている。

 まず、三人で大盾を持ち上げ、地面に突き刺して安定させ、重さの軽減を図る。

 突き立てるたびに地面が鈍く震えた。


 さらに、大盾中央にある支えの脚を展開することで自立し、敵の衝突を防ぐ役割がある。

 脚が展開されると、まるで壁がその場に生えたように動かなくなる。


 中央と左右に異人が一人ずつ大盾を押さえることで、鉄壁となる。

 

 盾と盾の間は隙間を作らないように密集させている。

 わずかな隙間も許さない、息苦しいほどの密度だ。


 これは、ファランクスに近い。


 ※本編描写引用


 亜人の突撃に対して、この大盾を用いて進撃を防ぐのが目的である。


【看守】


 異人が五十代になると、看守から推薦されてなることができる。

 ただし、素行が悪いとなることはできない。


 黒い布の服を着ている。


 主な仕事内容は、以下の通りである。


 異人街の維持、翌月の仕事の組み分け、異人たちの管理(体調管理も含まれる)、仕事の指導、各出入口で異人たちの確認など多岐にわたる。


【看守長】


 異人の最高地位。

 看守全員の同意と監督官の許可があって初めてなれる。


 一人の異例を除いて、ほとんどが高齢者ばかりだ。


 看守の指導が主な内容になる。

 他に監督官に意見することも可能である。


 異人街ごとに人数は異なるが、数人しかいない。


【監督官】


 異人街で異人たちの監視をしている。

 彼らは国民と異人の間に生まれたハーフである。


 しかし、混血という理由で国民として扱われることはなかった。

 そこで与えられた仕事が異人の監視『監督官』である。


 彼らは異人たちを恨んでいる。

 彼らがいなければ自分たちも王国国民として生活できたはずだと思っている。


 それゆえに、異人に対してとても高圧的な態度を取り、暴力を振るうこともためらわない。


 初めて司がこの世界に迷い込んできたときに水をぶっかけたのは監督官である。


【騎士】


 フルプレートにハルバードを持ち、ロングソードを携行している。

 フルプレートの胸には貴族の証『両翼の鷲』が記されている。


 普段は軍服を着ている。


 反乱以前は勉学より力仕事が得意である貴族の受け皿であった。

 しかし、反乱以降は騎士は名誉職として王国に貢献している。


【貴族】


 貴族は大きく二種類に分かれていた。

 王家の血筋を受け継ぐ家系、もしくは王族の子弟と婚姻関係を結ぶ家が上級貴族と呼ばれ、国の重要な役職を与えられる。


 もちろん、貴族なら誰でも王族と縁を結べるわけではない。


 それなりの功績や実績、家格が重視される。


 そして、王家との血縁が遠くなると下級貴族と呼ばれ、一段低い扱いになる。


【居住区】


 異人街の内縁部にある異人たちの居住場所である。

 中心には食堂があり、それを丸く囲むように異人棟が立ち並んでいる。


【巨大湖バルト】


 世界の中心に存在する巨大な湖。

 様々な水生生物が暮らしている。

 司の印象では、まるで海のようである。


 湖の底には何か秘密があるらしい。


【組長】


 三人組のリーダー。

 異人たちは三人一組で行動が義務付けられている。


 主に、組員の指導と組長会議への出席義務がある。

 組長になれるのは十年以上の異人歴があるもので、基本的には誰でもなれる。


 タカギは問題行動が多いので組長になれていない。

 本人はまったく気にしていない様子である。


 組員が問題行動を起こすと、組長が責任を取らされる。


 どこの組も家族のような付き合いが多い。


 組には番号が振り分けられており、組長は首に黒字に組番号が書かれた赤い革で作られた首輪を着ける義務がある。


 一目でどこの組かわかるようにするためだ。


【組長会議】


 月末に行われる会議の名称である。

 組長たちは月末になると、食堂に集まり組順で並んで座る。


 内容としては、今月の仕事の進捗状況、事故、問題の報告、組内でのトラブルなど今月起きたことの報告を行う。


 看守から翌月の仕事内容の通達を受ける。

 また、異人街外の情報を聞くこともできる。



【工業地区】


 異人街の居住区の周りを囲むように作られた地区。


 鉱石、木材の加工を行うことが主な目的である。

 加工された製品は王国国民の元へ送られる。


【三人組】


 異人たちは三人一組で行動が義務付けられている。

 基本的に組と呼ばれている。

 組には番号が振り分けられており、組番号で管理されている。

 三人組は異人だけでなく、看守も異人兵も同様である。


 看守長だけは人数が少ないので該当しない。




【使用人】


 王族、貴族に仕えている。

 全員が銀髪、銀眼。

 彼らが何者かは現在の所は不明である。



【食堂】


 居住区の中心に位置する。

 食堂は円柱の形をしており、屋根はドームになっている。

 ドームはガラスで出来ており、外から見るとキラキラと光っている。


 入口は一つしかなく、よく渋滞している。


 食堂の両開きの木の扉を抜けると、そこは薄暗い通路が伸びている。

 幅は少し狭くて、三人が横並びで歩くと肩が当たりそうになる。


 天井のガラスから空がよく見え、まるで屋外の様に感じられる。

 入口の右手側にカウンターがあり、トレーを持ち順番に食事を受け取っていく。


 厨房では食事担当の異人たちが汗だくになって調理している様子が見ることができる。


 千人全員が入ることが出来るほどの広さである。


 机は木製の六人かけで、椅子は背もたれのない丸い椅子が六個置かれている。

 組で横に座り、順番は右から組長、中堅、新人の順番に座ることになっている。

 対面には別の組が座る。


 食事中は基本黙食であるが、異人たちは普通に会話している。


 前線都市バルトラインでは、八個の区画ごとに食堂が設けられている。


 しかし、中央には大通りがあるため、区画の隅にある。


 食事も肉がメインになる。


【神馬】


 専用の牧場で育てられた特別な馬。

 王家、上級貴族しか使うことが許されていない。


 異人たちは触ることができない。

 触れると処分される。


 世話をするのは騎士の役目である。



【水晶玉】


 通信手段として使われている。

 看守との連絡用から、戦場での意思伝達など様々である。


 また、起床時間になると、赤く発光して、けたたましいアラーム音が部屋中鳴り響く機能もある。


 全員が起床してから、水晶玉に向かって話しかけると、看守部屋に繋がるので、「76組、全員起床」と言うと、鳴り止む。


 寝坊した場合。


 異人棟全員が起床しないと部屋のドアの鍵を看守が開けないので、朝食の時間が少なくなる。


 もちろん、他の組から恨まれる。


【前線都市バルトライン】


 巨大湖バルトの遥か南、王国を守るために築かれた要塞都市。


 王国を守るように、数十キロ間隔で砦が一直線状に並んでおり、これらの小さな砦も含めて『バルトライン』と呼ばれている。


 中央の司令塔を中心に貴族区、農業地区、異人区と外側に向けて重なるように円になっている。


 空から見れば、バームクーヘンを思い描くだろう。


 各区ごとに、高さ五十メートルもの城壁が囲むように建てられている。


 城壁の上にはバリスタが設置されており、敵の進行を阻止することが可能である。


 また、城壁側面にも矢狭間はざまが設けられている。


 城壁の内部は通路と大量の弓と矢筒が置いてあり、有事の際には矢狭間から敵を狙い撃つ。


 バルトラインは常時百万人の異人たちが待機している。


【洗濯場】


 異人たちが労働を終えた後に訪れる憩いの場?


 脱衣所にて服を脱ぎ、十個ある扉の前にある黒い底無しの箱に衣服を放り込む。


 扉を抜けると、天井にはスプリンクラーのように等間隔でシャワーヘッドのような物が並んでいる。


 その下を異人たちは並んで進みながら、全身を洗う。


 初めは湯だけだが、少し進むとシャンプーが混ざっているのか、全身が泡立ってくる。

 そして、もう一度湯だけで洗い流す。


 床は金属製の鉄板で、水が溜まらないよう、網目状に小さな穴が無数に開いている。


 次の扉を抜けると、先ほどのシャワー室と同じように、天井から強風が下に向かって吹き続けている。

 その風で体を乾かす。


 更に次の扉を抜けると、脱衣室と同様の部屋にたどり着く。


 壁には洗濯された先ほど脱いだ茶色い布の服と同じものが用意されているので、自分のサイズにあった服を選ぶ。


 脱衣所の黒い箱に放り込まれた服は、下の階層に落ちて、それを異人が回収する。


 それを隣のシャワー室へ運び大釜へ放り込む。


 大釜は五つあり、シャワー室の床の穴から流れ落ちた湯を集めてそれを煮沸消毒している。


 その湯を使って服も一緒に洗っている。


 その後は、天日干しで乾かす。



【番の馬】


 向かい合って前足を上げている番の馬の紋章。


 初代国王セイントは建国の前に世界を旅していた。


 その時、一緒に旅をしていたのが番の馬である。


 その二匹の馬を王家の証としている。


【長槍】


 その長槍は三人がかりで、ようやく構えられる。

 視界に収まりきらないほど長く、全長六メートルにも及ぶ巨大な長槍だった。


 少し持ち上げただけで、先端がずしんと遅れてくるような感触が伝わってきた。

 重さが腕に食い込み、思わず顔をしかめる。


 長すぎて、どこを持てばいいのかさえ、見当がつかない。


 太さは五センチもある。

 まるで木柱のようなその柄の先には、四十五センチに及ぶ鋭利な穂先が据えられている。


 穂先は鉄の光を鈍く返し、刃の縁がきらっとした。

 光が一瞬だけ反射して、目に刺さる。


 穂先の付け根には金具がいくつも巻かれていて、簡単には折れないように補強されている。


 腕に食い込む重さに、息が詰まりそうになる。

 総重量は三十五キロある。


 本来は陣地防衛や騎兵迎撃のために作られた対集団戦用の兵器だ。

 持ち運びすら困難なその長槍は、三人の連携がなければ真っ直ぐ構えることさえできない。


 一人が頑張っても意味がない。

 三人の息が合わないと、長槍を持ち上げることはできない。


 逆に言えば――三人をバラバラに動けなくするには、これほど都合のいい武器もない。


 それぞれの持ち手間隔は約二メートルずつある。

 握りやすい箇所には縄のグリップが取り付けられている。

 手に食い込むように固定される。

 滑り止めとして機能する。


 ※本編描写引用




【反乱軍】


 約十年前にとある街にて『クイーン』と名乗る一人の女性を中心に異人たちが反旗を翻した。


 異人たちは自由と人権を主張し、同胞の解放を目的に結成された。

 ロビン率いる騎士たちは鎮圧に向かうが、初めての実戦に騎士たちは壊滅的被害を受けて撤退していった。


 異人には異人をぶつけるという貴族たちの案で、反乱軍は同胞と戦うことになり、現在は停滞している。


 反乱軍の人口は非戦闘員を含め二万ほどしかいない。


【絆石】《はんせき》


 情報不足。

 現在判明している事は、第二王子トーマが兄カールに渡した指輪に装飾されている。


【服従の礼】


 土下座。

 異人が王国国民の前でする礼である。


【両翼の鷲】


 貴族の証である翼を大きく広げた一羽の鷲。


 初代国王セイントが『番の馬』と冒険中に見つけた一羽のひな鳥。

 そのひな鳥が成長し、セイントの旅に同行した逸話から王家を支える貴族の証になった。



【役人】


 内勤の貴族の役職。

 主に王都や都市に配属され、政治に携わる。


 騎士たちのことを見下している。

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