18-漆黒のローブとアメジスト
漆黒に染まったローブを頭から羽織り、音も立てずに歩いてくる。
殺意と敵意に溢れているのに、少女の雰囲気は静寂だった。
「ルビー様、敵です! 警戒です!」
「え〜、何言ってるのさ、誰もいなくね?」
ルビー様は、ポンポンと頭を叩きましゅ!
「ご褒美は後にしてくだしゃい!」
「何の話?」
あんなにも堂々と視界のひらけた場所を歩いているのに、ルビー様は気がついていない?
「サファイアの指先に敵がいます!」
ん~、と目を細めるルピー様の横顔がシャッターチャンス!
って言ってる場合じゃない!
「ほんと〜?」
漆黒のローブを纏う少少女さんは不敵に笑う。
器用さ高いと目が良くなるのは、ゲームの仕様!
鞭技――【地鳴らし】
パシンッて鞭を鳴らして、ヘイトを集める。
私の威嚇行動。
漆黒のローブさんは、鞭を大きく構え、刃に黒いオーラを纏わせる。
ヤバい、刺激しちゃった!
「サファイア!?」
ルビー様は敵対しているであろうプレイヤーが直ぐ目の先にいるというのに、まるで居ない者のように扱います。
「とにかく警戒してください!」
鞭をしならせる。
どんな攻撃が来ても、鞭に当たれば衝撃で相手をのけぞらせ、縛りとって投げ攻撃に移れるからね!
漆黒のローブさんは鎌を振りかざす。
黒い三日月状の斬撃を飛ばしたと思いきや、マジシャンのように鎌の軌跡と共にローブさんは姿を消した。
鞭技――【津波打ち】
振り下ろされる鞭は大津波の輪郭を描き、強く叩きつける技です。
黒い斬撃に直撃するように【津波打ち】を当てることに成功!
斬撃が消えると同時に漆黒のローブさんが姿を現したした!
急に動きを止めて、漆黒のローブさんはサファイアを見据えました。
首を傾げて、不思議そうに見られてます。
猫背で姿勢が悪く、フードの影からの覗く紫色の眼光が獲物を捕らえたように細くなります。
大きく鎌を構えると、素早く三連撃、三日月の刃を放ちました。漆黒のローブさんの姿は消えています。
移動と攻撃を併用しているのでしょうか?
「ちょいちょい、さっきからどうしたん?」
サファイアが迎撃しょうと鞭を構えようとしたら、ルビー様からだいしゅきホールドされました。
「そういうのはベッドの上でお願いします!」
「イミフ、ウケる」
ルビー様と戯れたいけど、黒い斬撃はそこまで来ています。
手元は自由に動かせます。
【綱渡り】✕【加速】
鞭を前方に伸ばし、一歩前進。
疑似空間転移みたいな使い方で、ルビー様のホールドから抜け出しました。
鞭技―【津波打ち】
+【乱舞】
【津波打ち】で斬撃を一つ叩き落とし、【乱舞】で私が乱雑に踊ることで、伸び切った鞭を振り回します。
残りの斬撃は撃ち落とし成功。
ローブさんが姿を見せます。
もう、10メートルくらい先まで距離を縮められていて大変です。
「……ねぇ、君。もしかして、アメジストちゃんのこと……見えてる?」
アメジスト……名前でしょうか?
「見えてますよ」
とりあえず睨みます。
「見た感じぃ、君たちって友達同士だよね? フレンドは登録してないのかな?」
「サファイアとルビー様はベストフレンドです!」
「ベストフレンド……あぁ、つい最近見つかったクソスキルのことかぁ」
ヘラヘラ笑って気味が悪い。
ぬらり、そろり、少しずつ距離を詰められています。
「だって、PKって孤独な私ようなぁ人に与えられた特権みたいものでしょ? それなのにぃ、そんな殺人鬼にだって友達を許すようなスキルはぁ、私らのような人種に対する冒涜だと思うんだよねぇ」
軽薄な喋り口調で、人を嘲笑うかのような印象を受けました。
「ねぇねぇ、サファイアちゃんは誰と喋ってんの?」
ルビー様には、このアメジストちゃんと名乗る少女は見えていないみたいです。声も聞こえていないみたいですね。




